祝日を休日にするか出勤日にするかは会社ごとに異なる
労働基準法で求められている休日は法定休日です。
労働基準法 35条
使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
法定休日以外の所定休日(契約で決めた休みの日)や祝日は、労働基準法では取り扱いが定められていませんので、会社ごとに労働条件通知書や雇用契約、就業規則でどのように運用するかを決めます。
職場によっては、土日が休みになるように祝日も休みになるところがあるでしょう。一方で、休日は土日で、祝日は平日と同じ出勤日となる職場もあります。
休日割増が付くのは法定休日に出勤した場合ですので、祝日に出勤すると休日割増は付きません。ただし、職場によっては、就業規則や賃金規定で、祝日に出勤したときは何らかの手当を付けると独自に定めているところもあります。
世間では祝日は休みだとイメージを持たれていますから、感覚として祝日は休みになるだろうと思うもの。学生の頃は、祝日は日曜日と同じものだと思っていましたからね。祝日は日曜日のようなもの、と感じている方は多いのではないでしょうか。
しかし、祝日が平日と同じ出勤日になってしまうと、ここは働きにくい職場だなと思われてしまいますし、働き続けたいと思ってもらいにくい職場になります。
祝日が出勤日だと休みがなくなって損した気分になる
例えば、5月に祝日が3日あったとして、5月3日 火曜日、4日 水曜日、5日 木曜日、この3日間が出勤日になると、本来だったら3連休になるところ平日と同じように出勤です。世間が休みムードになっていると、なおさらモヤッとした気分になりますね。
本来なら休めるはずだったところ出勤になったわけですから、損した気分になります。休日がなくなってしまったと感じますよね。
人は得るものよりも失うものに敏感な生き物です。本来だったら祝日は休みになっているはずなのに、仕事になると3日分の休みを失った感覚を持ってしまいます。
では、どうすればいいか。工夫のしどころですね。
祝日が出勤日なら他の日に休みの日を振り替える
上記の例では5月3日から5日までの3日間が祝日で、そこが平日と同じように出勤日になるため、3日分の休みを別の時期にずらして取れるようにします。
例えば、祝日振替特別休暇という名称で、祝日が平日と同じ出勤日になった場合に特別休暇として別の時期に取れるようにします。
5月には3日分の祝日がありますから、それを前倒しして3月や4月に特別休暇として取ることができます。さらに、5月の翌月以降、6月や7月に特別休暇を取るのもいいでしょう。ゴールデンウィークを避ければ混雑も避けられますから良いですね。ピークを避けると旅行代も少し下がるのでは。
他にも8月のお盆休みと合わせて特別休暇を取るのも良いでしょう。8月のお盆休みは必ずしもカレンダーでは連休になっていないこともあります。連休の間の平日に祝日振替特別休暇を入れれば、お盆を連休にすることができます。休みの隙間を特別休暇で埋めます。
年間で16日の祝日がありますから、祝日振替特別休暇も16日分使うことができるでしょう。
祝日振替特別休暇を使う条件は、就業規則で独自に定めます。
祝日の振替ですから、あまり前後の期間を開けないようにするのも工夫の1つです。「祝日が属する日の前月から翌月までの間に特別休暇を取得する」とすれば、祝日からあまり時間を空けずに休みを取れます。
祝日振替特別休暇をいつまでに取得するか、期限の設定が必要です。ここも会社ごとに工夫して決めることができます。
祝日振替特別休暇の取り扱いについて労使協定を結んで、どの時期に祝日振替特別休暇を使うのかを定めるのもいいですね。
個人別に祝日振替特別休暇を使うようにすることもできますし、年次有給休暇の計画取得のように、年間カレンダーを見て、労使協定であらかじめ特別休暇の取得時期を決めておくこともできます。年間16日分をあらかじめ割り当てて運用する方法です。
祝日を平日と同じ出勤日にしてそのままにするよりも、他の時期に祝日の代わりとして特別休暇を取れるよう工夫しておけば、働く人にとっては魅力的な職場になりますよね。
働きやすいな、働き続けたいなと思ってもらえる工夫を積み重ねていくのが労務管理では大事です。
祝日を活用して働きやすい職場を作りたいと思われたら、お問い合わせください。制度設計から運用までお手伝いさせていただきます。