離職票と離職証明書は同じものなの?
会社に所属して働いていると、労働保険や社会保険に関する手続きは会社にお任せで、自分自身は制度の中身や手続きについてよく分からないまま過ごせます。11月頃になると、年末調整に関する書類にチョコチョコっと書くことはありますが、普段は公的保険の手続きに対処する機会はほとんど無い。
しかし、何らかの理由で会社を退職すると、突如として色々な手続きを自分で進めないといけなくなり、右往左往する人もいらっしゃるはずです。
退職すると、最初に考えるのは失業保険のことでしょう。失業保険は雇用保険のことですが、退職した人がまず直面するのが雇用保険の手続きです。
資格喪失の届けだとか、離職証明書を作らないといけないとか、離職票はどこで手に入れるのかとか、「雇用保険の被保険者証はどこに行った?」とか、今までは考えなくてよかったことが次々と現れ、それらに対処することになる。
人によっては、離職証明書と離職票はどう違うのかと思う人もいるでしょう。「同じものじゃないの?」、「会社が作るの?」、「いや、ハローワークが出すんじゃないか」など、この2つの書類がどのようなものかが分からなくなる人は少なくないはず。
では、離職証明書と離職票はどう違うのか。これが今回の話の焦点です。
会社が作るのは離職証明書。ハローワークが交付するのは離職票。
結論から先に書くと、離職証明書は会社が作成する書類で、離職票はハローワークが交付する書類です。
書類の作成や手続きは会社が全部やってくれると思っていると、離職証明書も離職票も会社が作って渡してくれると考えてしまうかもしれませんが、上記のように違いがあります。
離職証明書は、簡単に書くと、「この人が退職しました」とハローワークに伝えるための書類です。この書類をハローワークが受け取ると、「あぁ、この人が離職したのね。じゃあ、失業保険の手続きをするんだろう」と準備にかかります。
一方、離職票は、会社から離職証明書を受け取ったハローワークが色々と処理を行い、その処理の後に発行する証明書です。この離職票はハローワークから会社に渡され、その後に社員本人に離職票が渡されます。「受け取った離職票を何に使うの?」と思うでしょうが、これは失業手当(正式には雇用保険の基本手当のこと)を受け取るために必要な書類なのです。
失業手当を受け取るには離職票が必要ですが、これは会社が作って本人に渡すものではなく、ハローワークがそれを作って会社経由で間接的に渡される書類なのですね。会社から受け取るので、会社が離職票を作っているように思えてしまいますが、実際に作成するのはハローワークです。
離職証明書は会社が作り、離職証明書を受け取ったハローワークが離職票を作る。これが両者の違いです。
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