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半日の年次有給休暇は「半分」なのかどうか

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年次有給休暇を細切れに切り刻む。

有給休暇を利用するときは、1日単位で利用するのが通常かと思いますが、組織によっては1日よりも細かい単位で休暇を利用できるところがあります。

おそらく、半日単位で利用する「半休」や時間単位で利用する「時間有給」が1日単位未満の休暇として認知されているでしょう。前者の半休は採用している企業もそこそこあるようで、時間単位の休暇よりも認知度は高いはず。

半日有給休暇のことを半休と呼ぶことがあり、この半休は1日分の休暇の半分に該当すると思っている方も多いかと思います。しかし、現実には、必ずしも「有給休暇1日×1/2 = 半休」という関係が成立しているとは限らないかもしれません。

「半休は半分の休暇なのだから、有給休暇を2つに分割すれば半休2回分になるんじゃないの?」と思うかもしれません。確かに、そう考えるのが素直です。しかし、現実はちょっと異なる場合があるのですね。

 

 

半分じゃなくても半日の年次有給休暇になりうる。

まず、半休制度は公式に認められた休暇制度ではなく、労働基準法には条文がありません。ただ、1日分の休暇を半分に分割し半休制度を設けること自体は許容されているため、さも公式な制度であるかのように認知されているのですね。それゆえ、半休制度は「非公式だけれども実施は可能」と考えるのが妥当です。

また、半休制度が非公式であるゆえに、その運用方法もキチンと定まってはいません。採用した企業ごとに運用方法にちょっとずつブレがあります。

例えば、午前半休と午後半休を設けている企業の場合を考えると、午前半休が4時間分で午後半休も4時間分と扱い、それぞれを半休として扱っているのではないでしょうか。

しかし、企業によっては、午前半休と午後半休が4時間:4時間で釣り合っていないところもあるようです。

例えば、午前半休が3時間で午後半休が5時間というように時間配分が均衡していないものの、半休制度として成立しているところもあるのですね。午前は9時から12時までだから3時間。午後は13時から18時までなので5時間。ゆえに、午前半休は3時間に相当し、午後半休は5時間に相当するというわけです。午後半休の方が時間が長くなるのですね。

「半休は1日の休暇の半分」という考え方を基本にすると、午前半休と午後半休で時間配分が異なるのはオカシイんじゃないかと思えるはず。半休1回は4時間相当なのだから、午前半休も午後半休も4時間ずつ時間を配分するものではないかと。

しかし、午前と午後で時間配分が異なっても、これは半休として成立します。なぜならば、半休制度の運用方法についてはルールがありませんので、午前と午後で休暇を分けていれば、それぞれで時間配分が異なっていても半休として成立しうるのですね。「午前と午後で休暇を2分割している。だから、半休なのだ」という考え方です。

半休が成立する要件が定まっていないため、キレイに4時間づつ時間を分割する必要はないし、逆に、4時間づつ分割しても構わないのですね。

上記では、1日8時間勤務を前提に半休について考えていますが、1日6時間でも1日5時間でも半休を設けることは可能です。例えば、1日6時間以上勤務する人だけを半休制度の対象にするというのもアリです。もちろん、1日8時間以上勤務する人だけが対象というのも可能です。この点についても、半休を運用する公式なルールがありませんので、企業ごとの自主性に任されます。


半休の利用方法には、午前半休と午後半休で1セット(ある日に午前半休を利用し、ある日に午後半休を利用する)とする方法がありますし、午前半休を2回利用するという方法もありますし、また午後半休を2回利用するという方法もある。さらには、半休を時間単位で把握し、4時間で半休と扱うこともできる。10時から19時までの勤務ならば、10時から19時までのどこかで4時間分の休暇を取得するというものです。「4時間休暇 = 半休」と扱うわけです。

半休を運用するときに、午前と午後で分けると人によって解釈が分かれてしまいます。「午前と午後で分けていれば、時間配分を問わず半休」と考えるのか、それとも、「『4時間休暇 = 半休』と考えて、午前午後という言葉で休暇を分けるのではなく、時間で休暇を分ける」と考えるのか。

半休を時間単位で把握すれば解釈を統一できるはずです。1日8時間勤務の人ならば4時間が半休に該当し、1日6時間勤務の人ならば3時間が半休に該当する。このように考えれば、半休の定義でブレることありません。

半休であれ時間単位であれ、休暇を細切れで使うのは避けたほうがいいのではないかと私は思っています。以前は、半日や時間単位で休暇を利用できるのは便利だと思っていましたが、今は考えが変わっています。

細かい単位で休暇を利用できれば、利用者の選択肢を増やすことができるし、個々の生活に合わせることもできるのかもしれない。しかし、休暇を細切れにしてしまうと、もはや「有給休暇」ではなく「有給休憩」になってしまうのではないでしょうか。

子の看護休暇も有給休暇と同様で、半日や時間単位で使うよりも、なるべくまとまった単位で使うほうがカンタンで利便性も高いのでは。

プツプツと細かく休暇を取得すると、その度に担当者の組み換えなければいけなくなり、休暇の取得を嫌がられてしまうのではないでしょうか。

休暇は、1日単位以上で、望むべくは3日単位や5日単位で利用するほうが利用者にとっても組織にとっても良いでしょう。

休暇は休暇であって休憩ではないのですからね。

 

 

半日有給休暇を取る予定なのに出勤していたらどうなるか

午前に半日有給を取ると予定していたにもかかわらず、午前中から出勤して仕事をしている人がいたら。また、午後に半日有給を取ると勤務シフト表で予定していたにもかかわらず、午前の仕事を終えて、午後も続けて仕事を行っていたらどうなるか。

半日の年次有給休暇を取ると予定していたにもかかわらず、出勤してしまった場合。どのように対処したらいいか。

午前に半日有休をとるところ、早めに出社して、午前中から仕事を始めていた。昼の12時まで半日有給休暇なのに、午前10時30分から仕事をしていたような場面ですね。

この場合、半日有給休暇の予定そのものを取り消して、後日、年次有給休暇を取り直すのが妥当な対応です。

半日有給休暇にはなっていないけれども、有給休暇を取ったとみなして給与を支払い、さらに、午前中に少しだけ出勤した分の給与も支払う。こういう形の解決策もあるのかもしれませんが、これだと出勤した時間と半日有給休暇を取った時間が重なってしまい、二重に給与を支払っている時間が発生しますから、不自然です。

仕事をしているのか、年次有給休暇をとっているのか。本来はこのどちらかしかないはずのところ、両者が重なってしまうのですから。上記の例だと、午前10時半から昼の12時までの1時間30分が重なった時間になりますよね。

半日有給休暇を取る予定だったが、出勤してしまったときは、年次有給休暇の予定そのものを取り消して、後日に有給休暇を取り直すのが分かりやすい対応です。

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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