職場でのタバコ休憩。喫煙者の言い分 vs. 非喫煙者の言い分

 


「近藤さん。あの人ちょくちょく、タバコを吸ってるけど、あれ休憩と同じじゃないの?」

こういう不満というか疑問のようなものが喫煙しない人から出てくるんですよね。

喫煙する人は実質的に休憩時間が多くなっているのに、給与は減らない。休憩時間ならば、その時間の分だけ勤務時間を控除するところですが、「ちょっと一服」の時間は勤務時間から控除されません。そのため、「働いている時間なのに休憩している」と思えてしまうのです。

非喫煙者に言い分があるように、他方で、喫煙者にも言い分があります。

  • ちょっと一服するぐらい、いいじゃないか。
  • そんなに長い時間じゃないんだから。
  • それぐらい誤差の範囲だろう。
  • 気分を落ち着かせて集中するために必要なんだ。
  • トイレでオシッコするのと同じだ。タバコは。
  • 他の人と情報を交換するための手段だ。


まぁ、考えれば色々と言えます。尤もらしい言い分が多いですが、あまり説得力はありません。

喫煙の話になると、喫煙者が劣勢に立たされる傾向があり、どうも分が悪い。


いくら非喫煙者といえども、休憩時間内まで喫煙しちゃダメとはさすがに言わないでしょう。中には煙を嫌う人もいるでしょうが、「まぁ、休憩時間内ならば、ね」と妥協する人の方が多いはず。

しかし、問題は休憩時間内の喫煙ではなく、休憩時間じゃないのに一服しているケースです。

休憩時間ではないけれども、一服、小休止という名目で手を止める。名目は何であれ、実質は休憩と同じです。

 



両者をどうやって調和させるか。


1回で5分。10回だと50分。

個人差はありますが、1日10回、喫煙で小休止すると、合計50分になります。

1ヶ月の勤務日が21日だとすると、21日×50分 = 1,050分(17時間30分)。

1日に8時間勤務ならば、1ヶ月で約2日分の時間が喫煙で消費されているんですね。

日給2万円だとすれば、月に4万円。つまり、喫煙している時間に4万円が支払われているわけです。

タバコを吸って4万円ゲット。そんな過激な文言すら作れてしまうほどです。


一服している時間は就業時間としてカウントされる。そりゃあ、喫煙しない人は不満でしょうね。特に時間単位で給与が決まる人、パートタイマーの人は納得いかないでしょう。

これは時間と給与がリンクしているからこその不満です。時間と給与が連動していないならば、好きに喫煙してもいいと思えるはず。

仕事を労働時間で評価する慣習が浸透してしまっている。この点も喫煙者と非喫煙者が対立する原因の1つになっているのだと思います。また、日給制や月給制も時間に連動した賃金ですから、同様の問題を抱えています。


私は喫煙しないので、煙の臭いはイヤですけれども、喫煙そのものを根絶やしにしてやろうと思うほど過激な気持ちはありません。

「マナーが良ければ、どうぞ」という気持ちです。

  • 歩きタバコをしない。
  • 灰皿がない場所では携帯灰皿を使う。
  • 吸い殻をポイ捨てしない。
  • 自転車に乗りながら、バイクに乗りながら喫煙しない。
  • 喫煙所以外では喫煙しない。


この程度のことでも守っていれば、隨分と印象が良いです。携帯灰皿を使っている人を見ると、むしろ好感を持つほど。とはいえ、さすがに見かけることはほとんど無いですね。携帯灰皿を使っている人。


職場では喫煙スペースが必要なのも厄介なところです。仕事場では分煙していないといけないので、専用のスペースが職場に必要です。小規模な会社だとまだ分煙できていないところがありますが、受動喫煙を防止する義務が事業者にはあります。

職場における受動喫煙防止対策について

さらに、喫煙室を作るために助成金も用意されています。

受動喫煙防止対策助成金

 

 


タバコ休憩への対処法。


休憩時間以外に一服するのが問題の核心部分ならば、ここをどうやって解決するのかが考えどころです。

喫煙の回数や時間を制限するという対処法もありますが、何だか世知辛い感じ。

回数や時間で判断するとして、誰がどのように管理するのか。誰が回数をカウントして、どのように時間を測定するのか。こういう面倒なことをやりたいのかどうか。

これは対処法としてはイマイチです。


他の方法としては、「喫煙は休憩時間内に限る」と就業規則で決めるのも手です。休憩時間に限定しておけば、それ以外の時間は喫煙できなくなります。

対処法としては、これだけでもいいのではないかと思います。細かく調整しようとすれば、歪な対応になりますし、管理する手間もかかるでしょう。

ヘビースモーカーには休憩時間だけじゃ足りないでしょうが、非喫煙者と調整するには休憩時間に喫煙を限定するのが妥当な対応策です。


さらに、喫煙者だけ休憩時間を増やす方法もありますが、休憩時間の分だけ終業時間が遅くなります。もし、1日50分、休憩時間を増やせば、勤務時間を一定とするなら、終業時間は50分遅くなります。

あくまで休憩時間内に喫煙するわけですから、休憩時間を増やす方法だと従来のような不満は生じません。

しかし、この方法も管理に手間がかかります。どのタイミングで、どれだけの喫煙時間が発生するかは個人差があります。それを1人1人、管理していくのは現実的ではないでしょう。1回5分の人もいれば、1回3分で済む人もいます。回数も1日10回とは限らず、5回、7回と個人ごとに違いがあります。

休憩時間内に限るならば、通常の休憩内に限定して、個人別にバラつきが少なくなるようにするのが妥当な対応でしょう。



会社によっては非喫煙者に有給休暇を与えるところもあります。「スモ休」という名称を付けているようで、喫煙しない人に年間で最大6日の有給休暇があるとのこと。ちなみに、この有給休暇は、法律で決まった有給休暇ではなく、会社が独自に上乗せするものです。

喫煙をやめれば有給休暇が増えるとなれば、禁煙へのインセンティブになります。

何らかの行動をすれば「ニンジン」が与えられる。何のインセンティブもないことに人は反応しませんから、有給休暇のようなニンジンが用意されていれば、喫煙者も減っていくでしょう。


最もシンプルな対応策は、やはり「喫煙は休憩時間に限る」と決めておく方法です。どこの会社でも実現可能な方法ですし、何か複雑な制度のようなものを作る必要もありません。さらに、先程のような非喫煙者向けの有給休暇を組みわせるのも良いですね。

 

 


ニオイが大事な商売。


中には、喫煙そのものがダメな職場もあります。臭いが相手に不快感を与える接客業では大事なポイントです。

リゾートホテルを運営する星野リゾートでは、喫煙者を採用しないと有名です。従業員とお客さんとの距離が近いですし、相手の匂いも伝わりやすい距離感で仕事をしています。喫煙していると、お客さんに匂いが伝わりますし、喫煙しない人は匂いに敏感です。

喫煙の有無で採用を決める。これはお客さんにとっては有り難いです。

ホテル以外に、タクシーも匂いが大事な要素になります。無臭のタクシーは好印象で、乗っていても快適です。

過去に、個人タクシーでスンゴイ汚いクルマに乗ったことがあって、これは嫌だなと感じましたれども、移動するためにやむを得ない状況でしたから、乗らざるを得ません。

もう何というか、運転席周りが汚いんです。タバコの吸殻はもちろん、ダッシュボード周辺もガチャガチャしていました。運転しているオジサンも何だか清潔感が無い。

個人タクシー全てがああいう感じではないのでしょうけれども、私の場合、特にダメなタクシーに当たった気がします。


口臭、ワキのニオイ、汗、体臭、タバコの臭いなど。嗅覚で感じるニオイは、快適な気分にさせるものもあれば、不快にさせるものもあります。

スメハラ(スメルハラスメント)という言葉までありますが、悪臭だけでなく、良い香りであっても、度が過ぎると不快で気分が悪くなる人がいます。

 


職場でのタバコ休憩への対処策は、喫煙を休憩時間に限るようにするのが現実的です。 

 


山口正博 社会保険労務士事務所
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