遅刻と残業を相殺してもいいの?

 

 

 


遅刻は、仕事を始める時間に遅れること。


遅刻してくれて、ありがとう

 

残業は、仕事を終える時間を超えて働くこと。


「残業しないチーム」と「残業だらけチーム」の習慣

 


では、

残業した代わりに、
遅刻を帳消しにするなんてこと、
やってもいいのでしょうか。


つまり、

残業で仕事の時間を延長したから、
遅刻をなかったことにしたい。

そんなことをやっても良いのかどうか。

 

 

 

遅刻は遅刻。残業は残業。


例えば、

1時間遅刻してきたから、
仕事を終える時間を1時間延長して、
働く時間が減らないようにする。

これで遅刻がなかったことにできるんじゃないか。

そう思う方もいらっしゃるでしょう。


確かに、

1時間遅れたのだから、
その分だけ勤務時間を延長すれば、
所定労働時間は守られていますよね。

10時始業。19時終業。
11時始業。20時終業。

途中で休憩が1時間入るとすれば、
どちらも仕事の時間は同じです。

 

この処理で遅刻を帳消しにする。


そういうやり方が良いのかどうか。

 

 

 

割増賃金が不払いにならないように。


先程の例は、

遅刻をした当日に、
勤務時間を1時間延長し、
所定労働時間が減らないようにしています。

 

また、

1日8時間を超えていませんから、
時間外労働に対する割増賃金も
必要がない場面です。

 

同日内に、
遅刻してきて、残業したものですから、

労働時間は同日内で精算できます。

これは自動で行われますから、
就業規則に決まりがなくても、
実現可能な処理です。


ゆえに、

法的には問題は無いです。

 

遅刻して1時間遅れたため、
終業時間を1時間先延ばしする。

当事者間で、そういう合意があれば、
不都合な部分はありません。

 

遅刻に対する処理は法律で決めるところではなく、
当事者間でどういう対応をするか
就業規則で決めておくものです。

 

遅刻したら、その時間は給与は無し。

ノーワーク・ノーペイです。


19時で終わるところを20時まで延長していますが、
これは法的には残業になりません。

残業とされるのは、8時間を超えた時間ですから、
11時から20時まで(休憩が1時間)だと、
8時間ですから、残業は無しです。

 

時間を延長している時点で、
一般的には「残業」と考えられるでしょうが、
法律的に残業になるかどうかは別の問題です。

 

 

 

他の日に労働時間を付け替えて、残業代の支払いを免れるのはダメ。


一方、

似たような処理方法であっても、
法的に問題が発生する場面があります。


例えば、

月曜日に、
10時から20時まで働いたとしましょう。

休憩は1時間あるとすれば、
当日の労働時間は9時間です。

時間外労働が1時間発生していますね。

この1時間に対して、
割増賃金が必要であることは
ご存知のかたも多いはず。

 


後日、

水曜日に、
何らかの理由で1時間、遅刻したとします。

10時出勤のところ、11時出勤になった。

11時から仕事を始め、
途中で1時間の休憩を取り、
19時で仕事を終わりました。

この日の労働時間は7時間です。

 

月曜日は9時間働いて、
水曜日は7時間です。

ここで、

「月曜日から1時間分を水曜日に
持っていけばいいんじゃないか」
と考える人がいるんですね。


月曜日から水曜日に1時間分、
移動させると、

月曜日は8時間働いて、
水曜日は8時間働いた
という計算になります。

 

その結果、

月曜日は8時間だから、
時間外労働は無かったことになるな。

そう判断するんですね。


本来だと、

1時間分の割増賃金が必要なところ、

水曜日に1時間、労働時間を移動させ

割増賃金の支払いを免れています。


しかし、
こういう処理はできないんです。

月曜日に9時間働いた時点で
1時間の時間外労働は確定していますし、
割増賃金の支払いも確定です。

他の日と労働時間を融通することはできません。

 

 


変形労働時間制を導入すれば、実現可能。


月曜日は9時間働いて、
水曜日は7時間。

となるところ、

他の日と時間数を平均して、

月曜日は8時間働いて、
水曜日は8時間働いた。

という扱いにしたい。


このような処理を望む方もいらっしゃるはず。

 

原則では、
上記のような処理はできませんけれども、

変形労働時間制を導入すれば、
異なる日の間で労働時間の枠を融通できます。

 

ただし、

事前に、勤務シフトを作る段階で、

月曜日は9時間勤務
水曜日は7時間勤務

と決めておかないといけないのです。


当日になって、

「今日は時間を延長して」
「仕事が少ないから、今日は早く上がって」

と成り行きで決めていくのはダメです。


変形労働時間制については、
『残業管理のアメと罠』で詳しく説明しておりますので、
そちらを読んでいただければと思います。
 

 

 

 

 

 

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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