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残業のルール 36協定と残業代の支払いは別々の事柄

36協定を届け出ていなければ手当も不要?

ご存知のように、36協定(サブロク協定)とは、本来は違法である時間外勤務と法定休日勤務を適法化する効果を持つ協定です。

法定時間枠を超えた勤務や法定休日の勤務は、もともとは違法なものであって、36協定の届け出無しで実施するとダメなんですね。そのため、この違法な状態をクリアにするために36協定という手続きがあるわけです。36協定を届け出れば、法定時間枠を超えた勤務や法定休日の勤務は適法化されます。

ただ、小規模な企業では、36協定を届け出ていないところもあって、創業から何年もしくは何十年も経過しているものの、協定を届け出ていないところもあります。時間外勤務や休日勤務そのものが無いので、協定が不要という企業もありますが、残業や休日勤務には協定が必要だという点を知らない企業もありますね。

ときに、36協定を届け出ていないから、時間外勤務の手当や休日勤務の手当は必要ないのではないかと考え、頭の中がちょっと混乱している方もいらっしゃいますね。


では、「36協定を届け出ていない=時間外勤務や休日勤務の手当は不要」という判断は正しいのでしょうか。

つまり、協定の届け出の有無が手当の支給に影響すると考えるべきなのか、それとも、協定の届け出の有無は手当の支給とは別であると考えるべきなのか。

どちらでしょうか。

36協定の有無で手当の支払が変わるわけではない

結論から言えば、「36協定の届け出の有無」と「時間外勤務や休日勤務の手当の要否」は別々に考えるのが正しいです。

つまり、協定を届けていようと届けていなかろうと、必要な手当は必要なのですね。

それゆえ、「36協定を届け出ていないから、時間外勤務の手当や休日勤務の手当は必要ないのではないか」という判断は間違いです。余談ですが、36協定を提出したからといって、時間外手当や休日手当が減ったりするわけではありません。時間外勤務や休日勤務を実施することを事前に報告するのが36協定ですから、手当を軽減するような効果はありません。


36協定を出しているかどうかという点と、手当をキチンと支払っているかどうかは別の問題で、36協定を届け出ていない企業であってもキチンと手当は支払っているところもあるでしょうし、逆に、協定を届け出ている企業であっても手当をキチンと支払っていないところもあるかもしれません。

36協定を届け出ていないし手当も支払っていないというのは論外ですが、協定を届け出ていないけれども手当はキチンと計算して支払っている企業もあるでしょう。両者とも同じく協定を届け出ていないものの、前者と後者では事情が異なります。

前者は言い訳できない状況ですが、後者は手続きの面では手落ちだったが、手当は支払っている会社ですので、この会社に対して大きな非難はしにくいでしょう。手当をキチンと支払っているならば、未払いの手当はありませんから、協定を届け出るだけで適正な状態に変えることが可能です。

単に36協定を届け出ていないといっても、手当が未払いの状況で未届けなのか、それとも、手当は支払われている状況での未届けなのかによって、見方は変わりますよね。

手当さえキチンと支払われていれば、たとえ36協定が未届けであったとしても、問題とまでは言えないところですね。

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