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36協定がなければできない残業。36協定がなくてもできる残業。

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3月6日を「36協定の日」とするよう申請するみたいですね。

 

36協定の周知・浸透に向けキャンペーン「Action!36」を展開/連合の中央委員会

  • 36協定を締結していない。
  • 締結しているけれども、協定で決めた上限時間をオーバーしている。

こういう事業所が法令違反の事例として多く挙げられていますから、36協定への理解を深める取り組みも必要なんでしょうね。


法令違反している会社に遭遇する確率は65.9%。

 

残業代を支払えば、何時間でも残業は可能、、、というわけではない。

「残業代を支払えば、残業をしてもいい」こう考えている人もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かに、法律で決まった時間枠を超えて仕事をすると残業なので、割増賃金である残業代が必要です。

しかし、事前に手続きをせずに、残業を社員さんにさせると、残業代をキチンと計算して正確に支払っていても労働基準法36条違反になります。

「えっ!? 残業代を正確に支払っているのに違法なの?」と思われるかもしれませんが、違法なのです。

残業代を支払って残業するには事前の準備が必要です。それが36協定(サブロクキョウテイ)なのです。

本来は違法行為である残業をOKにする効果を持つ、言うなれば「残業の許可証」のようなものが36協定なのですね。





残業の時間には上限がある。

「じゃあ、事前に36協定の手続きをして、残業代を支払えば、何時間でも残業は可能なの?」というと、そういうものではないのです。

残業できる時間には限度があって、「延長時間の限度」という基準が定められています。

時間外労働の限度に関する基準(厚生労働省)

厚生労働省のウェブサイトに掲載されているPDFファイルの2ページ目、チェックポイント2という部分に延長時間の限度について書かれています。その部分を見ると、1ヶ月で可能な残業は、45時間までです。

つまり、基本となる所定労働時間が1ヶ月で160時間だと仮定すると、そこに上乗せして45時間まで残業ができますよ、という意味です。

さらに上記のPDFファイルには「特殊な36協定」について紹介されています。この特殊な36協定を利用すると、限定的ですが、さらに延長時間を延ばすことができます。この点について詳しく知りたい方は、ファイルを読んでいただければ良いでしょう。


今回のポイントは、

「残業をするには事前の手続きが必要」
「残業の時間には上限がある」

この2点です。

上記の2点だけを知っておけば、労働基準法36条に違反する残業をしてしまう可能性を低くできます。

サブロク、サブロクと聞くと、「難しそう、、」と思ってしまいますが、要点は上記の2つだけですから、知ってしまえば難しくありません。






36協定がなければ残業できない、というわけでもない。

「残業するには36(サブロク)協定が必要」

と理解している方もいるでしょう。


確かに、
残業するには、
36協定を事前に締結してないといけないのですけれども、

「36協定無しで実施できる残業」
もあります。


「残業」と言っても、種類は1つではないのです。


残業の定義は、
【規定の勤務時間のあと,さらに残って仕事をすること】
と辞書には書かれています。


例えば、

10時から16時まで仕事をすると予定していたところ、
何らかの事情で16時30分まで仕事の時間を延長したとしましょう。


この場合、

16時から16時30分までの30分間は残業です。

残業なのは間違い無いのですけれども、
36協定が必要な残業なのかというと、そうではないのです。

 

 

他方、

10時から19時まで仕事をすると予定していて、
業務上の理由により、19時30分まで時間を延長したとしましょう。

休憩が1時間入ると考えて、
勤務時間は8時間30分になります。


この場合、

19時から19時30分までの30分間は残業です。

では、36協定が必要かどうかというと、
このケースでは36協定を締結しておく必要があります。

 

どちらも残業の時間は30分ですけれども、
前者では36協定がなくても実施できますが、
後者の残業は36協定が必要です。

 

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36協定が必要な残業かどうかの境目。

1日8時間以内
1週40時間以内

この法定労働時間の範囲内ならば、
36協定無しで残業は可能です。


ただし、雇用契約書で、

「所定時間外労働が発生する場合がある」
「所定の時間を超えて業務を続けるよう指示する場合がある」

という類の内容を書いておく必要があります。

これがなければ、
契約で決めた時間を超えて働いてもらうことはできません。

もし、所定労働時間を超えて勤務すると、雇用契約違反になります。

 

1日8時間を超えないならば、
36協定を適用せずとも残業は可能です。

しかし、

勤務時間が1日8時間を超えた場合は、
36協定を適用しないと残業できないのですね。

 

勤務時間が

1日8時間以内
もしくは
1週40時間以内

であれば、36協定を適用することなく残業はできます。


しかし、

1日8時間を超える
もしくは
1週40時間を超える

ならば、事前に36協定を労使間で締結して、
労働基準監督署に書面を提出しておく必要があります。


ここで、

「じゃあ、法定労働時間を超えないならば、
36協定を出さなくていいの?」

と思う方もいらっしゃるでしょう。


確かに、法定労働時間を超えないならば、
出さなくてもいいのですけれども、

36協定を締結したからといって何か不利益があるわけではないですし、
業務上の都合で、法定労働時間を超えてしまう場合も
数ヶ月に1回ぐらい、もしくは1年に1回ぐらい発生するかもしれません。

そういう場合に備えて、
予防的に36協定を締結しておくと良いでしょう。

 

36協定を届出ていないという理由で
労働基準監督署から指導されるケースもありますから、
法定労働時間を超える残業をするかどうかは不明でも、
協定を締結して、届出ておくことをオススメします。

 

 

36協定があれば、どこまで残業できるのか。

労使協定ですから、
その中身は労使間で決めます。

何時間まで残業できるのか。その上限時間を決めるのが36協定です。


例えば、

時間外労働は、
1日2時間まで
1ヶ月では25時間まで

と36協定で決めたとします。


では、この内容の協定だと実際はどこまで残業できるか。


1日単位では2時間までですから、

これは
「法定労働時間を超えて2時間」
と解釈します。


法定労働時間は1日8時間で、
そこから2時間の時間外労働が可能となり、
最大で1日10時間まで働けます。


また、

1ヶ月単位だと25時間が上限時間ですから、

1日8時間勤務で、月に21日出勤したとして、
労働時間は月168時間になります。

ここに36協定で決めた25時間の枠が上乗せされ、
1ヶ月に193時間まで働けるわけです。

 

先程の例で書きましたが、

【10時から16時まで仕事をすると予定していたところ、
何らかの事情で16時30分まで仕事の時間を延長した】

この場合は、
8時間を超えていないため、

残業時間の30分は、
36協定で延長できる1日2時間の中には含めません

 

この人の場合は、
途中に休憩が1時間入ると考えれば、
最大で21時まで働くことが可能です。


36協定が必要なのは、
19時から21時までの2時間であって、
16時から16時30分までの30分には必要無いのです。

 

 

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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