2009/6/5【法律家は小姑ではない】

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■■┃  本では読めない労務管理の「ミソ」
□□┃  山口社会保険労務士事務所
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こんにちは。山口社会保険労務士事務所の山口正博です。


このレポートは、定期的に、コラム形式で、
労務管理に役立つ内容を配信するレポートです。

興味本位で読むのもよし。

つまみ食い感覚で読むのもよし、です。

どうぞ、自由にご活用下さい。


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今日のTOPIC
1: 法律家は小姑ではない。
>>>誰にも求められていないのに、ご意見?

2: 編集後記

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■■  法律家は小姑ではない。
■■  誰にも求められていないのに、ご意見?
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■求められていないのに押し付ける。


法的には正しくないけれども、誰も困ってる人がいない場合には
法律家はどう判断すれば良いでしょうか。


例えば、社員さんが「雇用保険に加入しないでくれ」と会社に
要望を出してきた時、会社はこの要望を汲むべきでしょうか。

法的には加入の条件に合致しているが、加入する本人が拒否して
いるという場面です。


雇用保険に加入することによって利益を受ける本人が拒否して
いるわけです。



会社としては複雑な気持ちになりますよね。


もちろん、法的に雇用保険の加入条件を満たしているのですから、
加入させなければ会社が指導を受けてしまいます。

けれども、本人が拒否している、、、、。



こんな時、法律家はどう判断すべきでしょうか。







■誰も困っていないならば、介入しない。


たとえ、法的には不都合であっても、その状態を当事者が納得して
いるならば、法律は介入しないという場面があるのではないかと
私は思います。



例えば、完全歩合制による勤務を考えてみます。


法律上は、固定給無しの完全歩合給による雇用(請負ならば可能)
は禁止です。

これはご存知の方も多いでしょう。


では、会社と社員さんが合意の上で、完全歩合給での雇用契約を
締結したとしたらどうでしょうか。


つまり、お互いに納得の上で合意したという場面です。

こんな場面でも、完全歩合給での雇用契約を禁止すべきでしょう
か。



この場面にもし遭遇した場合、「いや、完全歩合給は違法だから、
当事者が納得していてもダメ」と判断すべきか、それとも、「お互
いに納得の上で合意しているならば、あえて禁止しなくても良い」
と判断すべきか。

どちらでしょう。


私なら、後者を選択しますね。

つまり、合意しているならば、あえて禁止しないという判断です。


ただ、「合意していても違法なのだから、法律家ならば止めるべき
だ」と言う方もいらっしゃるでしょうね。

確かに、「何でも正しい状態にしなければ気が済まない人」も
いますので、私は前者の立場に反対まではしません。


しかし、合意を破棄させてまで止めるべきかどうかというと、
私は悩みます。



付言すれば、「知っていて行なったことは自己責任」というのが
法律の原則です。


つまり、法律の用語を使いますが、「悪意者(事実を知っている
人という意味です)は保護しない」ということです。


この考え方からすれば、やはり、合意による完全歩合給の契約に
法律家は「あえて」介入すべきではないとも判断できますよね。




他にも例を挙げると、家族だけで会社を経営している場面で
しょうか。


原則として、家族だけで会社を運営しているならば、労働基準法
は適用されません。


ただ、「従業員的性格を有していれば、労働者として扱うべき」
と判断すべきなのでしょうが、第三者から判断すれば、家族で
あることに変わりはありませんよね。


また、雇用保険や健康保険、厚生年金に加入するかどうかも会社
の裁量になってしまいます。



法人ならば、健康保険や厚生年金には強制的に加入するべきなの
でしょうが、家族だけで経営している会社だと、国民健康保険や
国民年金で対応してしまうこともあるようです。


もちろん、家族以外の人が会社で働いているならば、公的な制度
には加入すべきです(加入していない会社もありますが)。



家族同士の犯罪に対しては法律も寛容です。

例えば、父親の財布から息子がお金を盗んでも、まず窃盗罪には
ならないでしょう(もちろん例外はあります)。

なぜならば、家族だからです。

一方、他人の財布からお金を盗むと、窃盗罪になります。



ただ、息子が父を殺した(殺人)となると、さすがに法律で罰せ
られます(家族間での出来事ではあるが、社会として放置できない
ということでしょうか)。



「家族だから、法律もあえて強制力を行使しない」という判断は
現実にあり得るんですね。








■法律家は小姑であってはいけない。


「合意の契約」や「家族経営の会社」というのは、通常の場合と
同じように扱ってはいけないのではないか、と私は思うのです。


当事者の意思を無視してまで法律を使うのはやはりおかしいです
し、家族同士の労務管理に厳格な労務管理を適用するのも躊躇われ
ます。


確かに、正義感を発揮して、「より正しい状態にしよう」という
心意気は大切でしょうし、真っ当な判断でもあります。

ただ、「一縷の躊躇」があることも確かです。



困っている人がいるならば、法律はその人を助けます。

しかし、困っている人がいないならば、法律は動きません。



「法律家は小姑であるべきか」、それとも、「法律家は小姑で
あってはいけない」か。


私は、後者の立場を取りたいです(できるならば)。














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>>編集後記



最近は、悪いことをしたら、その対象を「壊す」というのが
主流なのでしょうか。


社会的に不都合なことをした個人や法人を、復活不能な状態まで
追い込む場面というのが多いような気がします。



例えば、病気だと、悪い部分を「治す」はずです(「病気だから
死ね」とは誰も言わないはずですよね)。


一方、社会的な問題(個人によるもの法人によるものを問わず)
だと、治さすに「壊す」というのが主流なのでしょうか。



何だか、息が詰まります、、、。



(生き|息)辛い世の中ですね。





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