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法律家は小姑ではない

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今日のTOPIC
1: 法律家は小姑ではない。
>>>誰にも求められていないのに、ご意見?
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■■  法律家は小姑ではない。
■■  誰にも求められていないのに、ご意見?
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■求められていないのに押し付ける。

法的には正しくないけれども、誰も困ってる人がいない場合には
法律家はどう判断すれば良いでしょうか。


例えば、社員さんが「雇用保険に加入しないでくれ」と会社に
要望を出してきた時、会社はこの要望を汲むべきでしょうか。

法的には加入の条件に合致しているが、加入する本人が拒否して
いるという場面です。


雇用保険に加入することによって利益を受ける本人が拒否して
いるわけです。



会社としては複雑な気持ちになりますよね。


もちろん、法的に雇用保険の加入条件を満たしているのですから、
加入させなければ会社が指導を受けてしまいます。

けれども、本人が拒否している、、、、。



こんな時、法律家はどう判断すべきでしょうか。







■誰も困っていないならば、介入しない。

たとえ、法的には不都合であっても、その状態を当事者が納得して
いるならば、法律は介入しないという場面があるのではないかと
私は思います。



例えば、完全歩合制による勤務を考えてみます。


法律上は、固定給無しの完全歩合給による雇用(請負ならば可能)
は禁止です。

これはご存知の方も多いでしょう。


では、会社と社員さんが合意の上で、完全歩合給での雇用契約を
締結したとしたらどうでしょうか。


つまり、お互いに納得の上で合意したという場面です。

こんな場面でも、完全歩合給での雇用契約を禁止すべきでしょう
か。



この場面にもし遭遇した場合、「いや、完全歩合給は違法だから、
当事者が納得していてもダメ」と判断すべきか、それとも、「お互
いに納得の上で合意しているならば、あえて禁止しなくても良い」
と判断すべきか。

どちらでしょう。


私なら、後者を選択しますね。

つまり、合意しているならば、あえて禁止しないという判断です。


ただ、「合意していても違法なのだから、法律家ならば止めるべき
だ」と言う方もいらっしゃるでしょうね。

確かに、「何でも正しい状態にしなければ気が済まない人」も
いますので、私は前者の立場に反対まではしません。


しかし、合意を破棄させてまで止めるべきかどうかというと、
私は悩みます。



付言すれば、「知っていて行なったことは自己責任」というのが
法律の原則です。


つまり、法律の用語を使いますが、「悪意者(事実を知っている
人という意味です)は保護しない」ということです。


この考え方からすれば、やはり、合意による完全歩合給の契約に
法律家は「あえて」介入すべきではないとも判断できますよね。




他にも例を挙げると、家族だけで会社を経営している場面で
しょうか。


原則として、家族だけで会社を運営しているならば、労働基準法
は適用されません。


ただ、「従業員的性格を有していれば、労働者として扱うべき」
と判断すべきなのでしょうが、第三者から判断すれば、家族で
あることに変わりはありませんよね。


また、雇用保険や健康保険、厚生年金に加入するかどうかも会社
の裁量になってしまいます。



法人ならば、健康保険や厚生年金には強制的に加入するべきなの
でしょうが、家族だけで経営している会社だと、国民健康保険や
国民年金で対応してしまうこともあるようです。


もちろん、家族以外の人が会社で働いているならば、公的な制度
には加入すべきです(加入していない会社もありますが)。



家族同士の犯罪に対しては法律も寛容です。

例えば、父親の財布から息子がお金を盗んでも、まず窃盗罪には
ならないでしょう(もちろん例外はあります)。

なぜならば、家族だからです。

一方、他人の財布からお金を盗むと、窃盗罪になります。



ただ、息子が父を殺した(殺人)となると、さすがに法律で罰せ
られます(家族間での出来事ではあるが、社会として放置できない
ということでしょうか)。



「家族だから、法律もあえて強制力を行使しない」という判断は
現実にあり得るんですね。








■法律家は小姑であってはいけない。

「合意の契約」や「家族経営の会社」というのは、通常の場合と
同じように扱ってはいけないのではないか、と私は思うのです。


当事者の意思を無視してまで法律を使うのはやはりおかしいです
し、家族同士の労務管理に厳格な労務管理を適用するのも躊躇われ
ます。


確かに、正義感を発揮して、「より正しい状態にしよう」という
心意気は大切でしょうし、真っ当な判断でもあります。

ただ、「一縷の躊躇」があることも確かです。



困っている人がいるならば、法律はその人を助けます。

しかし、困っている人がいないならば、法律は動きません。



「法律家は小姑であるべきか」、それとも、「法律家は小姑で
あってはいけない」か。


私は、後者の立場を取りたいです(できるならば)。




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労務管理の問題を解決するコラム

職場の労務管理に関する興味深いニュース

【仕事のQ and A】

決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。

  • Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
  • Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
  • Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
  • Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
  • Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
  • Q:残業しないほど、残業代が増える?
  • Q:喫煙時間は休憩なの?
  • Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?

このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

 

仕事のハテナ 17のギモン

【1日8時間を超えて仕事をしたいならば】

毎日8時間の時間制限だと柔軟に勤務時間を配分できないので、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

しかし、仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。それを実現するにはどうしたらいいかについて書いています。

残業管理のアメと罠

 

残業管理のアメと罠

【合格率0.07%を通り抜けた大学生。】

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。

どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡 Kindle版

 

合格率0.07%を通り抜けた大学生。

【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】


高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。

若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

「学生には有給休暇が無い」と言われた。

テスト休みを取って時給を減らされた。

など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

学生から好まれる職場と嫌われる職場。

その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

 

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。

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