給与の銀行振込を拒否する人もいる。
会社から、「給与の支払いは金融機関への振込のみとなります」と言われたとき、中には「口座振込を求めるのは不当だ」と仰る人もいるようです。
確かに、現金払い以外の手段を用いる場合には、社員さんの同意が必要ですから、会社が口座振り込みを(強く?)求めるのはダメかもしれませんね。
しかし、現金払いだと、事務作業が増えるし、盗難や強盗に遭う可能性もあるのでしょうから、社員さんのためを思って口座振込を案内しているとも考えれます。
ただ、口座振り込みをデフォルト設定にすることに対しては、拒否感を抱く人もいそうですよね。
個別の同意が必要だが、銀行振込が前提になっている。
今では、「給与は銀行もしくは郵便局への振込となります」というように、すでに決まっているように案内されることが多いはずです。
よほど小規模な会社だと現金手渡しなのかもしれませんが、それでも少ないのではないでしょうか。
現金支給か口座振り込みかを決める時には、社員さんの個別同意が必要な場面なのですが、「同意を前提(すでに同意があると仮定している)」として扱ってしまう会社もありますね。
もし、「口座を持っていません」と言うと、「あ~、銀行の口座がないと給与を支払えないから、口座を作って下さい」と言ってくる会社もありましたね(私の経験上)。
その会社では、現金支給はしない方針で、半ば強制的に銀行や郵便局の口座を作らせているようです。
おそらく、現金で支給して下さいと言っても、会社から拒否されるのかもしれません。
ただ、口座を開設したからといって(普通の人ならば)不都合があるわけでもないでしょうから、社員さんも拒否はしないでしょう。
また、社員さんの安全のために、振込で支払っていると言われれば、なおさら拒否はしにくいはず。
さらに、会社が口座振込を半ば強要したからといって、「違法」とまで指摘する程度ではないですよね(社員さんにとって不利益の程度が軽微で、法律を使ってあえて救済する状況ではない)。
口座振り込みにすれば便利になるのですから、あえて拒むことでもないはず。
また、振り込むと金額が減るわけでもありませんからね(ただ、振込手数料が控除されるから、現金での支払いを求めるというのはアリかもしれません)。
ただ、今現在は手渡しで給与を支給しているが、今後は金融機関への振込にしたいという会社だと、
社員さんから、「どうしても、今まで通りに現金払いで給与を受け取りたいんです」と言われれば、現金で支給するべきなのでしょう。
最初から口座振り込みならば半ば強制的な扱いもあるのでしょうが、現金支給から口座振替に「途中から」切り替える場合には、社員さんの都合も考慮すべきなのかもしれません。