2009/3/2【変形労働時間制を理解するには「ツボ」がある】

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こんにちは。山口社会保険労務士事務所の山口正博です。



このレポートは、定期的に、コラム形式で、
労務管理に役立つ内容を配信するレポートです。

興味本位で読むのもよし。
就業規則を作る前に読むのもよし。
つまみ食い感覚(?)で読むのもよし、です。

どうぞ、ご自由にご活用下さい。


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今日のTOPIC
1: 変形労働時間制を理解するには「ツボ」がある
>>>変形時間を運用するには「予定」がキモです。

2: 編集後記

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■■  変形労働時間制を理解するには「ツボ」がある
■■  変形時間を運用するには「予定」がキモです。
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■変形労働時間制を採用すれば、時間管理はよりタイトになる。



変形労働時間制を使えば、1ヶ月なり3ヶ月の範囲で、
自由に勤務時間を割り振れると誤解している方もいるようです。


しかし、変形労働時間制によって時間管理がルーズになる
ことはなく、むしろ時間管理はより厳格になってしまう
のが現実です。



「一定の制約を受け入れる代わりに、例外的な時間管理を
しても良い」とするのが変形労働時間制ですから、使いにくさ
が出てくるのはむしろ当然なのかもしれません。








■いつ、どれくらいの時間働くかを事前に決めるのがツボ。


1ヶ月単位でも、3ヶ月単位でも、1年単位でも、1週間単位
でも、全てに共通するのですが、

変形労働時間制というのは、「特定の週に40時間を超えて、
また、特定の日に8時間を超えて勤務することができる」ように
なるという仕組みです。


ここでは、「特定」というのがポイントです(とても大事)。




1ヶ月単位の変形労働時間制を例として説明してみます。



まず、1ヶ月の勤務時間の総枠を決めます(第1ステップ)。


週40時間勤務、1ヶ月31日の場合だと、
(40時間×(31日÷7日(1週間))=177.1時間)

という
計算になり、1ヶ月の勤務時間の総枠は「177.1時間」です。


さらに、この週には48時間勤務、この週には37時間勤務、
この週には40時間勤務、というように事前に予定を立てて
(第2ステップ)、


また、この日には9時間勤務、この日には6時間勤務、この日
には12時間勤務、というように日ごとの予定も立てるんです
(第3ステップ)。


こうやって1ヶ月分の勤務予定を「事前に立てて」、実際に勤務
するのが変形労働時間制(この場合は1ヶ月単位の変形です)
なのです。




さらに、実際の勤務では、

1日12時間と決めた日は、12時間まで時間外手当は無しです。
1日6時間と決めた日は、8時間までは時間外手当無しです。


つまり、8時間超えで決めた日は、その時間まで。
また、8時間未満で決めた日は、8時間まで、というように
考えます。



ちなみに、1日6時間と決めた日を当日になって9時間と
変えても、時間外手当(1時間分)は発生します。

なぜならば、8時間を超えると「事前に予定していない」わけ
ですから、変形効果を認めないということです。



一方、1週間単位でも同様です。

1週48時間と決めていれば、48時間までは手当不要です。
また、1週37時間と決めていれば、40時間までは手当不要
です。


先ほどと同様に、1週37時間と決めているにもかかわらず、
直前になって1週45時間に変更すると時間外手当(5時間分)
は発生します。


予定していない勤務に対しては変形効果を認めないということ
ですね。



さらに注意して欲しいのは、「177.1時間の総枠を忘れないこと」
です(もちろん、この総枠時間は月によって変わりますよ。閏年
の2月などは総枠時間が短くなります)。


1日8時間、1週40時間をキープしていても、うっかり
177.1時間の総枠を超えちゃったりすることもありますから、
気をつけて下さい。


177.1時間の総枠を超えたら、その時間に対しては時間外手当を
支給します。


つまり、変形労働時間制では、1日8時間、1週40時間
(例外44時間)、1ヶ月の法定時間枠、の3つのポイントを
意識しなければいけなくなるんです。


原則的な時間管理だと、1日8時間、1週40時間(例外44
時間)、の2つだけで良いのですが、変形労働時間という例外的
な時間管理を認める代わりに制約が増えてしまうんですね。








■毎日、勤務時間がコロコロ変わる会社では、変形労働時間制は
馴染まない。


良くあるのが、特に予定も立てずに、とりあえず1ヶ月間働いて
もらって、1ヶ月後に法定労働時間の総枠(40時間×(31日÷
7日)=177.1時間)を超えた分だけ時間外手当を支払うという
のは、変形労働時間制ではありません。


週毎、日毎の勤務時間を事前に特定していませんからね。

「細かく予定など決めずに、1ヶ月後に時間外清算すれば足りる」
という理解は間違いです。




ゆえに、日毎にコロコロと勤務時間が変わってしまう会社では、
変形労働時間制は馴染まないということになります。



ただ、私の感覚では、あえて制約を受け入れてまで採用するほど
変形労働時間制にはメリットは無いような気がします。


「事前に予定を立てなければいけない」という面倒くささは
どうしても受け入れられません。

どうしてこんなに使いにくくしているのか理解し難いです。



あえて言えば、いつ何時間働くか分からないと社員さんが不安に
なるから、というのが理由なのかもしれませんね。



事前に予定を立てた範囲までは、1日8時間や1週40時間を
超えた例外的な時間管理ができるということ。

しかし、事前に予定していないならば、1日8時間、1週40
時間の原則を踏まえなければいけないということです。


ここが全ての変形労働時間制に共通する「ツボ」なのです。











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>>編集後記


「36協定」と「来年の労働基準法の改正」は矛盾するのではと
最近思いました。



ご存知のように、36協定では、1ヶ月の時間外勤務の限度時間は
「45時間」とされていますよね。


ちなみに、36協定を提出しているから制限無く時間外勤務が
できるわけではありません。

協定を出して、手当も適正に払っていたとしても、時間外勤務に
は上限がありますので注意です。




一方、改正労働基準法では、月60時間超の時間外勤務も想定して
います。

60時間を超える時間外勤務は50%増しの手当を支給するという
アレです(皆さん知っていますよね)。



ここで疑問なのですが、月60時間も時間外が発生すれば、36協定
の範囲をオーバーしてしまうのではないでしょうか。


36協定で許される1ヶ月の時間外は45時間ですよね。


にもかかわらず、60時間も時間外勤務すれば、36協定に違反
しちゃうんじゃないですか?



先ほど書きましたが、36協定があるからといって、無制限に
時間外勤務ができるというわけでもありませんからね。



来年には、36条も一緒に改正するのかも(?)しれませんが、
ちょっと疑問に感じてしまいました。




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