2009/3/19号【36協定の限度時間はただの目安か?】

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□□┃  山口社会保険労務士事務所
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こんにちは。山口社会保険労務士事務所の山口正博です。



このレポートは、定期的に、コラム形式で、
労務管理に役立つ内容を配信するレポートです。

興味本位で読むのもよし。
就業規則を作る前に読むのもよし。
つまみ食い感覚(?)で読むのもよし、です。

どうぞ、ご自由にご活用下さい。


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今日のTOPIC
1:  36協定の限度時間はただの目安か?
>>>基準というわりにはキチンとしていない労働基準法

2: 編集後記

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■■  36協定の限度時間はただの目安か?
■■  基準というわりにはキチンとしていない労働基準法
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■36協定と改正労働基準法の関係。



以前、このメルマガの編集後記で、改正労働基準法と
36協定の矛盾について書いたことがありましたね。



以下、2009年3月2日の編集後記から抜粋です。
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「36協定」と「来年の労働基準法の改正」は矛盾するのでは
と最近思いました。

ご存知のように、36協定では、1ヶ月の時間外勤務の限度時間は
「45時間」とされていますよね。


ちなみに、36協定を提出しているから制限無く時間外勤務が
できるわけではありません。

協定を出して、手当も適正に払っていたとしても、時間外勤務に
は上限がありますので注意です。


一方、改正労働基準法では、月60時間超の時間外勤務も想定して
います。

60時間を超える時間外勤務は50%増しの手当を支給するという
アレです(皆さん知っていますよね)。


ここで疑問なのですが、月60時間も時間外が発生すれば、

36協定
の範囲をオーバーしてしまうのではないでしょうか。


36協定で許される1ヶ月の時間外は45時間ですよね。

にもかかわらず、60時間も時間外勤務すれば、36協定に違反
しちゃうんじゃないですか?


先ほど書きましたが、36協定があるからといって、無制限に
時間外勤務ができるというわけでもありませんからね。

来年には、36条も一緒に改正するのかも(?)しれませんが、
ちょっと疑問に感じてしまいました。

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抜粋終わり。


36協定には時間外の上限というものがあり、改正労働基準法
ではその上限の存在を忘れているのではないか、というのが
私の考えでした。


「60時間以上の時間外勤務に対しては50%の手当を支払う」
と決めてしまうと、「あぁ、60時間以上の時間外になっても、
手当を支払えば勤務することは可能なんだな」と周りの人に
思わせてしまうことになりますよね。


こうなると、労働基準法自身が労働基準法36条の内容を没却
するような状態になってしまうわけですから、どうしても私は
納得しがたいんですよね。


つまり、「自己矛盾」ではないかというのが素朴な疑問なのです。



この点について、先日、労働局に問い合わせましたので、その
内容を踏まえて書いてみます。







■刑法とは違う。


「36協定の限度時間を超過して時間外勤務をした場合には
どうなるのでしょうか?」

というのが私の質問でした。


その質問への労働局の答えは、

「指導の対象になります」

とのこと。


指導ということは、是正勧告でしょうか。


つまり、罰則は無いというわけです。

(ただ、何度も指導を受ければ変化があるかもしれません)




相手は「特別条項付き36協定」についても説明していたよう
ですが、

「特別条項付き36協定」というのは「特別」という言葉の通り、
特定の条件を満たした上で使えるルールです。


特別条項には、特定の条件を満たした時には36協定の限度時間が
延長されるという性質があります。


しかし、この特別条項付き36協定というのはそう簡単に使える
ものではなく、まして年中使えるルールでもありません。



となると、36協定の限度時間はただの「目安」なのかとも
考えれますよね。



例えば、刑法だと、何をすればどんなペナルティがあるかが
ハッキリと書かれていますね。



一例として、偽証罪だと、

第169条
「法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、
3月以上10年以下の懲役に処する」

と書かれています。


嘘の陳述をした(行為)から、3月以上10年以下の懲役(罰則)
が課せられるわけです。



一方、労働基準法では、

「~しなければならない」と書かれている規定は多いのですが、
罰則はセットになっていないんですね。


禁止行為だけを書いて、罰則は書いていない。



もちろん、労働基準法にも罰則はあります。

しかし、全てのルールに罰則があるわけではなく、一部の
ルールに罰則があるにとどまります。


「~せよ」と言うわりには強制力に欠けるのが労働基準法
なんですね。







■何のための基準なのか。


まず、基準である以上は「守らせなければいけない」という
姿勢が必要でしょう。


「破っても何も起こらない」と思われてしまうと、基準なのに
基準になっていないという残念なことになります。


もし限度時間を超えた時間外勤務をしたとしても、その企業を
指導するだけとなると、改正労働基準法に基づいて、企業が
36協定の限度時間を無視する(故意・過失にかかわらず)こと
を誘発してしまう可能性は十分にあるわけです。




となると、36協定の限度時間を変更をするか、改正労働基準法
(もう成立しましたけど)の内容を変更するか、どちらかの
対応が必要ではないかと私は考えています。


労働基準法自身が「グレーな行為」を誘発させているのは、
やっぱりおかしいと思うのです。









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>>編集後記


「知識加工業」

私は社会保険労務士の仕事をそんな風に評価することがあります。



今では、一般の方でも、法律の知識自体は十分に持って
いらっしゃる方が多いです。


企業の人事部や総務部に勤務しているならば、労働法については
相応にご存知でしょうし、法務部の方だと、民法や会社法、
証券取引法、金融商品取引法などなどの内容について精通
しているでしょう。

インハウスローヤーが法務部に在籍している企業もありますよね。



労働基準法の内容は、そのままでも相応に活用できるのですが、
時には使いにくいと感じる場面もあります。



ただ、「法律に無いことは会社で決めなければいけない」のが
労務管理の特徴ですから、工夫する余地というのは他の法律より
も多いのではないかと私は思います。


例えば、労働基準法は特別休暇については何も決めていません
から、会社で全て決めることになりますよね。

慶弔休暇、アニバーサリー休暇etc。


休暇に限らず、義務ではないけど会社独自で決めているルール
というのは探せば他にもいくつかあるはずです。



知識を組み合わせたり削ってみたりすることで、労務管理の
仕組みを考えるきっかけを提供するのも社会保険労務士の
仕事の1つではないでしょうか。


ゆえに、「知識提供業」ではなく「知識加工業」と表現
しているわけです。




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