賞与を支給する条件は、会社ごとに色々なものがありますけれども、賞与の支給額を決めるパラメーターの1つとして勤怠状況を考慮する事業所もあるでしょう。
欠勤せずにずっと出勤し続けた人がいる一方で、何らかの事情で欠勤した人がいるとすれば、後者よりも前者の方が賞与額が多くなる。そういう支給条件を設定している職場もあります。
そういう職場で、年次有給休暇を取った日を欠勤した日と同じ扱いにして、賞与を査定する過程でマイナスの評価をしてもいいのかどうか。
年休で休む日であれ、欠勤で休む日であれ、どちらも仕事を休んでいるという点では同じですけれども、年次有給休暇を取った日を欠勤と同じ扱いにして、賞与を査定する際にマイナス評価にしてしまうのは、年休取得に対する不利益扱いになります。
賞与以外にも、年休を取ると精勤手当や皆勤手当が支給されないという条件を設定してると、これも年次有給休暇を取得することを阻むものになりますから、不利益な扱いであると指摘を受ける可能性があります。
年次有給休暇に対する会社としての対応は、年次有給休暇を取得されると他に出勤する人がいなくなって、どうやっても仕事が回らなくなる状況なら、年休取得に対して時季変更権を使うというのが正しい対応です。
会社としてできることは、年休の申請に対して、その取得日を他の日に変更するぐらいのものです。
この時季変更権も、例えば、3月4日に年休を取得したいと申請されて、その申請に対して時季変更権を行使する場合は、3月4日からどの日に変更するのかを具体的に決めなければいけないわけです。
単に、3月4日に年休は取れません、という形で拒否をするだけでは年次有給休暇に対する時季変更権を行使したものとはなりません。
3月4日から年次有給休暇を取得すると申請されていたものを3月10日に変更する。これならば時季変更権の行使として正しいものになります。変更後の日程を決めるのがミソです。
単にその日は年休取れません、とか。その日はダメ、とか。 年休の取得を拒否するために用意されたのが時季変更権ではなくて、具体的にどの日に変更するのかを従業員の方と協議して決めるのが年次有給休暇の時季変更権の正しい使い方です。
話を賞与に戻して、年休を取得したことを欠勤として扱い、賞与が減るような扱いをせずに
、年次有給休暇の取得に際して、程度の差こそあれ、本人に不利益があるような扱いをするのはダメ、というのが労務管理ですので、年休取得に対して何らかの阻むような条件を作るのは避けておきましょう。