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小学校休業等対応助成金 学校が休校になって保護者が休むと、給与はほぼ全額補助に

 

大盤振る舞い

 

 

自分が持っている年次有給休暇が減るわけではない

新型コロナウイルス感染症に係る小学校等の臨時休業等に伴う保護者の休暇取得支援(新たな助成金制度)について(厚生労働省、2020年3月2日)

学校に対して、休校するよう要請を出し、保護者が有給休暇を取りやすくなるよう事業主に配慮を求める、との内容(筆者の記憶では)を安倍首相が国会で言っていたのがニュース番組で報道されていました。

その発言部分だけを切り取って報道されてしまうと、さも自分が持っている年次有給休暇を、半ば強制的に使わせられるんじゃないか、という風に受け手に解釈されてしまいます。

実際に、そのように解釈して、誤解してしまう人も出てきているのが実情です。

誤解されているのは、自分が持っている年次有給休暇を使わせられるのではないかという点ですが、実際はそうではありません。

報道する方も、単に「有給休暇」というフレーズのまま報道してしまうのではなく、補足説明で、「法定の年次有給休暇とは別に、特別な有給休暇を付与することを求めたものである」と付け加えておかないと、見た人や聞いた人が誤解してしまいます。

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持っている年次有給休暇は減らない。

メディア側が報道する際に、補足説明を怠ったがゆえに、情報を受け取った人たちが誤解してしまったのが実際のところではないかと思います。

『小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援 別紙』では、「労働基準法上の年次有給休暇とは別途、有給の休暇を取得させた企業に対する助成金」と書かれています。

特別有給休暇で休んでもらい、その給与を補助するのが助成金支給の条件となっていると分かります。

この特別有給休暇は、労働基準法39条に基づいて付与される年次有給休暇とは別のものです。

法律で付与される年次有給休暇を取得した場合は、助成金の対象外になるため、特別有給休暇で休む必要があります。

「有給休暇で休んでもらう」という言葉だけ聞くと、持っている有給休暇を強制的に使わせるような感覚になりますが、助成金を受給する条件で求められているものではありません。

特別有給休暇が助成金の対象になるならば、あえて法定の年次有給休暇を残しておき、特別有給休暇だけで休んで、助成金を受給するのもいいのでは。

法律に基づいて付与される年次有給休暇を対象者に使わせても、小学校休業等対応助成金の支給対象にはなりません。本人が持っている年次有給休暇とは別枠で、特別有給休暇を付与して、休んだ日の給与を全額支給すると、小学校休業等対応助成金の対象になります。

年次有給休暇ではなく特別有給休暇が必要。さらに給与を全額支給する。この2つの条件は必須です。 

社内での制度変更が間に合わず、先に年次有給休暇で休んでおいてもらって、後からそれを特別有給休暇に振り替える、という形でも助成金は利用できます。ただし、年次有給休暇で立て替えることについて本人が同意している必要があります。この場合でも、給与は全額支給にしておきます。 

 

 

小学校休業等対応助成金には上限額があるが、休業中の給与が全額補助される場合も

助成の対象になるためには、特別有給休暇を別途で設ける必要があり、本人の年次有給休暇を使うと対象外になります。

年次有給休暇の取得義務化に対応するために、「本人の有給休暇を使わせちゃえばいいんじゃないか」というのでは助成の対象にはなりません。また、本人の希望による休みではありませんから、使用者の判断で休ませると、使用者の責任による休業となり、休業手当が必要になります。

対象は、小学生以下の子供を持つ従業員。小学生だけでなく、幼稚園や保育園、認定こども園なども対象になり、小学生以下の子供を育てている従業員は広く対象になると考えていいでしょう。

助成の対象になる期間は、2020年の2/27から3/31まで。約1ヶ月ほどです。その後、制度が変更され、3/31までのところ、9/30までの間に取得した休暇も助成対象となりました。

なお、フルタイム社員だけでなく、パートタイマーも対象になります。

助成金の額は、1日あたり上限15,000円。この数字だけを見ると、大したことがないように思えますが、この助成金の特徴は、15,000円までならば全額を支給するところにあります。

助成額も2020年6月12日に変更され、上限額が8,330円から15,000円に引き上げられています。小学校休業等対応助成金が作られた当初は8,330円でしたが、雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金の上限額が15,000円に変わり、小学校休業等対応助成金の上限額もそれらと同一になりました。

ただし、3月31日までの休業分は1日8,330円の上限が適用されます。

給与の一部を補助するのではなく、15,000円までは全額補助になる。ここが雇用調整助成金とは違うところで、15,000円までならば、企業側に負担はありません。雇用保険や社会保険に加入していると、その半分は企業に負担がありますが。

公的保険料の負担を免除するのか、企業側の負担は通常通りにするのか。ここもまだ決まっていないところです。会社が助成期間が約1ヶ月であり、長期間ではないため、雇用保険料と社会保険料については通常通りになるとも想定できます。

特別有給休暇中の給与を60%以上に限らず、100%支給にしても、1日15,000円以内ならば全額が助成金カバーされますから、通常通り働いた場合と同額の給与を支給してしまうのもありです。

例えば、1日の給与が7,000円だった場合、15,000円以内なので、7,000円全額が公的に補助されます。そのため、企業側の負担はありません。

1日の給与が20,000円だった場合は、15,000円を超過した額(5,000円)は企業側で負担します。

パートタイマーの給与は、人によって違うでしょうが、1日あたりだと15,000円以内の方は多いのではないかと思います。

雇用調整助成金とは支給額が違うのが特徴です。保護者向けの助成金は、原則、給与の全額を補助するのがポイントです。

小学生にとってみれば、春休みが前倒しになって、夏休みがもう1回来たような状態です。

コロナウィルスが怖いという気持ちよりも、春休みが長くなって嬉しい気持ちのほうが勝っているのではないかと思います。

保護者は、給与が出て、休みになり、持っている年次有給休暇も減らないのですから、悪い話ではありません。

とはいえ、子供の学校が休みになったからといって、仕事をすぐに休めるような人ばかりではないでしょう。

こんな良い条件で助成金が出るのは稀ですから、条件にあてはまり、仕事を休めるならば、ぜひとも利用したいところです。

 

 

雇用調整助成金と小学校休業等対応助成金の違いは何か

両方とも助成金という点では同じですし、休むことで助成金を申請できるという点も同じです。

両者の主な違いは、雇用調整助成金は使用者の判断で休業しており、休業手当を支払っている、という点が特徴です。

一方で、小学校休業等対応助成金は、休業する必要はなくて、子供が休みになったので、その保護者も休まなければいけない、という状況になるのが条件です。使用者側の判断で休業させている雇用調整助成金とは違います。

また、休業手当という形で手当を支払う必要なく、給料を全額で支給する特別有給休暇を保護者に付与するという点も違います。休業ではなく特別有給休暇(年次有給休暇とは違うもの)ですからね。

雇用調整助成金は特例によって助成率が10/10まで引き上げられていますけれども、小学校休業等対応助成金は、条件を問わずに支給率が10/10です。特例の有無で区別はありません。通常タイプの助成金で10/10の支給率に設定されているのも特徴です。

ですから、雇用調整助成金を利用するよりも、小学校休業等対応助成金を使った方が、使用者だけでなく労働者にも有利です。子供を持つ人は公的制度では優遇されるものですから、小学校休業等対応助成金でも同様なのですね。

 

 

鍵っ子は問題なのか? 小学生で留守番をするのは普通のことだった

学校が臨時休校になり、保護者が休むケースもあるでしょうが、子供に留守番をさせる人もいます。

小学生ぐらいの子供を留守番させると、「カギっ子」と言われ、さも悪い事のように話されるのですが、小学1年生になったら、鍵を持っていないと不便です。

筆者が小学生だった頃、留守番をするのは当たり前でしたが、自宅の鍵を持っていないと、帰宅時に家に入れませんから、いつもランドセルに鍵を入れていたのを覚えています。

1人でいる方が楽しい時間も多いですし、テレビを見てもいいし、ゲームで遊んでもいい。漫画を読んでも、外に出てもいい。友達と出かけてもいい。今思えば、やりたい放題だったのです。

幼稚園や保育園に通う、小学生未満の子供ならば、保護者が見ていないといけないでしょうが、小学生になったらもう常に保護者がいなくてもいいのでは。

もちろん、誘拐や事故など、ある程度のリスクはありますが、それは中学生でも高校生でも同じです。

小学生に対して過度な保護をかけすぎではないかと。

カギっ子という言葉からネグレクトを連想する人もいそうですが、親は親でやることがありますし、子供は子供でやりたいことがありますから、小学生以降はカギっ子のほうが都合がいいのです。

 

小学校休業等対応助成金を受給するには、対象となる子供の世話をする保護者を、使用者が特別有給休暇で休ませる必要があります。

「対象となる子ども」とは、新型コロナウイルス感染症を理由に、学校や保育園、幼稚園が休校や救援になって、そこに通う子供が休むことになり、その保護者が子供に面倒をみるために休む。そういう場合の子供がまず1つ。

もう1つは、子供自身が新型コロナウイルスに感染して休む場合です。

この2つのパターンに当てはまる子供がいるならば、その保護者を特別有給休暇で休ませて、小学校休業等対応助成金を申請できます。 

 

 

保護者向けの助成金を申請する手続きはどうなるのか

申請窓口や必要な書面がまだ準備されていませんが、まもなく用意されるのだろうと思います。

雇用調整助成金の休業計画届が事後申請できるようになっていますから、保護者向けの助成手続きも、事後的に受け付けていくのでしょう。

出勤簿や賃金台帳に記録しておき、後ほどの申請に備えておくといいでしょう。

2020年3月6日時点では、助成制度を創設するとの案内だけで、申請書のフォーマットはなく、添付書類や申請期限も決まっていません。

その後、制度の詳細が決まり、申請書類も厚生労働省のウェブサイトに掲載されています。

事業所では、特別有給休暇を付与して休ませたという記録を残しておく必要があります。また、出勤簿、賃金台帳、労働者名簿、従業員と子供の関係を証明する書類(住民票の写し)も必要になるのではないかと思います。

2月27日から9月30日までの出勤記録や賃金の記録をきちんと残して、後ほどの申請手続きに備えておくといいでしょう。

雇用調整助成金のように、事前に計画届を出す必要はなく、先に特別有給休暇で休んでもらい、その後に、出勤簿や賃金台帳など必要書類を申請書と一緒に提出して、助成金の申請をするという形になるはずです。

ですから、2月27日から9月30日まで特別有給休暇で休ませた、という記録をきちんと残しておく。また、給与明細もきちんと発行しておく。

必要な書類は、雇用調整助成金と似たようなものになる可能性が高そうですが、小学生以下の子供の保護者であるかどうかを判断する書面が必要になるでしょう。

休業した従業員本人と子供との関係がわかる書類といえば、住民票の写しですから、その添付も必要になる可能性があります。マイナンバーカードを持っている方だと、コンビニで発行できます。

3月2日時点では、申請手続きの方法や書類については案内されていませんから、それらを用意する必要はありませんが、事前にこういう書類が必要になるだろう、という予測は立てておきたいものです。

 

 

『新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金』という名称に

2020年3月9日に助成金の詳細が発表され、助成金の名称は、「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」になるとのこと。

重要な点なので繰り返しますが、この助成金を受給するには、法律に基づいて付与される年次有給休暇とは別枠で、特別有給休暇を取得させることが条件になります。

「従業員本人の有給休暇が残っているから、それを使ってもらおう」と考えると、間違います。

学校や保育園、幼稚園などが臨時休校なり臨時休園になって、保護者が休まなければいけなくなった場合に、収入が減るため、それを補填するのが、この助成金の目的です。

1日あたり15,000円までは満額で支給される助成金ですから、仮に20日出勤するとして、1日の給与が7,000円だとすると、上限額の範囲内で満額支給になり、14万円が助成金として支給されます。

助成金が支給されるとはいえ、そもそも仕事を休めない方もいらっしゃいますから、ここは企業や個人ごとに対応が分かれるところです。

小学生の子供だったら、1人で留守番する子も少なくないでしょうし、祖父や祖母、親戚の人が面倒を見てくれることもあります。

助成金が支給されることと仕事を休めるかどうかは別の問題です。

いつ申請するのか。必要な書類は何か。この点はまだ決まっていないようですが、おそらく休業期間の3月31日が経過して、4月以降に事後申請する形になるのではないかと思います。

必要な書類は、申請書、出勤簿、賃金台帳、休業した保護者の住民票の写し(保護者と子供の関係を証明するもの)などが必要になるはずです。

 

 

小学校休業等対応助成金を申請する手続きの詳細

令和2年(2020年)3月18日より、小学校休業等対応助成金(新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金)を申請する手続きの受付を開始しています。

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金を申請する際の必要書類や支給申請書

申請期間は、3月18日から12月28日まで。なお、助成金が支給される対象となるのは、令和2年2月27日から9月30日までの期間です。制度が変更され、申請期間と助成対象となる期間も延長されています。

申請は事業主単位で行い、従業員個人では手続きできず、事業所単位でもありません。本店と複数の支店に分かれている会社の場合は、本店で申請をまとめて、一括で申請します。

法定の年次有給休暇を使った日や欠勤になった日を、後から特別有給休暇に振り替えた場合も、この助成金の対象にできるとのこと。すでに欠勤になってしまっている日や、従業員本人が持っている年次有給休暇を使ってしまっても、後からそれらの日を特別有給休暇に変えて、助成金を申請することも可能になっています。

欠勤や年次有給休暇だと助成対象になりませんが、遡って特別有給休暇に変えれば、助成の対象にできますので、「後出しジャンケン」が認められているわけです。

2020年12月28日まで申請できますから、6月から多くの学校は再開されており、3月から6月のものをまとめて、12月までに申請すればいいでしょう。

子供との関係を示す住民票の写しは必要なく、小学校が臨時休校になったと確認できる書類(学校からの通知やお知らせプリントなど)で足りるようです。

日額15,000円までは全額が助成されるものですから、3月末まで特別有給休暇を取れる職場ならば、ぜひ利用したい助成金です。

子供が休みになったからといって、親がすんなりと休める方は多くないかもしれませんが、給与がほぼ全額補助されて、仕事を休める助成金など今までありませんでしたから、特別有給休暇を取って休める職場ならば利用してみてはどうでしょうか。

特別有給休暇を取得できるよう就業規則を変更する際、費用がかかった場合は、働き方改革推進支援助成金(職場意識改善特例コース)を利用できます。

小学校休業等対応助成金とは別で、保護者が特別有給休暇を取れるよう環境を変えた際に利用できるのが働き方改革推進支援助成金。それぞれ別の制度ですから、併用も可能となっています。

 

 

追記(2020年3月31日):対象期間が6月30日まで延長に

3月末までの休業が対象となっていた新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金ですが、期間を延長し、4月1日から6月30日までの期間も助成の対象となります。

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金・支援金の延長について

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金とは、子供の学校が休みになり、その親が仕事を休んだ場合に対象となる助成金です。

事業主が対象の従業員を特別有給休暇で休ませ、給与を支払うと、その費用を助成金で補助するというもの。

従業員本人が申請するものではなく、特別有給休暇を与えて従業員を休ませた事業主が申請するものです。

1日あたり8,330円までは満額で支給される助成金で、対象となる従業員が休める職場ならば利用したい制度です。

しかし、子供が休校で休みになっても、親が特別有給休暇で休めないと助成金の対象になりませんから、職場や業種によって状況が異なります。

保護者となる親が仕事を休んでも支障がない職場ならば、雇用調整助成金を利用するよりも有利な助成金ですから、積極的に利用したいところです。

学校が休校になり、職場も休業になる。このように条件が整うならば、事業主も申請しやすいでしょう。

子供を持つ保護者を特別有給休暇で休ませ、他の従業員には休業手当を出すところですが、休業手当の代わりに特別有給休暇を設けて、全員を同じ扱いに揃えるのも1つの方法です。

その後、制度が変更され、対象期間は9月30日まで延長されています(下記参照)。

 

 

追記(2020年4月16日):2020年4月分の申請を受付開始

緊急事態宣言により、ゴールデンウィーク明けまで休校になる学校が多く、小学校休業等対応助成金も対象となる期間を6月30日まで延長しています。

休校になって学校に行けない子供を持つ従業員を、特別有給休暇で休ませると、その給与を補助するのが小学校休業等対応助成金。

雇用調整助成金の助成率は特例で最大90%になっていますが、小学校休業等対応助成金は助成率が100%で、1日8,330円までならば給与の全額が助成金で支給されます。

パートタイムで働く人だと、1日の給与が8,330円を下回る方のほうが多いでしょうから、会社の負担無しで休ませるには都合が良い制度です。

職場によっては、出勤する人が足りなくなるので休めないところもあるようですが、休む人は特別有給休暇、出勤する人は給与を割増して、不公平感を解消しながら助成金を利用する方法もあります。

なぜ小学校休業等対応助成金を使って従業員を休ませないのか。

 

 

追記(2020年5月26日)【特例】上限額が1日8,330円から15,000円に引き上げ

特別有給休暇(法定の年次有給休暇とは別枠で用意する必要あり)を設けて対象者を休業させ、小学校休業等対応助成金を利用した場合、助成額は1日あたり8,330円が上限でしたが、特例で制度が変更され、上限額が15,000円に変わります。

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金・支援金の上限額等の引上げ及び対象期間の延長について(厚生労働省)

上限額が引き上げられると、会社が負担する特別有給休暇中に支払う賃金の超過額が減り、出ていくキャッシュも少なくできます。

さらに、特例が適用される期間は、2020年6月30日まででしたが、これを9月30日まで延長されます。また、申請期限は2020年9月30日までだったところ、12月28日までに延長されます。つまり、9月末までの休業は対象になるということ。

緊急事態宣言は5月末を待たずに解除され、6月からは学校も再開されていくようですから、小学校休業等対応助成金を最大限に利用するとしても、6月分で申請を終える事業所が多いのではないかと思います。申請手続きは2020年12月28日まで受付できるようですから、手続きのための時間には余裕があります。

過去の期間にさかのぼって申請できますから、特別有給休暇で対象者を休ませた場合は、確実に取っていきたい助成金です。

雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金は条件によって助成率が変わりますが、小学校休業等対応助成金の助成率は10/10、つまり100%で固定されていますから、前者の助成金よりも後者を利用する方が有利です。

1日15,000円が上限となれば、パートタイマーの方だと賃金の全額が助成金で補填できるのでは。フルタイムで働く方だと超過額が発生するかもしれませんが。

引き上げ後の制度が適用されるのは2020年4月1日以降に取得した特別有給休暇で、3月分の特別有給休暇は以前の上限額8,330円が適用されます。

対象期間が9月30日までですから、過去にさかのぼって、年次有給休暇を特別有給休暇に振り替える、欠勤を特別有給休暇に振り替える、勤務時間を短縮したものを特別有給休暇に振り替えるなど、労働者の同意は必要なものの、事後的に特別有給休暇に切り替えて、小学校休業等対応助成金を申請するという手もあります。

遡って特別有給休暇に振り替える場合は、どういう形で振り替えたのかが分かる明細を同意書に添付しておくと申請時に都合が良いでしょうね。

 

 

追記(2020年6月12日)上限額が1日15,000円に。対象期間も2020年9月30日まで延長

雇用調整助成金と緊急雇用安定助成金の1日あたりの上限額が15,000円に変更され、小学校休業等対応助成金も1日あたりの助成額の上限が15,000円になりました。

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金・支援金の上限額等の引上げ及び対象期間の延長について(制度改正のお知らせ)

15,000円になるのは、4月1日以降の休暇が対象で、3月分の休暇は1日8,330円で計算されます。

この小学校休業等対応助成金の特徴は、制度が開始された当初から助成率が10/10、つまり100%に設定され、雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金では、少なからず会社が負担する休業手当が生じるものですが、「特別有給休暇中に支払った賃金の100%」が助成額になり、上限額の範囲内だと賃金の全額を補填できるものです。

対象となる期間は9月30日まで延長されましたが、6月中旬時点で、多くの学校では休校が解除され、通常通りに戻りつつありますから、申請するとしても6月分までで終わるのではないかと思います。

なお、申請書を出す期間は、2020年12月28日までですから、時間に余裕があります。

子供が休校になったからといって、その親が仕事を休めるかどうかは、どういう仕事をしているかによって異なります。

緊急事態宣言中も通常通りに営業を続けていたお店や会社もあるわけですから、そういう職場で働いている方は、学校が休校になるかどうかに関わらず勤務していたのではないかと思います。

日常的に医療的なケアが必要な子ども、新型コロナウイルスに感染すると重症化するリスクが高い基礎疾患を持った子ども、このような子どもを持つ親を特別有給休暇で休ませるのが主眼の制度のようですから、子どもがいるというだけで休めるかどうかは別問題なのでしょうね。

特別有給休暇で休む人がいれば、休まない人もいるわけですから、休まずに勤務する人に対してどういうインセンティブを用意するかも考えておく必要があります(手当を付けるなり、給与を加算するなり)。また、誰が特別有給休暇で休む対象となるのかも線引きする必要もあるでしょうね。

 

 

追記(2020年11月27日)小学校休業等対応助成金の対象となる期間が2021年2月末まで延長されます

小学校休業等対応助成金の対象期間は2020年9月30日まで延長されていましたが、さらに2021年2月末まで延長される予定です。

特別有給休暇で休んで小学校休業等対応助成金の対象となる期間が2021年2月末まで延長されますが、申請期限は少し変わっていますので注意が必要です。

2020年2月27日から9月30日までに特別有給休暇を取得した分は、2020年12月28日までに申請する必要があります。また、2020年10月1日から12月31日までに特別有給休暇を取得した分は、2021年3月31日までに申請する必要があります。取得時期によって申請期限が違います。

2021年2月末までの取得分が小学校休業等対応助成金の対象となるので、2021年1月1日から2月末に特別有給休暇を取得した分は、申請期限は2021年5月末になるのではないかと思います。

子供の学校が新型コロナウイルス感染症の営業で臨時休校になったときに、その保護者が特別有給休暇で休むと、小学校休業等対応助成金の対象になります。助成金を申請するのは、休んだ保護者ではなく、勤務先の会社です。

支給される助成金は10/10、つまり賃金の全額で、上限は1日15,000円ですが、パートタイマーの方だと15,000円を超える給与の方は少ないのではないかと。1日7時間勤務としても、1時間2,000円を超える賃金ですから、特別有給休暇で休んだ日の給与は助成金で全額が補填されると考えていいでしょう。

親がいなくても留守番ができる小学生もいますが、常に親が在宅している家庭もあります。筆者は、親が仕事に行っているならば、一人でも留守番する小学生でしたが、そういう家庭では親は休まずに仕事に行けます。しかし、家庭によっては常に親が家にいないといけない、というところもありますから、そのようなケースではこの小学校休業等対応助成金を利用するのかもしれません。

幼稚園や保育園に通う子供が家に1人でいるのは難しいですが、小学生になれば1人でも家にいれるでしょうから、小学生未満の子供を持つ保護者が職場にいれば、小学校休業等対応助成金を利用して特別有給休暇で休ませるのでしょう。

一方で、子供が小学生だったら、「もう留守番できるだろうし。親が仕事を休まなくてもいいだろう」と判断することもあります。

職場に、幼稚園や保育園に通う子供を持っている方がいるならば、特別有給休暇を取得できる制度を設けて、小学校休業等対応助成金を利用するように環境を整備するといいですね。特別有給休暇を取ってから後で制度を整備してもいいですし、先に制度を作ってから特別有給休暇を取る形、どちらでも助成金を申請できます。

特別有給休暇で休む方がいる職場では、休まずに出勤する人に対して割増賃金や手当などを用意してバランスを取る必要があります。休んだ人のフォローに入る人を対象に報酬が増えるように、例えばフォロー手当として1日1,000円を付けるなど、休む人だけでなく、休まない人への工夫も同時にしていく必要があります。

 

 

参考:
小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金を創設します(厚生労働省)

小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金を創設しました

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金・支援金の延長について

小学校休業等対応助成金・支援金(4月以降分)の申請受付を開始します

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金・支援金の上限額等の引上げ及び対象期間の延長について(2020年5月26日)

新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金について(2021年8月から12月までの期間も助成対象に)

 

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