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利益があるから診断書や領収書を偽造する

利益に反応

 

診断書偽造、283日不正休暇 職員を懲戒免職―関東農政局

 診断書を偽造するなどして不正に病気休暇や特別休暇を計283日取得したとして、農林水産省関東農政局は29日、同局消費・安全部の新井次男主任広域監視官(55)を懲戒免職処分とした。監視官は不正を認めているという。同局は不正分の賃金に相当する約600万円の返還を求めており、刑事告訴も検討している。

 同局によると、新井監視官は2013年1月~18年12月の間、医師の診断書などの証明書類計62通を偽造するなどし、病気休暇と特別休暇計283日4時間15分を不正取得していたという。

 

 

診断書を信用する人 診断書で騙される人

医師の診断書があれば、有給で休むことができる。ならば、診断書を自分で作ってしまえばいいじゃないか。そう思う人が出てくるのは無理からぬ事。

ただの病気欠勤だと、給与が出ませんし、人事評価にも影響があるでしょうから、休む側の気持ちとしては、診断書を持って行って有給の休みにしたいと思うもの。

病気で休むとき、その場の気分で「じゃあ、診断書持ってきて」などと言う人がいますが、診断書を作ってもらうのはタダではありませんし、就業規則に予め定めていることも必要です。

人によって対応を変える人もいて、ある人には診断書を求めないのに、別の人には診断書を要求するなんてこともあります。普段から仲の良い人は診断書を持ってこなくていいが、それ以外の人には診断書を要求する。もはや職場のルールや就業規則など無関係で、マイルールで労務管理をやっているとこんなことも起こります。

約6年間で283日の休暇ですから、1年あたり40日強、つまり1年のうち1割は不正な休暇だったというわけです。

病気で休むことは誰にでもあることですけれども、10日に1日程度のペースで病気欠勤する人がいたら、何だか変だよねと感じることもあったのでは。

インフルエンザや感染性胃腸炎だと数日で治癒しますし、症状も比較的はっきりしていますから、診断書を自分で作るのは難しいのではないかと思います。他方で、うつ病の診断となると、本人の自己申告によるところもありますし、医師も客観的に診断しにくいものですから、実際に症状はないのに診断書が作られてしまう可能性もありそうです。

どのような症状で診断書が作成されていたのかは明らかではありませんが、6年間で62通の診断書を作ったとなれば、おそらく精神疾患を装って作り出したものではないかと想像します。インフルエンザなど症状がはっきり出るものは、頻繁に罹患するものではありませんし、精神疾患だと外見から判断しづらいので、診断書を偽造するには好都合です。「詐病利得」という言葉もあるぐらいですからね。

受け取る方は、医師の診断書だからという理由でチェックもせずに受け付けてしまいがちです。一方、渡す方は、診断書があれば有給で休めるという利益があるため、何か理由を付けて診断書を作り出してやろうという不順な動機を持ちやすいものです。

 

利益があるから書面を偽造する

診断書の偽造は領収書の偽造に通じるところがあります。

世の中には、領収書を打ち出の小槌のように使う人がいて、領収書を然るべきところに持っていけば、記載金額の現金を受け取れると考え、本来は支出していない領収書を作り出すわけです。

領収書を偽造し、お金を手に入れる。一時期、地方自治体で政務調査費に関するニュースが報道されていました。政務調査という名目で支出し、領収書を作ってもらえば、後日、その領収書を事務局に持っていくと現金が振り込まれる。他にも、切手を10万円ほど買って、それを政務調査費として、実質無料で切手を手に入れるとか。

領収書が現金に変わるとなると、偽札作りのように、領収書を偽造する人が出てきます。これは政治家に限ったことではなく、民間企業でも起こります。

とある書類が経済的価値を生み出すとなると、それを自ら作り出そうとする人が出てきます。偽札などはその典型。他にも、コンサートのチケット、ギフト券などの金券、もう廃止されましたが高速道路の通行券も偽造のターゲットにされやすいものです。

診断書も、勤務先にそれを提出すれば、給与を貰いながら休めますので、金券類と同じです。

無給で休むだけならば、さほど利益はありませんが、有給となれば二重にオイシイ。だから、「よし、作ったれ」と悪いことをやっちゃう。

ならば領収書や診断書を用いる以外に良い手段があるのかというと、他に代替的な良案がないのが現実。

 

その診断書、本当に必要ですか?

どういう場合に診断書が必要なのか。この基準がはっきりしない職場は少なくないのでは。

上司の気分次第で、診断書を要求したりしなかったり。これでは困るわけです。

風邪で休むときに診断書が必要でしょうか。
インフルエンザで休むときは診断書は要るのか。
感染性胃腸炎で休んだときはどうか。
うつ病で休んだときは必要なのか。

怪我の場合でも、転んで捻挫した程度で診断書が必要なのか。それとも骨折までしたらそれが必要なのか。

単に、ズル休みをさせないために診断書を要求しているだけでは、と疑いたくなるときもあるぐらい、どういう基準で診断書を求めているのかはっきりしないのです。

有給の病気休暇や特別休暇となると、給与が出るため、診断書が必要なのかもしれません。しかし、経済的利益があると書面は偽造されやすくなりますから、その点への対応が必要になります。

おそらく、無給の休暇だけならば、あえて診断書を偽造してまで休む人は少ないはずです。休めば収入がありませんし、ズル休みが続けば「アイツ、使えねーな」と他者からの評価も下がります。

どうしても診断書が必要だと考えるならば、書面を作成した相手先の医療機関に問い合わせるぐらいの気概を持たないといけないでしょう。私文書偽造や詐欺も関連してくる行為ですから、偽造されたものとなれば、医療機関の医師、診断書を持ってきた本人は責任を負います。

金銭がらみの不正は少額でも懲戒解雇としている会社もあります。不正に休暇を取り、給与が支給されたとなれば、懲戒解雇もあり得ます。

「調査なんて、面倒くさい」と思うならば、最初から診断書など求めないことです。取るだけ取って、確かな書面かどうかもチェックしない。だったら最初から取るな、と。

他には、有給の病気休暇を作らないのも対策の1つです。有給の休みは有給休暇だけに限定し、他の休暇は無給にしておくと、経済的利益がありませんから、診断書を偽造するインセンティブが減ります。

病気でそれなりの期間、休む場合は、健康保険から傷病手当金が支給されますから、なおさら病気休暇を有給にする必要はないのです。

無給でもズル休みしたい人がいるならば、それは勝手にさせておきます。給与も無しに休み続けるのは楽なものではありませんし、他者からの評価も下がります。

年次有給休暇の管理にまつわる疑問と正しい対応例
働いてる人にとって年次有給休暇は関心を集めますから、労務管理でも疑問や問題が生じやすいところですよね。労務管理でもトラブルになりやすいのが年次有給休暇の取扱いです。ならば年次有給休暇についてキッチリしている職場にすれば、働いている人たちからの評価も上がっていくでしょうね。

 

 

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