労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

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休日を減らして有給奨励日を設定してもいいのかどうか。

帳尻合わせ

 
 

ドトール、休日減らして「有給奨励日」に 有給取得の“水増し”に厚生労働省「望ましくない」

 「ドトールコーヒーショップ」を運営するドトールコーヒー(東京都渋谷区)は、今年度から本社の年間休日を「119日」に固定した。従来は土日祝日を公休日としていたが、変更により一部の祝日が出勤日となった形だ。出勤日となった祝日については「有給奨励日」という形を取っている。同社と、さらにグループ会社で厨房設備の販売などを手掛けるマグナ(東京都港区)の従業員が対象だという。労働組合はないため、過半数代表者の同意によって就業規則を変更した。


従来は休みになっていた祝日が有給奨励日になり、休みが減ってしまっているのが問題のようです。

休日だったものが有給休暇に変わってしまうと、「休日 + 有給休暇」のところ「有給休暇」になりますから、休日が消滅します。

年に5日は年次有給休暇を取るように義務化され、それに対応するため祝日を有給休暇に変え、年間の休日日数の帳尻を合わせた結果とのこと。

年間休日の中に年次有給休暇の日数まで含めて固定されると、有給休暇が増えれば他の休日を減らさざるを得なくなります。

とはいえ、従業員にとっては、休日が1日なくなってしまい何だか納得できないところ。

 

有給休暇の取得を奨励することは構わない。

有給奨励日を設けることそのものは問題ありません。しかし、有給休暇を取得した日数の分だけ休日を減らしては従業員にとっては意味がない。言うなれば朝三暮四です。

休日から「休日 + 給与」という形に変わっていますから、若干の変化はありますが。

祝日が有給休暇に変わってしまうケースでは、祝日をどのように取り扱うかが問題となります。

法定休日を潰して有給休暇を取るのは労働基準法35条違反になりますが、それ以外の休日をどうするかは雇用契約や就業規則で決めます。

例えば、毎週土日が休みだとして、日曜日は休日にして、土曜日を有給休暇に変えた場合。日曜日に法定休日を取れていますから、土曜日に有給休暇を入れたとしても、法律上の問題はありません。ただし、雇用契約や就業規則に反する可能性はあります。

有給休暇の取得を奨励するならば、「毎月、有給休暇を1日取っていただくのが望ましい」という形で取得してもらうのも一案です。

勤務シフトを作成する段階で、毎月、どこかに1日の有給休暇を入れていく。仮に、月に1日の有給休暇を取り続けていくと、2年で24日になりますから、年次有給休暇が時効で消滅することはありません。月に1日だけならば影響も大きくないのでは。

子供の運動会を見に行くというようなイベントに絡めて有給休暇を使ってもらうのも良い方法です。

運動会は日曜日に開催されるため、もともと日曜日が休みの職場では意味がないものの、年中無休のサービス業だと有給休暇を取って運動会を見に行くことができます。

学生ならばテスト休みに有給休暇を使ってもらう。風邪で休んだ日に有給休暇を使ってもらう。入学式や卒業式を見に行くために有給休暇を使ってもらう。

何らかのイベントに絡めて有給休暇を取るように奨励していけば、日数の消化も進むのではないでしょうか。

 

 

有給休暇を取得する期間と日数で条件を設定する。

他の方法としては、強制的に有給休暇を取らせるのではなく、まずは任意で取得してもらい、一定期間内に取得日数が少ない人は、会社が時季指定するというのもありです。

例えば、4月から9月までに有給休暇を3日以上取得する。さらに、10月から翌年3月までに有給休暇を3日以上取得する。これだと年間で6日以上になるので、年5日の義務ラインを超えることができます。

期間ごとにリミットを設定して、有給休暇を取っていく。指定の日数以上に有給休暇を取得できていれば、会社が時季指定する必要はなくなります。

従業員にとっては、自分のスケジュールで有給休暇を入れることができます。一方、会社にとっては、時季指定する手間を省ける。一石二鳥です。

このように有給休暇を取得する期間と日数にリミットを設定して運用するのが良いのではないかと思います。

休みだった日を有給休暇に変える。これは就業規則を変更すれば実現可能ではあります。

しかし、職場では今まで祝日は休みだったという既得権が出来上がっており、ここが就業規則を変更する際の壁になります。

 

 

有給休暇は使えば無くなる。

日数無制限で有給休暇を使えるものではなく、勤務形態や勤続年数で変わりますが、年間で最大でも20日付与されるにとどまります。

毎月1日ずつ使っていくと、2年で全て消化してしまう程度のものですし、使えるときに使ってもらうぐらいの対応で良いのではないかと思います。

有給休暇は給与と同じぐらい関心度が高いところで、有給休暇を使いにくくするのは給与を減らすぐらい印象の悪いものです。

有給休暇の使い方で嫌な思いをして、従業員が辞めて、また新しい人を採用して、教育したものの、また辞める。

人が辞めやすい職場になり、有給休暇を取らせているよりも費用がかかる可能性もあるのでは。

逆に解釈すると、有給休暇を取りやすい職場は人が辞めにくい職場なのだろうと思えます。

年次有給休暇をいかに満足できる形で使ってもらえるか。これは給与や賞与と同じように考えていかないといけないところです。法律だけでなく、人の感情も考えていくのが労務管理なのです。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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