メルカリ、新休暇制度を導入 - 有休とは別に10日間の病休を付与
メルカリは7月1日、組織のグローバル化に合わせた新休暇制度として、「Sick Leave」と「リラックス休暇」を導入したと発表した。
「Sick Leave」は、社員本人の病気・ケガを事由とした休暇を年10日、有給休暇とは別に診断書などの証明書は原則不要で付与されるもの。
従来の制度では、病気が理由で休みを取得する場合、有給休暇から取得する必要があった。欧米企業やグローバルに展開している企業では有給休暇とは別に病気の際に取得できる休暇を用意している企業が多くあり、安心して有給休暇を取得できるという声を受け、新制度が導入された。
傷病時に取得できる休暇をメルカリが導入したとのこと。診断書不要で利用できるのは良いところ。
働き方改革という言葉を聞く機会が多いですが、休暇制度を作るのもその一環であろうと思います。
ただ、休暇を新しく作るのも一案ですが、条件の設定や運用が必要になるため、休暇の種類が少ない段階では気になりませんが、メニューが増えてくると管理に手間がかかります。
休暇制度を作らずに、年次有給休暇を増やして対応することもできます。例えば、年に10日ではなくとも、1年間で傷病にかかる可能性を織り込んで年に3日の年次有給休暇が加算されるというものです。
休暇制度を年次有給休暇に集約しておくことで、管理と運用が容易になります。日数を加算するだけで対応できますから、年次有給休暇を管理する帳簿があれば、それをそのまま利用できます。
また、年次有給休暇ならば、医師の診断書が必要かどうかを検討する必要はありません。さらに、理由を問わず利用できる休暇ですから、傷病以外の用途で使っても構いません。特定の目的で作られた休暇と違い、年次有給休暇は汎用性が高いのです。
具体的には、法律で決まった年次有給休暇が付与される段階で日数を加算します。
勤続6ヶ月時点で10日のところ、これを13日にする。
2年6ヶ月時点で12日のところを15日にする。
このように法律で決まった日数に加算して、それを傷病時に利用するわけです。
休暇制度を新たに作ると、制度ごとに対象者や日数など条件を設けて運用していかなければいけませんから、管理する手間が増えます。作るだけ作って、実際は利用されないのでは意味がありません。
個々人の事情に合わせて、自由に休暇を取得するのが目的ならば、なおさら年次有給休暇の方が親和性が高いでしょう。
会社が裁量的に付与できる特別休暇制度を作ってもいいかどうか
事前に雇用契約や就業規則で休暇制度について定めずに、状況に応じて、会社が裁量的に特別休暇を付与できるようにする。そういう仕組みを作ってもいいのかどうか。
例えば、就業規則に、「会社は従業員に特別休暇を付与する場合がある」と決め、その特別休暇を付与する場合は、社内の連絡板に掲示したり、個別に通知する、という形で対応する。
つまり、事前に、雇用契約や就業規則で、対象者や休暇の日数といった具体的な内容を決めるのではなくて、状況に応じて特別休暇を付与できるようにするものです。
一つ一つの休暇制度を作っていては、対象者や休暇の日数、給与を有給にするか無給にするか、といった条件を決めなければいけませんから、そういう手間を省くために、会社側の裁量で付与できる特別休暇を作っておくわけです。
特別休暇は、法律で決めているものではありませんから、会社が独自にかつ自由に特別休暇を作ることは可能です。
ですから、就業規則に、会社側が裁量的に付与できる特別休暇制度というものを作ったとしても、それは有効です。
ただし、使用者の都合で従業員を休業させているにもかかわらず、「それは特別休暇による休みだ」という形にされてしまうと、本来なら休業として扱わなければいけないものが特別休暇になってしまい、休業手当を支払うのを免れる手段として、その裁量的な特別休暇制度が濫用される可能性がある、という点は注意が必要です。
仮に、雇用契約で、週5日働く、という形で約束しているならば、会社は従業員を週5日で働けるようにしなければいけません。勤務時間でも、10時から19時まで働くという雇用契約になっているならば、働く時間を前後にずらしたとしても、休憩時間が1時間入るとすれば、8時間の労働時間を確保できるようにしなければいけない。
ですから、特別休暇を入れることで、週5日勤務が週4日勤務になってしまったときは、別の週に勤務日を追加することで、雇用契約の内容をきちんと履行できるように工夫しなければいけないわけです。
一つ一つ休暇制度を作らずに、特別休暇制度をひとつだけ作って、その休暇制度で色々な場面に対応していく、という案は良いかと思います。しかし、注意点としては、先ほど書いたように、休業を特別休暇にすり替えてしまうようなことがないようにしないといけません。
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