労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

喫煙者にペナルティを課すのではなく、喫煙しない人へご褒美を出す。

 

罰と褒美

 


改正健康増進法、第二段階施行。


2018年7月25日に公布された改正健康増進法は、3つの段階に分けて施行されています。

受動喫煙対策(厚生労働省)

まず2019年1月24日に一部が施行され、さらに7月1日から第二段階の内容が施行されました。2020年4月になれば改正内容が全面施行され、飲食店や事務所なども対象になります。

2019年7月1日からは、学校や病院など、法律では第一種施設と呼ばれていますが、やや公的な施設で敷地内禁煙となります。

病院ではすでに禁煙となっているところがほとんどですし、大きな病院に行くと喫煙室が設けられていて、その場所に限って喫煙可能となっています。

学校では、構内に灰皿は無いものの、建物の外に灰皿を置いて喫煙所にしているところがあります。この場合も、煙が流れていかないように措置をとっていく必要があります。

2019年1月24日の第一段階では、喫煙時に周囲の状況に配慮するところまででしたが、7月の第二段階では「禁煙」という言葉を出して制限を強めています。

規制を強める一方で、受動喫煙を防ぐためには相応の設備が必要ですから、そのための助成金が用意されています。

受動喫煙防止対策助成金(厚生労働省)

助成額は、要した費用の2分の1(飲食店は3分の2)で、上限額は100万円。煙を取り除くための換気装置、煙が流れてこないようにエアカーテンを設置するなどに要した費用が助成の対象になります。

 

 

 

タバコの価格は2倍。喫煙者数は半減。


喫煙者には肩身が狭い世の中ですが、世の中の潮流は禁煙の方へ流れているため、それに抵抗するのは難しいでしょう。

じりじりとタバコの価格も上がっています。以前1箱1,000円という話が出てきて、賛否両論が起こったものの、一気に価格を上げるのではなく、じわじわと上げているのが現実です。

来月から1,000円となれば実現しにくいですが、数十円ずつ年数をかけて上げていけば、いずれは1,000円近くまで上がっていくはずです。

1990年頃、お使いでタバコを買いに行っていたのですが、1箱240円だったと記憶しています。今はタバコを購入する際にtaspoが必要ですから、子供がお使いで買うことはできません。

90年に240円だったものが2019年だと1箱480円ほどに価格が上昇しています。30年でタバコの価格は約2倍になっているわけです。

成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査)によると、30歳代男性の喫煙率は1990年時点でおよそ68.5%。それが2018年になると、33.1%に低下しています。

価格は2倍になり、喫煙者も半減したわけです。

ちなみに、昭和40年だと、全世代で男性の約8割が喫煙者だったとのデータもあり、2019年現在からすると想像できないほどの喫煙者率です。


負の外部性を発生させるものには課税するのが税制です。ガソリン車は排気ガスを出しますから、車両やガソリンに対して課税されています。

一方、ハイブリッド車やEV車は環境に対する負荷がガソリン車に比べて小さいため、車両を取得するとき、その後の維持費でも負担が軽くなるように制度が設計されています。

タバコも煙を出して人に嫌がられるものですから、ガソリン車に似ています。それゆえ、たばこ税が課せられているわけです。

 

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受動喫煙のない社会を目指して






非喫煙者に対する優遇策。


喫煙者を採用しない企業もあるぐらい喫煙に対する風当たりが強くなっていますが、喫煙しない人に対するご褒美を用意する企業もあります。

一例として、非喫煙者は年次有給休暇を年4日加算するところがあります。

喫煙のための小休止を積み上げていくと、年間で10日ほどになるようで、その代償として喫煙しない人には年次有給休暇が4日増えるようです。

喫煙者に対してペナルティを課すのではなく、非喫煙者に対してインセンティブを与える方向にしているのが良いところです。


他には、スポーツクラブやジムの会費を補助というのも良いかもしれません。毎月1万円程度の会費がかかるところ、その半分が補助されれば嬉しいでしょう。

喫煙せず、さらに運動で体を動かす。健康へのインセンティブがより強まります。


自転車で通勤している非喫煙者に対し、自転車の購入費を補助するのもアリです。例えば、勤続期間3年ごとに1万円を補助します。

喫煙者はあまり自転車に乗りたがらないもので、喫煙せず自転車で通勤している人を優遇すれば健康への意識は高まりやすいでしょう。

また、自転車通勤には通勤手当が出ていないところが多いですから、自転車の購入費補助でもって通勤手当に代えるという発想もあります。

 

 


喫煙可能かどうかが飲食店を評価する基準に。


料理の美味しさや接客サービスで飲食店を評価するのが通例ですが、今後は喫煙可能なお店なのかどうかも評価に加わってくるのではないかと思います。

喫煙可能、分煙、完全禁煙、この情報を利用者が事前に把握できれば、喫煙したい人は喫煙可能なお店に行きますし、タバコの煙が嫌な人は禁煙のお店を選ぶでしょう。

どちらが良くて、どちらがダメというものではなく、消費者の嗜好で判断されるところです。どこのお店でも禁煙というわけではなく、喫煙可能であることをアピールして集客するのも手です。

食べログのような飲食店情報を集めたウェブサイトに喫煙情報を掲載するのが当たり前になっていくだろうと思います。

 

 


喫煙のための小休止をやめる。


休憩時間中に喫煙したとしても特に問題は無いのですが、就業時間中に喫煙すると、非喫煙者から「不公平だ」と不満が出ます。

そのため、就業時間中は禁煙とする企業もあります。

休憩時間に限って喫煙可能で、就業時間内は禁煙。労務管理としては現実的な対応です。

喫煙は飲み物を飲むのと同じだという理屈で就業時間中でも許すべきという人もいますが、飲み物は全員が飲みますが、喫煙は対象者が限られます。

男性の喫煙率は全年齢平均で3割を下回っていますし、女性にいたっては1割未満です。

非喫煙者が多数派になっている現在では、喫煙するための理屈をこねても負けてしまいます。


喫煙に対するインセンティブを変えて、喫煙しないほうが得だと感じればやめるもの。

タバコの価格はじわじわと上がり続けていますし、今後も上がることはあっても下がる可能性はなさそうです。

非喫煙者に対する優遇策が増えていき、喫煙者を採用しない企業が増えてくると、自ずと喫煙者は減っていくはずです。

禁止するだけでは人は行動を改めないもの。しかし、ご褒美を用意すると人は動きます。

ドーナツ2個を無料で貰えるというだけでお店の前に行列を作るぐらいですし、牛丼一杯を無料で提供するだけで道路が渋滞します。

喫煙しなければ良いことがある。いかにそう思わせるかが工夫のしどころです。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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