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働くと年金が減る在職老齢年金制度が廃止されるかどうか。

 

年金減額

 

収入と年金を調整するのが在職老齢年金制度。

在職老齢年金制度を廃止するかどうかを政府が検討するとのニュースが毎日新聞から報道されました。

在職老齢年金制度とは、年金受給者が働いて収入を得ると、年金額と収入を勘案して、年金額を調整するというものです。

仕組みを簡単に説明すると、例えば、年金を多く受け取っていて、追加で収入を少し得ると、年金を減額して調整します。逆に、年金は少ないけれども、働いて得る収入が多い場合も、年金を減額して調整します。

年金と収入を組み合わせてリバランスさせながら、年金の受給額を調整するのが在職老齢年金制度です。

年金と収入、どちらも少なければ、減額されずに年金が満額支給される場合もあります。

金額で基準が設定されており、ここまでの年金かつ、ここまでの収入ならば年金を減額しないという水準ならば、年金は満額支給されます。


在職老齢年金の早見表とシミュレーション!60歳以上、65歳以上で働く場合の年金は支給停止される! | 保険の疑問をしっかり解決

上記のウェブサイトに、在職老齢年金の早見表というものが掲載されています。

この早見表に、収入と年金額を当てはめると、どれぐらい年金が減額されるかが分かります。

「基本月額」は毎月の年金額と読み替えて、「総報酬相当額」は働いて得る月収と読み替えてもらうと分かりやすいでしょう。


年金額と収入のマトリクスで、年金額をどれぐらい調整するかが決まります。

 

 

働くと年金が減る?

年金を受け取り始める年齢が近づくと、「年金って、受け取りながら働くと減っちゃうんでしょう?」と言う人が出てきますね。

50歳代の中頃になると、もうそろそろかなと感じ、年金に意識が向き始めるのでしょうね。

その状況で、「年金って、受け取りながら働くと減っちゃうんでしょう?」という疑問が湧くわけです。

確かに、年金を受け取りながら仕事をすると、年金が減ることがあります。

ただ、この場合の「年金」という言葉の定義はハッキリしているのでしょうか。つまり、単に「年金」という言葉を使うとなると、国民年金と厚生年金を含めて表現することになります。人によっては、厚生年金基金からの年金や各種の共済年金、また確定給付企業年金などの企業年金も含めて「年金」という言葉を使うこともあるのかもしれませんね。

では、「年金」を受け取りながら仕事をすると、上記の「年金」の全てが減ってしまうのでしょうか。それとも、特定の年金だけが減り、その他の年金は影響が無いのでしょうか。

 

 

国民年金と厚生年金は違うもの。

結論から言えば、年金を受け取りながら働いて減るのは「厚生年金」だけです。


厚生年金には「在職老齢年金」という仕組みがあり、この仕組みによって、年金を受け取りながら働く人の年金を調整するのです

在職老齢年金とは、何か追加的に支給されるような年金のことではなく、年金を受け取る人が働いて報酬を受け取るときに、満額の年金を支給せずに、「仕事の報酬に合わせて年金額を調整する仕組み」のことです。「在職老齢年金」という名称を聞くと、「あぁ、何かまた年金を受け取れるのね」と思う人もいるかもしれませんが、在職老齢年金は年金ではなく年金額を調整する仕組みなのですね。

 

一方、国民年金には在職老齢年金のような仕組みはありません(なお、各種の共済年金にも厚生年金と同様の仕組みがあるかもしれませんが、各組織ごとに独自に運用されている年金ですので把握できていません)。

そのため、専業主婦(専業主夫)や自営業を営んできた人のように、国民年金だけを受け取る人ならば、年金を受け取りながら働いても差し支えはないのです。

 

ゆえに、「年金って、受け取りながら働くと減っちゃうんでしょう?」という表現は、「"厚生年金"って、受け取りながら働くと減っちゃうんでしょう?」と言い換えると正しくなります。

 


働いて減るのは厚生年金。国民年金は働いても減らない。

在職老齢年金制度の対象になるのは老齢厚生年金であって、国民年金から支給される老齢基礎年金は対象とはなりません。

そのため、厚生年金に加入したことがない方(国民年金だけ加入していた方のこと)は、どれだけ収入を得ても年金は減額されないというわけです。

 

国民年金は、基礎年金と言われるもので、生活の基礎となる年金であるため、収入に応じて減額されることはないのです。

一方、厚生年金は、報酬比例年金と言われており、収入に連動した年金です。そのため、多少なり減額したとしても生活には支障がないと考えられています。そのため、在職老齢年金制度で調整の対象になっているというわけです。


在職老齢年金制度で年金が減らされない範囲で働くのも1つの方法です。例えば、厚生年金を受け取っている60歳の人で、年金額が毎月10万円ならば、月収18万円までなら年金が減額されません(先程紹介した早見表で確認できます)。


他には、厚生年金を受け取り始めたら働かないのも対処法です。そうすれば、在職老齢年金の対象にはなりませんので、年金は減額されません。


少なくとも、払った保険料は回収したいと思うのが加入者の気持ちですから、働いたからといって年金が減らされるのは不満に感じるでしょうね。

年金の財政を考えれば、支給額を減らしたいところでしょうが、加入者が納得しにくい形ではそれを実現するのも難しいもの。

年金には所得税も課されますから、在職老齢年金制度でもって支給段階で減額調整せずに、まずは支給してお金を使ってもらって、所得税や消費税で回収していくほうが納得が得やすいでしょうね。

 

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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