公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は1日、昨年10~12月期で14兆8039億円の運用損が出たと発表した。最近の世界的な株安によるもので、四半期ベースの赤字額は過去最大。以前に比べ、年金資産に占める株式の運用比率を高めており、株価下落の影響を受けやすくなっている。
赤字になるのは3四半期ぶり。これまで最大の赤字額は、中国の景気減速などの影響を受けた15年7~9月期の約7・9兆円だったが、今回の損失はその2倍近くに膨らんだ。資産総額は150兆6630億円に目減りした。
2018年第3四半期の年金積立金の運用状況がマイナスになり、ニュースでは「過去最悪」と報道されています。
GPIFのウェブサイトで2001年度から時系列で見ると、確かに2018年度の第3四半期のマイナスが一番大きいです。
※年金積立金管理運用独立行政法人ウェブサイトより。
2008年のリーマンショックでのマイナスの方が今回のマイナス額よりも小さくなっているのが注目点です。
年金の運用は四半期ベースでプラスになっていることがほとんどで、累積での収益は56兆円ほどプラスになっています。
マイナス収益になった時はニュースで採り上げて、プラスになったときは何も報道しない。
人はポジティブな情報よりもネガティブな情報に反応する傾向があり、その性格を踏まえれば、マイナス運用になったときだけ報道する方が合理的です。
GPIFのウェブサイトで最新の運用状況を見れば、累積ではプラス収益を維持しているのが分かります。グラフを使って、パッと見て判断できるほど分かりやすく説明されています。
年金運用は四半期ごとに結果を出さなければいけないファンドではありませんから、累積でプラスを維持していれば合格と考えるものです。
こういった事情が分かれば、年金の運用でマイナスという類のニュースが出てきたら、「あぁ。またいつものやつか」と対応できるでしょう。
運用損について報道するのは構わないのですが、累積でプラスになっているという点も一緒に報道する方がメディアとして正しい姿勢ではないかと思います。
年金の運用について分かりやすく説明されたものとして、『貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント―ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵』という書籍がありますので、興味のある方は一読をおすすめします。
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