あやめ社労士事務所 - 労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

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家族がインフルエンザだが、自分は元気なのに仕事を休まされた。給与はどうなる?

インフル休業

 


 


自分がインフルエンザになって休むのは問題ない。


12月から2月はインフルエンザが流行するシーズン。

運悪くインフルエンザにかかり、寝込んでいる方もいらっしゃるのではないかと思います。


高熱が出て、体もだるくなるようですし(私はインフルエンザをまだ経験したことがありません)、そんな状態で仕事はできませんから、休むことになるでしょう。

会社によっては、伝染性の疾患にかかったときは、出勤を禁止するところもあり、インフルエンザや感染性胃腸炎になると、出勤できなくなります。

本人がインフルエンザになれば仕事を休ませられる。これは当然です。

出勤してこられて、ウィルスをばら撒かれたら困りますし、体がしんどくて仕事どころではないでしょう。


インフルエンザでダウンしたときは、有給休暇で休むか、4日以上出勤できないなら健康保険の傷病手当金を申請することもできます。

風邪のときと対応は同じです。

 

 

 

家族がインフルエンザだから自分が休む?


事業所によっては、本人だけでなく、家族がインフルエンザにかかった場合も出勤できなくなるところがあります。

従業員本人はピンピンしていて、元気いっぱいでも、その家族がインフルエンザにかかると、「家族がインフルエンザになったんですか? じゃあ、あなたも休んでください」と言われる。

確かに、感染力がありますし、ウィルスを運んでくる可能性があるわけですから、健康でも出勤させない、という判断もあるのかもしれません。

しかし、本人が元気な状態で休ませるとなると、これは労働者の責任で休んだものではありませんから、「使用者の責任で休ませた」と判断されます。


「子供がインフル」ママパートに“休業命令”はあり?

 ◇インフルエンザが疑われるパート

 しかし、昨年秋に入所したB江さん(42)の対応は違いました。B江さんから「子供がインフルエンザにかかった」という連絡があったのは金曜日の夕方でした。その日、B江さんは子供の小学校が学級閉鎖になっていたため、近くに住む両親に子供を預けて出勤していました。B江さんが終業後に子供を迎えに行くと発熱していたため、病院でみてもらったところインフルエンザと診断されたといいます。

 B江さんは「子供は週末中に回復すると思うので、月曜日は出勤します」と言います。万が一、B江さんがインフルエンザにかかっていれば、他の従業員にうつりかねません。

 A子さんは、インフルエンザの潜伏期間は1~2日といわれているため、B江さんが感染していないことが確認できるまでもう少し様子をみてから出勤してもらいたいと考えました。しかし、かかっているかどうかがわからない状態で「休んでほしい」と言えるのかどうか悩みました。B江さんは入所して3カ月で、有給休暇がまだない状況です。

 ◇病気の疑いがある場合の対応ルールも

 インフルエンザの疑いがある従業員の対応について考えてみます。原則は、従業員が感染しておらず働ける状態の時は、会社側からの指示で休んでもらうのは難しいでしょう。ただし会社によっては、就業規則などで「家族が感染した場合は一定期間の就業を見合わせる」と定めている場合があります。

 例えば、介護施設や老人ホームなど病気が広がることで利用者に影響があるような職場は、働く人が病気にかかっていなくても、その人の家族からうつるリスクがあれば、感染していないことが確認できてから出勤を認めることをルールにしているケースがあります。その場合、感染前の出勤停止(休業)は最小限の期間にとどめるべきでしょう。

 

1月26日時点では、インフルエンザの疑いがある従業員を休ませた場合は、ノーワーク・ノーペイと書かれていた記事ですが、28日時点で修正され、休業手当が必要との部分が追記されています。

 


子のインフルを理由に労働者に休みを命じた使用者には給料を全額払う義務があります。

こちらはまた別の方が書いたもの。

ノーワーク・ノーペイではなく、使用者の責任で労働者を休ませると、仕事をさせていなくても給与を払わないといけないんです。

こちらでは民法536条2項を根拠に、休ませた場合でも給与を払う必要があると説明されています。


民法536条2項を根拠にすると休んだ日の給与を全額支払う必要がありますが、一般法である民法とは別に、特別法である労働基準法がありますので、この場合は労働基準法26条が優先して適用されます。

 

第26条
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

休ませた日の給与の60%以上を払うなら、健康な従業員を休ませることも可能になります。


【家族がインフルエンザの場合、従業員を出勤させない】という類のルールを設けている会社もあるでしょうが、誰がこういうルールを最初に作り出したのかは定かではありませんが、労働者本人に責任が無い休業だと、休ませた日でも給与を払わないといけなくなります。

仕事をしてもらっていないのに、給与を払わないといけないのです。

「えぇ〜!? そうなの?」と驚く方もいるかもしれませんが、それが法律なのです。

だから、家族がインフルエンザだからといって、健康な従業員を休ませてはいけないのです。

 

 

 

休業手当は雇用契約のキャンセル料。会社は従業員を好き勝手に休ませられない。


休業手当は、ホテルや飲食店のキャンセル料と似ています。

例えば、宿泊の予約をして、1週間前までにキャンセルすればキャンセル料は0%。3日前までだと50%。当日キャンセルは100%。このようにキャンセル料を設定しているのが普通です。

ドタキャンされると、準備した手間が無駄になりますし、食事を用意していたら、それも無駄になります。そのため、ホテルはキャンセル料を設定して、一方的なキャンセルに備えています。


雇用契約にもキャンセル料のようなものがあり、それが「労働基準法26条の休業手当」なのです。

使用者は、雇用契約で約束した通りに労働者が働けるようにする義務があります。週に5日出勤すると決めていたら、キチンと週5日働けるようにしないといけません。また、10時から19時まで勤務すると決めていたら、10時から19時まで確実に働けるようにしないといけないのです。

会社の都合で、週3日勤務に変えてみたり、10時から16時までの勤務時間に変えてはダメなのです。

 

家族がインフルエンザだからといって一方的に休みにすれば、出勤日数が減り、雇用契約の内容を履行できなくなりますから、使用者は労働者にキャンセル料(雇用契約の一部を履行できないので、債務不履行に対する補償)として休業手当を払う必要があります。


「従業員本人は健康だけれども、どうしても休んでもらいたい」ならば、休業手当を支払うか、法定の年次有給休暇とは別枠で特別有給休暇(休業手当の内容を含んでいるのでOK)を与えるのもアリです。

さらに、必要な休みが2日か3日で済むならば、他の日と出勤日を振り替えるという方法もあります。これならば休業手当の支払いを回避できます。


特別有給休暇を与えてまで健康な人を休ませる必要があるのかどうか。ここは考えてほしいところです。


雇用契約で約束した内容は、使用者と労働者がお互いに守らないといけないものですから、使用者が一方的に出勤日を減らしたり、勤務時間を短縮したりはできないのです。

ただ、「家族がインフルエンザになっている間は、従業員本人はマスクを着用して勤務しなければいけない」という程度ならば、ルールとして求めることは可能です。これならば休む必要はありませんし、休業手当も不要です。また、要求している内容も妥当なものですから、本人も受け入れやすいでしょう。


最後に、インフルエンザの場合に限らず、暇だからと言って出勤日数を一方的に減らしたり、早退させた場合も休業手当の支払いが必要になりますので注意が必要です。

 

 

 

 

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