労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

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不正な休暇? 嘘の理由で休暇を取り、子供と遊んだ。

本音と建前

 


 

 


「年次有給休暇」と「子の看護休暇」はそれぞれ別物。


これは朝日新聞デジタルに掲載された記事。

 

うそで特別休暇→遊ぶ様子をツイート 市職員を処分
https://www.asahi.com/articles/ASM193WMBM19UDCB008.html

 

この記事を受けて、Livedoorニュースでも掲載されています。


Livedoorニュースでは、

『有給取得も 遊ぶ投稿で嘘バレる』
http://news.livedoor.com/topics/detail/15850190/

というタイトルを付けているのですが、

こういう書き方だと、「有給休暇を自由に取得できない職場なのでは?」という誤解を招きます。

 

実際に取得したのは年次有給休暇ではなく、子の看護休暇というもの。

「有給取得」という文字を見れば、「年次有給休暇を取得」だと解釈する人が多数でしょう。


年次有給休暇と子の看護休暇はそれぞれ違う休暇ですから、固有名詞の扱いには注意したいところです。

『子の看護休暇取得も 遊ぶ投稿で嘘バレる』

という書き方だったら問題なかったんですけどね。

 

 


子の看護休暇って何?


普段から子の看護休暇を取得している方は少ないのではないでしょうか。

年次有給休暇なら知っている方が多いでしょうけれども、子の看護休暇となると、「何ですか? それ」と反応するのでは。


子の看護休暇とは、「小学校に入るまでの子を養育している人が、1年度(4月1日から3月31日までの期間)に5日までの範囲で、その子を看護するために取得できる休暇」です。

 

子の看護休暇制度(厚生労働省)


ちなみに、1年度ではなく、「1月1日から12月31日の1年間に5日まで」と事業所独自に定めることも可能です。

これは年次有給休暇とは別枠で使える休暇です。そのため、子の看護休暇を取得したからといって、年次有給休暇の日数が減ることはありません。逆に、有給休暇を使ったからといって、子の看護休暇を取得できないというものでもありません。

それぞれ、別の制度によって決められた休暇ですから、使うときも別々です。


小学校に入るまでの子が対象ですから、幼稚園や保育園に行っている子供を持っている親が子の看護休暇を取得できます。

小さい頃は、急に熱を出すものですし、水疱瘡やはしかで病院に連れて行かないといけないときもあります。そういうときに子の看護休暇を使うんですね。


子の看護休暇というものがあると、会社から従業員に周知しているところは少ないのではないかと思います。

就業規則を見れば、子の看護休暇について書いているかもしれませんが、就業規則が無い会社もありますし、就業規則があっても子の看護休暇に関する内容が記載されていない場合もあるでしょう。

就業規則に書かれていなくても、法律で決まっている休暇ですから、条件を満たす子供が病気や怪我をしたときは取得できるものです。

とは言うものの、本来ならば、予め就業規則に記載していないといけない内容ですから、書かれていないならば就業規則を改定しておく必要があります。


2017年10月に改正された育児介護休業法(厚生労働省)

 


有給休暇を使うか、子の看護休暇を使うか。


中には、「子の看護休暇を使わずに有給休暇を使ってもいいの?」という疑問を持つ方もいるでしょう。

結論から書くと、これは可能です。

 

子の看護休暇を使うのは義務ではありませんし、子の看護休暇は無給としている事業所もありますから、給与が出る有給休暇を使って子供の看護をするという選択もアリです。

有給休暇を先に使っていき、残日数がなくなったときは無給である子の看護休暇を使う。こういう順序にしておくのも良いかもしれませんね。


子の看護休暇を有給にする方法もありますが、先に有給休暇を使うように誘導するなら、子の看護休暇は無給にしておく方が良いでしょう。

もちろん、どちらを使うかは社員本人が決めて構わないのですけれども。

 

 


小さい子供を持つ女性から好感。


幼稚園、保育園に通う子供を持つ社員に、子の看護休暇について教えてあげれば、「あぁ、そういう場合に取れる休暇があるのね」と良い反応を得られるでしょう。

知らない方も多いでしょうから。


また、無給にしておけば、「じゃあ先に有給休暇を使っておこうかしら」というインセンティブを与えることができます。

有給休暇で足りないときは、子の看護休暇を使う。この順番が良いでしょうね。

 

付け加えると、女性の方だけでなく、男性の方でも子の看護休暇を取得できます。


幼稚園や保育園に行くぐらいの年齢だと、急に熱が出たり、水疱瘡になったり、はしかにかかったりと、何かと体調が変わりやすいもの。

有給休暇は理由を問わず自由に使えますが、子の看護休暇は条件がいくつかあります。

  • 小学校就学前の子供が対象。
  • 入社から6ヶ月未満の人は対象外。
  • 週に3日以上で契約している人が対象。
  • 看護休暇が必要である証明(診断書や病院の領収書など)。


有給休暇なら必要ない条件でも、子の看護休暇なら必要なものがあります。

 

 


子の看護休暇の申請手続きはキチンと。


上記のニュースのように不正取得も起こり得る休暇ですから、看護したことを証明する手続きを求めるようにしておきます。


子供の名前や生年月日、さらに、看護をした証明(病院に連れて行ったことを証明するもの)を事業所は求めることができます。

一例として、病院に行った領収書をチェックするのが良いのでは。これなら無料で病院が発行してくれます。

診断書の提出を求めると、作成のためのお金がかかるので嫌がる人もいます。

子の看護休暇が無給で、医師の診断書で費用がかかると抵抗感があるでしょう。また、休暇を取得するにあたって、診断内容はさほど重要ではありませんからね。

有給の看護休暇ならば、診断書を求めても良いとは思いますけれども。


子の看護休暇を申請するときは、

  1. 申請日。
  2. 労働者の氏名。
  3. 子供の名前、生年月日。
  4. 看護休暇を取得する日。
  5. 休暇の取得理由(子供を病院に連れて行くためなど)。

これらを書面やメールなどで記録を残しておきます。

 

一例としては、メールで使えるテンプレートを作っておき、それに必要事項を書き込んで、会社指定のメールアドレスに送信しておく。これならスマホでも申請できますし、記録も残りますから便利です。

 

書面を作る場合も、あらかじめ簡単な申請用紙を作っておいて、上記の内容を保存できるようにしておきます。

 

口頭で休暇のやり取りをすると、伝えた伝えていない、聞いた聞いていない、申請した申請していないなどと、後から面倒くさいことが起こりやすいためオススメしません。

記録に残る形にしておくだけですから、必要な手間など誤差程度です。

後からモチャモチャとするよりも、キチンと記録を取っておく。簡単なことですが大事です。

 

 


不正に子の看護休暇を取得した場合は懲戒対象になると伝えておくのも大事。


看護をしたことを証明するものを提出してもらえば不正は防げるでしょうが、それでも休暇の不正取得が発生した場合に対応するため、「懲戒対象になる場合がある」と準備しておくのも良いでしょう。

ただし、懲戒処分を実施するには就業規則に根拠が必要です。

つまり、就業規則がない会社は懲戒処分ができません。

 

実際に懲戒を実施するとなれば、不正に取得した休暇の日数分だけ出勤停止にするのが妥当な処分でしょうか。

 

 

 

有給休暇なら嘘の理由で取得してもOK。


子の看護休暇と違い、年次有給休暇は嘘の理由でも懲戒処分できません。

理由を問わず使えるのが年次有給休暇ですから、祖父の法事に行くという理由で取得し、実際は温泉旅行に行くなんていうことも可能です。

あえて嘘を付く必要もありませんが、嘘をつかないと有給休暇を取れない職場の雰囲気は変えないといけないでしょう。


一方、子の看護休暇は目的が定まっている休暇で、嘘で取得すれば懲戒処分の対象になります。

 

 


SNSに何を投稿するか、よく考える。


業務に関連することを投稿したり、私生活についてポンポンと投稿すると、思いがけず個人情報が漏れます。

 

業務時間外に何をしていたか。
休みの日にどこに行ったか。
誰と会っていたか。

投稿内容を調べれば、いろいろと情報が漏れていくもの。

特に写真は情報が詰まっていて、写っている建物や人物、景色などからいろいろと推測できます。


子の看護休暇を取っているのに、子供と遊んでいる内容を投稿する。

法事に行くために年次有給休暇を取ったのに、温泉旅行の写真を投稿している。

こういうのはマズいんです。

 

人が見たとき、どういう反応をするか。これを投稿前に少し考える癖が必要です。


気軽に使えるのがSNSの良いところですが、投稿する文章や写真はちょっと考えてから送信したいもの。ほんのちょっと、数秒考える程度でもずいぶんと冷静になれます。


セルフィで自分の顔を写した写真を投稿する人は多いですが、一緒に写っている人物や背景、建物などには問題がないかどうか。投稿ボタンを押す前にちょっとだけ考えればトラブルは減らせるはず。

誰が読んだり見ているか分かりませんからね。公開アカウントは。

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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