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裏技潰し。「保育園落ちた、ラッキー」に対策が講じられる。

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保育所の「落選狙い」に対処 育児休業延長が目的 厚労省

 厚生労働省は育児休業の延長を目的に、落選を狙って保育所に入所申込みをする問題への対応案を示した。第一希望の保育所の内定を辞退し、二次調整に申し込み落選した場合、保留決定通知書にその旨を記載する。企業とハローワークはその旨の記載があるとき、内定辞退にやむを得ない理由があったかどうかを確認審査し、育児休業・給付の延長可否を決定するとした。対応案は12月中に閣議決定され、来年度以降の運用方法になる見込みだ。

 

 

子供が2歳になるまで育児休業給付金が延長可能に。


2018年の3月に、あえて保育所に落ちて育児休業給付金を延長する人がいると話題になりました。

2017年10月から雇用保険の育児休業給付金制度が変更され、子供が2歳になるまで給付期間を延長できるようになっています。


平成29年10月より育児休業給付金の支給期間が2歳まで延長されます(厚生労働省)

 

保育所に入りたくても入れない方のために、子供が2歳になるまで育児休業給付金が支給される期間を延長し、入所できる機会を増やすのが狙いです。

やむを得ない理由で保育所に入れない方はいいとして、入れるにもかかわらずあえて保育所に入らない選択をし、育児休業給付金を延長する人がいるようです。

子供が2歳になるまで給付金が出るならば、1年ではなく、1年6ヶ月でもなく、最大の2年まで育児休業給付金を受け取って、それから保育所に入った方が得です。

子供が2歳になるまで給付金が出るのだから、受け取れるだけ受け取ってから保育所に入ればいいじゃないか。そう判断する人がいても不思議ではありません。

子供が保育所に入ってしまうと、育児休業が終わり、育児休業給付金もストップします。そのため、保育所の内定を得ても、あえて辞退し、受け取れるだけ育児休業給付金を受け取っておくほうが良いだろうと判断するのです。

 

 


育児休業給付金の支給額は、在職時の給与の半分程度。


育児休業中に支給される育児休業給付金の額は、「(休業開始時賃金日額×支給日数)の67%」で計算されます。

「手取り収入の67%か」と想像するかもしれませんが、「休業開始時賃金日額」は休業前6ヶ月の賃金を180で割って計算するため、実際の給与1日分よりも少なくなります。

受給開始から180日目(半年)までは支給率67%で、その後は50%に変わります。

実際に給付される額は想像よりも少ないですから、少なめに見積もって、「働いていた頃の半分ぐらいかな」と想像しておけば良いでしょう。少なめに見積もっておけば、残念な気分が軽減されます。


ちなみに、育児休業給付金は雇用保険の給付です。

雇用保険というと、「失業したときに給付が出る」というイメージですが、育児休業給付金のように在職中でも対象となる給付があります。

毎月、雇用保険料を払っていて、あまり制度を利用する機会が無い方でも、育児休業給付金のような給付を受け取れば、今まで支払ってきた雇用保険料をある程度回収できます。

 

 

審査するのではなく、辞退できないようにする。


保育所の内定を辞退した後に、やむを得ない理由があったかどうかを審査するとのことですが、これをハローワークの窓口でやるというのは厄介です。

審査となると、対面でモチャモチャとやりとりして時間がかかるし、担当者次第で判断が変わりかねません。

「あの人はOKだったのに、なんで私はダメなの?」と言い寄られても困るでしょう。

行政の手続きに裁量が入り込まないように、分かりやすい判断基準を置いて、審査しなくても済むようにするのが望ましいです。


例えば、申込者の意志で保育所の入所を辞退した場合は、育児休業給付金の延長対象から外れる。

他には、保育所への入所申し込みをする段階で、内定を得たあと辞退した場合は、育児休業給付金の支給が停止されますと案内しておくのもいいでしょう。


このように条件を設定すれば、入所する意志がない人が保育所へ申し込むことはなくなりますし、入りたい人に入所枠が回ってきます。

また、育児休業給付金を受け取りたいならば、入所申し込みをせずにそのまま受給を続けるという選択肢もあります。

保育所に入るか、育児休業給付金を受け取るか。このどちらかを選択させるような条件を設定しておく。ここがポイントです。

両方をキープしておいて、自分の都合に合わせて選ばせるような余地を残しているから、都合よく利用されてしまうのです。


分かりやすく判断できるようにしておかないと、ハローワークの窓口を担当している職員が困ります。

個人の裁量が入り込む審査などしない方がいいと思います。後からクレームが発生するのは明らかです。

 

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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