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マイナンバーカードはもう取得した? もっと活用方法があるマイナンバー。

マイナンバー

 

 


「カード取得せず」過半数=マイナンバー施行3年で―内閣府調査(時事通信)

 内閣府は30日、10月で制度施行から3年が経過した社会保障と税の共通番号(マイナンバー)に関する世論調査の結果を公表した。個人番号カードを「取得していないし今後も取得する予定はない」との回答が過半数の53.0%だった。内閣府は「オンライン手続きで本人確認の手段として活用できる機会が増えるので、取得を促したい」としている。

 

 

取得率53%でも少なくない。


2018年の10月に実施した世論調査で、マイナンバーカードをまだ取得していない人が約半数とのこと。

「マイナンバー制度に関する世論調査」の概要(内閣府)


回答数は1,671人ですから、サンプル数は多くないものの、マイナンバーカードを取得したのは2人に1人だとして、日本の人口が1億2千万人とすれば、約6千万人が自分のマイナンバーカードを持っていることになります。

個人的な感覚としては、「まぁ、よくここまで取得させたな」という感じです。少ないどころか、むしろ多いぐらい。

「53%しか取得していないのだから、多くないのでは?」と思うかもしれませんが、用途が乏しいマイナンバーカードをここまで取得してもらえているだけでも御の字です。


2018年時点で、マイナンバーカードの主な用途は、以下の5点です。

  1. 社会保険や税金の手続きのために会社に提出する。
  2. e-Taxで税務申告する。
  3. コンビニで住民票の写しなど公的証明書を取得する。
  4. 身分証明書として使う。
  5. マイナポータルで自分用の情報を閲覧する。


積極的に使いたくて取得したというよりも、2の「確定申告で使うから」という人が大半ではないかと思います。


会社に提出するマイナンバーは、マイナンバーカードではなく、マイナンバーの通知カード(緑色のペーパーカード)をコピーしたものを出すだけで足ります。

 

公的証明書も、市町村の窓口に行けば、マイナンバーカードが無くても交付可能です。

また、身分証明書が必要なら、運転免許証や学生証がありますから、必ずしもマイナンバーカードは必要ありません。

確定申告も、申告用紙に手書きして作成すれば、マイナンバーカードは必要ありません。マイナンバーを記入する箇所はあるでしょうが、それはマイナンバー通知カードで足ります。

 

マイナポータルに至っては、掲載されている情報はまだ貧弱で、あえてアクセスしなくても何ら生活に支障ありません。

 


まだ緑色のマイナンバー通知カードを持っていて、マイナンバーカードを申請していない方も多くいるはずで、中には「通知カードがどこにいったのか分からなくなった」なんていう人がいても不思議ではありません。

普段から使わなければ、その存在を忘れてしまうものです。


このように利用に対する動機が希薄な状況で、53%もの人が取得しているのですから、悪い数字ではありません。

 


マイナンバーカードを使わなければ生活できない状況を作る。


何かを普及させるには、相応のインセンティブが必要です。

 

企業が自社製品やサービスを普及させたいときは、広告を出すなり、キャンペーンを実施するなり、製品の体験会を実施するなり、促進策を実施します。

何となく製品をリリースして、「気付いたら買ってくれるだろう」というものではなく、人を動かすようなインセンティブを用意していかないといけません。

マイナンバーカードも、「使わざるを得ない環境」を作っていかなくてはいけないでしょう。


例えば、クルマやバイクに乗ってドライブしたければ、免許証を取らざるを得ません。免許がなければ自動車に乗れませんから、人は免許証を取ります。

もし、免許無しで運転できるなら、わざわざ教習所に通って、時間とお金を使ったりしません。


作っても作らなくてもいいですよ、という状況ならば、人間というのは面倒くさがりですから、マイナンバーカードを作りません。


身分証明書なら運転免許証で足りますし、学生ならば学生証でもOKです。

単に身分証明書として使うだけならばマイナンバーカードは要りませんから、それを上回る利点が必要です。

 

例えば、マイナンバーカードを健康保険証として使えるようにして、現行の健康保険証や老人保健証を廃止すれば、一気にマイナンバーカードの所持者が増えます。これは既に検討されているところで、あと数年で実現するはずです。

病院で作る診察券も、マイナンバーカードのICチップ領域にデータを入れるようにすれば、病院に通っている人はマイナンバーカードを作るでしょう。何枚も診察券を持たなくていいのです。


入院して手術を受けるときに申請する『限度額適用認定証』も、マイナンバーカードで代用すれば、郵送で発送する必要はありません。認定情報をマイナンバーカードに紐付けて、カードを病院の窓口に提示すれば、ネットワーク経由で調べて、限度額適用認定を受けているかどうか判定できるでしょう。

限度額適用認定証には有効期限がありますが、それはマイナポータルで確認すれば足ります。

PCを持っていない人への対応として、マイナポータルにアクセスする専用の端末を市町村の窓口に用意しておくと良いでしょう。


他には、年金手帳雇用保険被保険者証もマイナンバーカードに集約できるでしょう。

年金手帳を見るのは、基礎年金番号を確認するときぐらいですし、年金記録は年金ポータルで閲覧できます。


さらに、マイナポータルとねんきんネットが接続され、マイナポータルにアクセスすれば年金の加入履歴を閲覧できるようになっています。

「ねんきんネット」とマイナポータルがつながりました(日本年金機構)

ねんきんネットがマイナポータルとつながるとどういう利点があるかというと、マイナポータルにログインすれば、自動的にねんきんネットにもログインできます。

別々にIDやパスワードを入力する必要はなく、ICカードリーダーにマイナンバーカードを差し込んで、暗証番号を入力してマイナポータルにログインすると、ねんきんネットを含めて認証を一括で通過できます。

マイナンバーカードが物理的な「鍵」になりますから、パスワードよりも安全性は高いです。パスワードだと誰が入力したかまでは分かりませんからね。マイナンバーカードなら本人しか持っていないはずですし、暗証番号も本人だけが知っているはずです。

 

雇用保険被保険者証は、雇用保険に加入した後、会社から渡される小さい紙です。これが小さい紙で、無くしやすいのです。

雇用保険の給付を受けるときぐらいしか取り出しませんから、何年も経過すると、どこにしまっていたか忘れてしまいます。

こういうものはマイナンバーカードに集約しておけば、紛失する可能性は低くなります。


年金手帳も「あれ、どこにいったかな?」と行方不明になることが多いです。滅多なことでは見ませんから、10年、20年と経って「いざ必要」と思ったときに見つからない。

年金手帳は再発行できますけれども、マイナンバーカードに年金手帳を集約すると、再発行する可能性や手間も減らせます

マイナンバーカードを普段から使うようにしていけば、スマホのように肌身離さず持ち歩きます。そうすれば、雇用保険被保険者証や年金手帳のように使用頻度が低くて紛失することもありません。

 

スマホの中にマイナンバー情報をコピーできる機能を実装する予定もあるようです。マイナンバーカードをスマホにコピーして、スマホだけを持ち出して使える。外出するときは、最低でもスマホは持ち出すでしょうから、マイナンバーカードがスマホの中に入れば、置き忘れることはありません。

マイナンバーカードは原則として複製できないのですが、スマホ1台に限ってコピーを作れるようにする方針です。

持ち出すのはスマホだけで、マイナンバーカードは自宅に保管しておいてもいいのです。これなら落としたり置き忘れることもありませんから安心です。


めったに使わないから失くすのであって、便利で利用頻度が高ければ、そう簡単には失くさないものです。

 

 

便利だと思えば、人は使う。


健康保険証や年金手帳、限度額適用認定証、雇用保険被保険者証など、公的な証明証をマイナンバーカードに集約していけば、普及率はほぼ100%になります。

持っていなければ生活ができないですからね。


公的証明書以外の活用法として、ICチップの空き領域は民間事業者が使えるようになっており、ここをポイントカードとして使うのも良いアイデアです。

ポイントカードは個々の事業者が銘々に作ってしまっており、消費者の財布やパスケースはポイントカードがいっぱいです。

1枚で共通のポイントカードができれば、持ち歩くカードを減らせます。

持ち歩きたくないからポイントカードカードは作らない。こういう人もいるぐらいです。


スマホにマイナンバーカードをコピーして、そこでポイントカードを集約できれば、何十枚、何百枚とポイントカードを持ち歩けます。

 


マイナンバーカードを必要としない理由。


内閣府調査によると、マイナンバーカードを取得しない理由は、

  • 「必要性が感じられないから」(57.6%)
  • 「身分証明書になるものは他にあるから」(42.2%)
  • 「個人情報の漏えいが心配だから」(26.9%)

が主なもの。


必要性が感じられない。
これは確かに最大の理由でしょう。

無くても支障はないのだからマイナンバーカードを取得しない。

ごく当然の反応です。


健康保険証や年金手帳、雇用保険被保険者証など、公的な書類をマイナンバーカードに集約すれば、必要性は高まりますから、この集約作業は必須です。

「機能を集約した後、マイナンバーカードを無くしたら困るのでは?」と思う方もいるでしょうが、この手の書類は複数に分かれている方が紛失しやすいのです。

マイナンバーカード1枚に集約されれば、このカードだけを厳重に管理していればいいため、紛失しにくくなります。運転免許証を無くす人が少ないのと同じです。自分にとって普段から使っているものは近くに置いておくものですからね。


「身分証明書になるものは他にあるから」
これもマイナンバーカードを取得しない大きな理由です。

学生は免許証があり、学生以外の人には免許証や健康保険証があります。

ならば、身分証明書としてマイナンバーカードは要らないのです。


マイナンバーカードは、単体の機能だけで評価するものではなく、複数の機能を兼用させることで価値を発揮するものです。

あれも、これも、それもマイナンバーカードで対応できる。これが利点で、身分証明書として限定的に使うだけでは本来の価値を発揮しません。

 

3つ目の「個人情報の漏えいが心配だから」という点も気になるでしょうが、
個人情報へのアクセス記録を残すと良いでしょう。

自分の個人情報に誰かがアクセスしたら履歴に残るようにする。これはすでにマイナポータルには実装されており、まだ満足できる内容ではありませんが、いつ、誰が、どんな情報にアクセスしたのかをマイナポータルからチェックできれば安心できます。

自分の個人情報がどう扱われているのか分からないのが心配の原因ですから、情報へのアクセス履歴を残して、誰かが不正に情報を得られないようにします。

 

1.マイナンバーカードを使わざるを得ない(必要性)。
2.マイナンバーカードを使ったほうが便利(利便性)。

この2点を満たすような仕掛けを作っていくと、マイナンバーカードはもっと普及します。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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