あやめ社労士事務所 - 労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

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ブラック企業にならないために。労務管理の本はこの1冊で決まり

教科書

 

厚生労働省、離職率を公表する。

「ブラック企業」対策へ離職率公表…新年度から

ブラック企業への対策として、離職率を強制ではないものの公表するとのこと。

離職率を公表すると、ブラック企業への対策になるらしいです。

私は以前から思っているのですが、どういう基準でブラック企業かどうかを判断しているのかイマイチ分からない。何か判断する基準があって、それに基づいてブラックかどうかを判断しているならば分かるのですけれども、現状はどうもブラック企業の定義からして曖昧です。

おそらく、残業代の未払いとかサービス労働とか、休暇を取得できないとか、そういう基準でザックリと判断しているのだと思います。大雑把ですが、そういうものだという前提で考えましょう。


ブラック企業対策として離職率を公表するようですが、どういう効果が期待できるのか。

「離職率が高い=ブラック企業」という印象を与えて、その企業に人材が集まらないようにしようとしているのか、取引先からの印象を悪化させようとしているのか。

どういう効果を狙っているのかは不明ですが、離職率が高いからといってダメな会社と判断するのは早計です。

離職率というのは相対数字であって、他の数字との掛け合わせによって算出されます。

絶対数字ならば、他の数字に影響を受けないのでゴマカシにくいのですが、相対数字の場合は、関連する数字を組み替えたりして、算出される数字をコロコロと変化させることができるので、数字だけを見て判断すると実態とは離れた結論に至ってしまう場合があります。

それゆえ、離職率という相対数字だけで何かを判断すると、歪んだ判断をしてしまいかねないのです。


離職率で企業の印象が操作される。

おそらく、離職率が公表されると、その数字を見て、ブラック企業かどうかが判断されてしまうと思います。

先ほど書いたように、離職率は相対数字ですから、計算方法によって、コロコロと結果が変わります。


例えば、離職率を計算する際に、フルタイム社員だけを計算の対象にすれば、離職率は低くなる。なぜならば、パートタイム社員に比べてフルタイム社員は離職しにくいですから、離職しにくい人だけを計算の対象にすれば離職率は低くなる。

フルタイム社員だけでなく、パートタイム社員も含めて計算すれば、フルタイム社員だけで計算した場合よりも離職率は高くなるはずです。フルタイム社員よりもパートタイム社員の方が入退社の頻度が高いので、離職率も上昇しやすくなります。

ゆえに、フルタイム社員だけで仕事をしている職場に比べて、パートタイム社員がたくさんいる職場は、離職率の数字は高くなって当然なのです。よく槍玉に挙げられるワタミやユニクロは、パートタイム社員の数が多いため、他の企業よりも離職率が高くなってしまうのですね。

業種によって、上記のように、離職率の数字で有利不利があります。この違いを考慮せずに、単純に離職率を横に並べて比較しても、あまり有意義な結果は得られそうにありません。


業種以外にも、社員数によって離職率の数字は変わります。

社員数が多い会社の場合、例えば300人とか400人の社員がいる会社で、一度に4人が離職しても、ほとんど離職率は上昇しません。しかし、社員数が13人の会社で4人が一度に離職してしまうと、離職率はグッと上昇しますよね。

離職者の数はどちらも一緒なのに、離職率への影響は違うのです。

このように、企業の規模によっても離職率の数字で有利不利があります。


さらに、離職は会社が原因という場合もあるでしょうが、社員自身の原因で離職する場合もあります。転職のために離職するとか、引っ越しするから離職するとか、自営業で仕事をするから離職するとか、仕事に飽きたから離職するとか、社員側の理由で離職が発生することもあります。

離職率の数字だけを見ていると、離職の原因はすべて企業にあると思いがちですけれども、自発的な離職も含まれている可能性がありますから、離職率が高いからといってダメな会社と判断してはいけませんよね。


離職率とブラックさが結び付けられてしまい、企業に対する印象を操作するために利用されるのではないかと思います。離職率が高いと、離職の原因がさも企業にあるかのように錯覚させて、気に入らない企業をイジメるような結果にならないように願います。


誰しも自分の仕事はよく理解している。

仕事を覚えるときは、
同僚や上司、先輩が仕事のやり方を教えてくれるもの。

  • どうやって見込客を集めるか。
  • 集めた見込客にどのように営業するか。
  • 料理の作り方。
  • 接客時の話し方や言葉使い。
  • 荷物をトラックに運び込むタイミングやコツ。

などなど。

職場では活発なOJTが実施されています。


例えば、
医療器具を製造・販売している会社なら、

  • どのような医療器具を作り、
  • どうやって使いやすくするか。
  • どういう場面で使ってもらうか。
  • いくらで販売するのか。
  • 集客する手段をどうするか。
  • どこの病院の、どの医師に営業をかけるか。


などなど、医療器具に関することは、それこそプロフェッショナルでしょう。


人に教えられるぐらい理解している。

だからこそ、モノを販売できるのですね。


自分が普段から取り組んでいる仕事なら、お手のものですし、勝手も理解しているもの。

ですが、それ以外のこととなると、、、。

 

 

OJTで労務管理は学べない。上司は万能じゃない。

労務管理となると、ちゃんと教えてくれる人がいないんですね。

業務とは関連が無い(もしくは関連が薄い)ため、今まで続けてきた慣例で処理したり、上司の気分で判断することも。

さらには、個々人の主観で決めるなんてこともあるのでは。


「理由がなければ有給休暇は取れないんだぞ」
「パートタイムで働いている人は雇用保険に入れないぞ」
「学生に労災保険は無いからな。怪我をしたら健康保険を使うんだぞ」
「準備作業は仕事じゃないから給与は出ないぞ」


書き出すとキリがありませんが、こういう訳の分からない理屈が通ってしまっている職場もあるのではないでしょうか。



料理店なら、料理の作り方は上司から学べるでしょうが、労務管理を学ぶのは難しいでしょう。

包丁の使い方。盛り付けのコツ。お客さんを楽しませる接客話法。

こういったことはOJTで学ぶほうが良いでしょう。

ですが、料理人が労働法や労災保険、健康保険、年金に詳しいかというと、これは無茶な注文でしょう。


刺し身の盛り合わせなら上手に造れるでしょうが、「病気でしばらく休むときは健康保険から傷病手当金が出るんだ」なんて言う板前さんはいないのでは。

そんな板前さんがいたら、こりゃあもうビックリですけどね。


36協定のことや、有給休暇のこと。さらには、健康保険や年金のことを職場の人に聞いても、「よく分からないわ」と言われてしまうでしょう。

普段から取り組んでいる仕事のことはよく理解しているものの、それ以外の事となると、人は素人と言っていいレベルになります。


先進医療に詳しい八百屋さんなんて想像できないですし、刑事訴訟に詳しいバイク屋さんなんてのも想像し難いもの。


野菜や果物に関するノウハウなら、八百屋の中で習得できるでしょう。また、バイクの構造や修理の方法も、バイク屋に努めていれば学べます。

しかし、労務管理について理解するには、八百屋やバイク屋の中では難しいんですね。

 

 

得意なことは玄人。得意ではないことは素人。

人は、誰しも得意不得意があります。

小さい頃だと、足が早いか、勉強ができるか、この2つに当てはまる人は人気者でしたよね。


走るのは早いけれども、勉強はいまいち。

テストの成績はいいんだけれども、運動が苦手。

こんな感じでアンバランスなんです。人間というのは。


たまに両方できる人に遭遇しますけれども、そういう人にも苦手なことや不得意なことはあるものです。

勉強もスポーツもできるけれども、ゲームはヘタクソ。実際に同級生にいました、こういう人。

あんなに頭が良いのに、なぜゲームぐらい上手にできないのかと不思議でしたね。

「学校で学ぶこと」と「ゲームで要求される能力」は別物なのでしょうか。


私の実体験ですが、学校の成績がイマイチな人ほどゲームが上手いんです。


「アホなやつほどゲーマー」

これ、言葉は悪いですけれども、それなりに真実ではないかと思うのです。

 

さて、話を戻しましょう。

飲食店は料理を作ってお客さんに提供し、応対するのが主な仕事です。

つまり、料理に関することは得意であり、玄人なわけです。

しかし、労務管理はあくまで「管理的なサブワーク」として位置づけられています。

会計帳簿を作ったり、給与を計算したり。さらに、業務中に怪我した人がいれば労災の手続きをしたり。

入社や退職があれば、それに必要な手続きも必要になります。

他にもたくさんありますが、これらは飲食店にとっては「管理的なサブワーク」であって、得意かどうかと聞かれれば、「得意じゃないね」と答えたくなるでしょう。

 

 

無手勝流では労多くして功少なし。

何事も、まずは習うことから始まる。

いきなり自分流に始めてしまう人もいるでしょうが、より少ない時間、より少ない労力で何かをできるようになりたいなら、先人から学ぶのが賢明でしょう。


ちょっと話が脱線しますが、大学生の頃、スノーボードをやってみたくて、北海道のスキーリゾートに言ったんです。

大学1年の2月でしたね。

それまではスキーしか経験したことがなく、スノーボードでゲレンデを滑ったことはありませんでした。

まさに「大学デビュー」ですよ。スノーボードの話ですけれども。


他の人はどうやって始めるんですかね。

ブーツを履いて、ビンディングでボードにブーツを固定して、他の人の見よう見まねで滑り出すのでしょうか。

経験が無い人は、「ちょっと練習すればスイスイと滑れるようになるだろう」なんて思っていたりするんですが、実際はそんな甘いもんじゃないです。


「こりゃあ、誰かに教えてもらわないと無理だろう」
「かといって友達に教えてもらっても上達するとは思えないし」
「よし、インストラクターに教えてもらおう」

そう考えて、我流では滑らずに、最初からインストラクターに滑り方を学びました。

あんなもん、我流で滑れるような代物とは思えませんでしたからね。


「レッスンを受けると、料金が高いのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょうが、意外とリーズナブルなんですよ。

1対1のマンツーマンでプライベートレッスンを受けると、1時間で2万円ぐらいかかります。

しかし、グループレッスン(他の人と合同でレッスンを受ける)だと、午前中の2時間で4,000円。午前と午後合わせて4時間で6,000円。

ほら。さほど高いものじゃないでしょ?


ちなみに、私は4時間コースを申し込みました。

同伴で来ていた友人もスノーボード未経験でしたから、2人で同じメニューに申し込んだんです。

グループレッスンといっても、申し込み数が少なければ1対1になることもあります。

私の場合は、インストラクター1人に対して、受講者は私と友人の2人でした。ほぼマンツーマンです。


午前に2時間。午後から2時間。合計4時間のレッスンでしたが、未経験から一気に中級コースまで滑れるようになったのです。

初めてのスノーボードで中級コースを滑れるようになったのですから、レッスン料は安いものでしたね。

もし我流で滑っていたら、骨折していたかもしれませんし、あまりに滑れなくてスノーボードを嫌いになってヤメていたかもしれません。

しかし、少しばかりのレッスン料を払って、インストラクターに教えてもらったおかげで、初めてのスノーボードでもすごく楽しかったですし、怪我もありませんでした。

でも、お尻や膝はちょっと痛かったですけどね。


もし、自分流、まさに無手勝流に滑り出してしまうとどうなるか。

運が良ければ軽傷で済むかも知れませんが、そうでなければ、、、。

後遺症が残るほどの重症。場合によっては死亡すらありえる。

危ないスポーツなんです。スノーボードは。

 

我流にこだわると、思わぬ結果を招いて、困ったことになる。

これはスノーボードに限らず、会社での労務管理にも通じるところがあります。

正しいと思い込んで判断したことが間違っていて、労働基準監督署の人たちがやってきたり、弁護士から何だかよくわからない書面が送られてきたり、裁判所のお世話になったり。

怖いもんです。自分流というものは。

 

 

労務管理にもインストラクターなり教科書が必要。

間違った理解をしている人から学んでしまうと、学んだ人もまた間違って理解してしまいます。

上司が労務管理についてキチンと理解できていないのに、どうやって部下にOJTで教えるというのでしょうか。

会社の中で教えてもらったり、理解するのが難しいんですね。労務管理は。


では、会社の人から学べないとなると、どうすればいいのか。

そこで、「労務管理を学ぶ手段」が必要になります。

手段とは具体的に何なのかというと、「労務管理の教科書」です。


社労士である私も愛用していますが、『社会保険労務ハンドブック』という1冊の書籍。

 

 

過去にも何度か紹介してきましたが、毎年11月か12月には新年度版が発売されますから、今回も紹介させていただきます。


労働基準法だけでなく、労災保険や雇用保険、健康保険、国民年金と厚生年金、さらには労働組合の制度に関することまで網羅されています。


ページ数は816ページもありますが、隅から隅まで全部読む必要はありません。

816ページ全部を読むとなればウンザリしますけれども、知りたいところだけ読む、調べたいところを探して確認する、という使い方で十分です。

そういう【つまみ食い感覚】で使うものですから、目次で調べて、必要なところを読めば足ります。


書籍の寸法は、横幅が117mm、縦が173mm。

重さは360gです。


辞書や六方だと、大きいし重くて困りますけれども、この社会保険労務ハンドブックは新書サイズですから、カバンに入れて持ち歩けますし、デスクの上に置いておいても邪魔になりません。

重さもスマートフォン2台分ぐらいですからね。

 

 


日常的に聞かれる質問に答えられるか。

もし、インフルエンザで1週間休んだら、給与はどうなるでしょうか。

インフルエンザで1週間はちょっと長い感じがしますが、まぁ一例として考えてください。


休んだ期間は働いていないのですから、無休になるはずです。

となると、1週間も休むのだから、「何か公的な制度がありませんか?」「給付が出るとか」と会社で質問してくる方もいるのでは。

 

そういう質問をされたとき、あなたはどう答えるか。

「私は、そういうことに詳しくないから分からないなぁ、、」
「役所で聞いてみたら?」
「自分のことなんだから、自分で調べればいいじゃないか。スマホで検索してみたら?」

などと答えるでしょうか。

 

はい。確かに、このように答える方が自然でしょうね。

公的な制度は複雑ですし、そうそう知っている人に出会うこともありません。

ですが、会社で事務を担当しているなら、ザックリとでも答えたいところ。


給与計算や雇用保険の加入手続き、など総務系の業務を担当しているなら、健康保険に関する質問を受けるときもあるはず。

ならば、「病気で1週間休むとなれば、健康保険から傷病手当金が出るよ」と教えてあげたいもの。

さらに、「待機期間が3日間あるから、その3日間は有給休暇を使って、4日目以降の休みに対して傷病手当金を申請すればいいのでは?」と伝えることができれば、申し分ありません。

 

 

「会社を辞めたら、どれぐらいの失業手当が出るんですか?」と聞かれたら。

他には、「失業保険に何年加入すれば、どれだけの失業手当が受け取れますか?」と聞かれて、どう答えるか。

失業保険は、正式には雇用保険で、加入した期間に応じて給付内容が変わります。

長く加入している方が、失業後、手当が支給される期間が長くなります。加入期間が短いと給付日数が少なくなる、もしくは失業手当が支給されない場合もあります。

さらに、失業した理由によっても給付の内容が変わります。解雇や退職勧奨だと給付が多くなり、自主的な退職だと少し給付が少なめになります。

また、年齢によっても給付日数が変わります。

若い人ほど失業手当の給付日数が少なくなり、年齢が高い人は給付日数が多くなる傾向があります。


一例として、雇用保険に5年加入した人を想定してみましょう。

年齢は25歳とします。

もし、この人が自主的に退職したとすれば、給付される失業手当は90日分です。

一方、会社から退職勧奨された、もしくは解雇されたとなれば、給付される失業手当は120日分になります。

失業という点では同じですが、後者では、30日分、つまり失業手当が支給される期間が1ヶ月ほど長くなります。


「失業保険に何年加入すれば、どれだけの失業手当が受け取れますか?」と聞かれ、「あなたの場合は、雇用保険に5年加入していて、25歳。さらに本人都合で退職するから、失業手当は90日分だね」と教えることができるかどうか。

会社の人が教えなくても、ハローワークの窓口で説明してくれますけれども、退職する段階でザックリとでも教えてあげれば、退職する社員は安心しますよね


労務管理とは、簡単に書くと、「会社が商売をしやすくなり、従業員が働きやすくなるための施策」ではないかと思うのです。

雇用保険や労災保険、健康保険や年金は社員にとっても大事な事柄ですし、ちょっとした疑問にササッと答えてくれる担当者がいてくれると心強いものです。

事細かに、微に入り細を穿つぐらい詳しく教えてくれなくてもいいんです。


「病気で1週間休んだら、何か公的な制度を使えるんですか?」
「会社を辞めたら、どれぐらいの失業手当が出るんですか?」
「出産時や育児のときに使える公的な制度にはどのようなものがありますか?」

日常的に出てくる疑問はこんな感じですから、これらに対してザックリとこういう制度や給付があるよ、と教えるだけでも相手の満足感は違います。

 

 

社会保険や労働保険に詳しい人が周りにいない。

人に聞いても、分からない、知らない。

周りの人が知らないことは自分で何とかしないといけないですから、孤軍奮闘状態になるんです。

職場のPCで調べる。
スマートフォンで検索する。

今ならそういう道具もありましょうが、いかんせん時間がかかるんですね。

 

ネットで検索しても、公的なウェブサイトから個人のブログ、まとめサイト、twitterの投稿など、ごちゃ混ぜに画面に表示されますから、自分に必要な情報はどこにあるのか探すのに苦労します。

そういうときに、サッと社会保険労務ハンドブックを取り出して、知りたいことを調べればいいのです。

ネットの情報には正しいものもあれば、そうではない情報も混ざっています。

しかし、キチンと編集されたフォーマルな情報なら、余計な情報に惑わされることもありません。


日常的に労務管理に関する業務を担当している方ならば、是非とも持っておきたい1冊です。

 

 

 

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