労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

無断欠勤し、その後出勤してこなくなった人を解雇してもいいの?

 

f:id:ma95:20181031130347p:plain

 

2年近くも無断欠勤 1等海曹を懲戒免職、横須賀地方総監部

 2年近く無断で欠勤しているとして、海上自衛隊横須賀地方総監部は26日、自衛艦隊司令部の40代の1等海曹の男性を懲戒免職処分にした、と発表した。

 総監部によると、1等海曹は2016年11月28日から欠勤。家族が同日、田浦署に行方不明者届を提出した。現在も行方が分かっていない。

 失踪直後の16年12月や今年4月、1等海曹が都内で銀行口座から預金を引き出したり、携帯電話の契約を更新したりしていたことが判明。総監部は事件や事故に巻き込まれた可能性が低く、自らの意志で出勤を拒否している、と判断した。

 


公示送達で懲戒免職の意思表示を相手に伝える。


2年近く放置するよりも、
公示送達で懲戒免職を伝えた方が良かったのではと思える事案です。

今まで前例が無いため、
対処しようがなかったのだと思いますが、
相手に連絡が取れないときは公示送達という手段で伝えることができます


公示送達とは、

相手方の住所が分からないため、
懲戒免職するとの意思表示を伝えられないとき、
簡易裁判所を経由して、意思表示を相手に伝えるものです。

 

意思表示の公示送達(裁判所)

 

ちなみに、

お金(家賃や借りたお金の返済金など)の支払いを誰にすればいいのか分からないときは

供託

という手段を用います。

 

供託手続(法務省)

 

借り主が知らないところで家主が変わったとか、
債務者に通知せずに債権が譲渡されたとか、
そういう場合には支払金を供託して、
キチンと支払ったものと扱われるんですね。

 

お金の支払い相手を判断できないときは供託

意思表示を伝える相手が不明のときは公示送達

このような違いがあります。

 

 

連絡なしで出勤してこなくなった人。


何らかの理由で、
突如、連絡せずに無断欠勤して、
出勤してこなくなった。

こういう人、職場にもいるのでは。


事件や事故に巻き込まれて、
出勤できなくなるケースは本人に責任はありませんが、

そのような理由もなく、

もう職場に行きたくない、
辞めるから連絡なしで無断欠勤する、

という人もいます。


「辞める」と伝えにくいから、
無断欠勤でもって退職の意思を示す。

そういう事情もあるのかもしれませんが、
何の連絡も無しで出勤しなくなると、
職場の人は心配するもの。

警察に届けられて、
捜索される場合もありますから、

軽い気持ちで無断欠勤を続けると、
後から面倒なことになります。

 

こんなこと書いていますけれども、
私も学生の頃に同じことをした経験があります。

今となっては、良くないことをしたなと反省していますが、
仕事を辞める手段として無断欠勤を利用していたんですね。

 

 

 

 

無断欠勤した人を解雇できる?


退職するなら、

「来月いっぱいで辞めます」

などと伝えましょう。


対面でも電話でも構いませんが、
何らかの方法で退職する意思を伝えます。


仕事で何か嫌なことがあって、
ムカついて無断欠勤し、
もう仕事には行かない。

そういう辞め方もあるにはありますけれども、
後から面倒なことが起こる可能性がありますし、
オススメしません。


事業所としては、

「無断欠勤している人を解雇したい」

と考えるところでしょう。


使用者と労働者は雇用契約を締結しており、

使用者は仕事ができるように環境を整備しないといけませんし、
労働者は労働を提供する義務があります。

無断欠勤すると、労働を提供していないわけですから、
債務不履行責任が生じます。

労働を提供するという債務を履行していないため、
債務不履行なんですね。


ですから、

無断欠勤を理由に、
使用者が労働者との雇用契約を解除するのもアリです。


ただ、

無断欠勤といっても、
個々に事情が異なります。


事件や事故に巻き込まれた、
もしくは自らそれらを起こしたとすれば、

出勤したくてもできない、
連絡したくてもできない、

という状況なのかもしれません。

そういう場合は、
解雇するというわけにもいきませんからね。


しかし、

本人は元気でトラブルも無いが
無断で欠勤したとなれば、

「解雇するか」

という話も出てくるというもの。

 

「もう来ないんだろうから、解雇にしちゃえ」
そう思いたい気持ちは分かるのですが、
本人は退職すると口頭でも文書でも伝えてきていないため、
雇用契約を解除しにくいのです。


もし、就業規則に、

「正当な理由、連絡なしで欠勤が3日以上に及んだ場合、解雇します」

と書かれていたら、

無断欠勤が3日目になった段階で懲戒解雇となります。


「3日で足りるんですか?」
「1週間ぐらいは様子を見る必要があるのでは?」
「14日は必要では?」
「いや、解雇予告期間と同じ30日は必要なのでは?」

など色々な考えがあるでしょうが、
ここは会社ごとに就業規則で決めるところです。

 

 

 

どうやって解雇の意思表示を伝える?


仮に、就業規則に基づいて、
無断欠勤が3日に及んだので、懲戒解雇したとしても、

「あなたを懲戒解雇した」
と相手に伝えないといけないのです。


会社としては、
就業規則に基づいて懲戒解雇すれば終わりなのでしょうが、
それを相手に伝えるまでは手続きは終わらないのです。


では、どうやって相手に懲戒解雇を伝えるか

ここが一番悩むところでしょうね。


本人に解雇を伝える手段としては、
せいぜい電話を何回かかける程度ではないでしょうか。

履歴書や緊急連絡網に書いてある
自宅電話や携帯電話に電話をかけて伝える。

本人が会社まで来れば伝えやすいでしょうが、
無断欠勤する人がすんなりと来社するとは思えません。

 


懲戒解雇したとの文書を内容証明で送る方法もあります。

内容証明 - 日本郵便

 

郵便局で、懲戒解雇の書面を提示して、
こういう文書をこの住所のこの人に届けます、
と証明するのが内容証明です。

通常の郵便料金に430円を加算すると送付できますから、
リーズナブルな手段です。

ただ、
相手がその住所にいなければ届けられません。


携帯電話の番号しか持っていない人も増えましたし、
電話番号を変えるのも容易です。

住所も、引っ越ししてしまえば、
もう会社はそれを知ることができません。


電話や郵便で伝えられればいいのですが、
それもできない場合は、先程の公示送達という手段を用います。

公示送達なら、
半ば強制的に懲戒解雇を相手に伝えることができますが、
現実にそのような手段まで用いるのかどうか。


相手が住んでいるところを調査して、
相手方に意思表示を伝えられないことを
証明しないといけないのが公示送達です。

電話や郵便に比べて手間のかかる手続きなんです。

業者に代行してもらうとなると、数万円の費用がかかります。


では、無断欠勤して来なくなった人にそこまでするのか。

 

もし、無断欠勤している人に支払うべき退職金がある場合は、
解雇した後になって、それを請求される可能性がありますから、
公示送達のために時間と費用がかかったとしても、
相手に懲戒解雇の意思表示を伝えたほうが良いでしょう。

 

懲戒解雇された場合は退職金を支給しない
という退職金規定がある会社もありますからね。

公示送達で懲戒解雇を伝えれば、
退職金は支給されなくなります。

例えば、
2,000万円の退職金がある人なら、
数万円の手数料を払って公示送達を申し立てても
退職金が不支給になることを考えれば、
高いものではありません。

 

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com
お問い合わせ

© 社会保険労務士 山口正博事務所