あやめ社労士事務所 - 労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

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無断欠勤して出勤してこなくなった人を解雇してもいいの?

仕事を休むときは、上司なり同僚なり、職場の人に連絡をするのが通常です。

連絡手段は電話だけでなく、メール、SNSでもできますね。例えば、職場のLINE WORKSで業務連絡ができますから、そこから欠勤の連絡ができます。個人用のLINEと分けて使えるのがLINE WORKSの利点。

LINE WORKSは職場ごとに作れるLINEアカウントで、個人で使っているLINEとは分けて使えます。個人用のアカウントを仕事に使わないため、仕事専用のLINEアカウントを作るような感覚です。

時折、連絡せずに仕事を休む人もいます。出勤する日なのに出勤してこない。出勤日であることを忘れているだけならばいいのですが、連絡なしで欠勤したら、職場の人は困ってしまいます。何か事情があって連絡できないだけかもしれませんけれども。

これが無断欠勤ですが、それに対して会社はどう対応したらいいのか。

 

2年近くも無断欠勤 1等海曹を懲戒免職、横須賀地方総監部(リンク切れ)

 2年近く無断で欠勤しているとして、海上自衛隊横須賀地方総監部は26日、自衛艦隊司令部の40代の1等海曹の男性を懲戒免職処分にした、と発表した。

 総監部によると、1等海曹は2016年11月28日から欠勤。家族が同日、田浦署に行方不明者届を提出した。現在も行方が分かっていない。

 失踪直後の16年12月や今年4月、1等海曹が都内で銀行口座から預金を引き出したり、携帯電話の契約を更新したりしていたことが判明。総監部は事件や事故に巻き込まれた可能性が低く、自らの意志で出勤を拒否している、と判断した。

公示送達で懲戒免職の意思表示を相手に伝える

2年近く放置するよりも、
公示送達で懲戒免職を伝えた方が良かったのではと思える事案です。

今まで前例が無いため、
対処しようがなかったのだと思いますが、
相手に連絡が取れないときは公示送達という手段で伝えることができます


公示送達とは、

相手方の住所が分からないため、
懲戒免職するとの意思表示を伝えられないとき、
簡易裁判所を経由して、意思表示を相手に伝えるものです。

 

意思表示の公示送達(裁判所)

 

ちなみに、

お金(家賃や借りたお金の返済金など)の支払いを誰にすればいいのか分からないときは

供託

という手段を用います。

 

供託手続(法務省)

 

借り主が知らないところで家主が変わったとか、
債務者に通知せずに債権が譲渡されたとか、
そういう場合には支払金を供託して、
キチンと支払ったものと扱われるんですね。

 

お金の支払い相手を判断できないときは供託

意思表示を伝える相手が不明のときは公示送達

このような違いがあります。

そうは言っても、無断で欠勤してる人に対して連絡するために、公示送達という手段まで使うのかどうか。そういう手段を現実に使うのはあり得るのか。無断欠勤する人にそこまでやらないんじゃないか。というのが多くの方の考えるところではないかと。

きちんと手続きをするという姿勢の職場ならば、無断欠勤する人に対して公示送達を利用することもあるのかもしれませんけれども、そういう職場は少ないのではないでしょうか。

大半の会社では、無断で欠勤してる人がいたら、電話で連絡したり、同僚の人達にスマホを使って連絡してもらったり、家族や親戚に連絡したり。他には、友人に連絡したり、という形で、間接的に本人と接触しようとするのではないかと。

そういう連絡ができなかったら、じゃあ郵便で連絡文を送って連絡してみるとか。それでも何も連絡をして来なかったら、もう放置しておく。もしくは、欠勤から1か月ぐらい経った段階で除籍する。除籍というのは雇用契約を解除なり退職したと扱うものです。。

無断欠勤する人を想定して雇用契約や就業規則を作っている会社は珍しいのではないかと。無断欠勤するぐらいだったら退職するだろう、と考えるものですから、そんな事態を想定してルールを作るようなことはしないのですね。

連絡なしで出勤してこなくなった人

何らかの理由で、
突如、連絡せずに無断欠勤して、
出勤してこなくなった。

こういう人、職場にもいるのでは。


事件や事故に巻き込まれて、
出勤できなくなるケースは本人に責任はありませんが、

そのような理由もなく、

もう職場に行きたくない、
辞めるから連絡なしで無断欠勤する、

という人もいます。


「辞める」と伝えにくいから、
無断欠勤でもって退職の意思を示す。

そういう事情もあるのかもしれませんが、
何の連絡も無しで出勤しなくなると、
職場の人は心配するもの。

警察に届けられて、
捜索される場合もありますから、

軽い気持ちで無断欠勤を続けると、
後から面倒なことになります。

 

こんなこと書いていますけれども、
筆者も学生の頃に同じことをした経験があります。

今となっては、良くないことをしたなと反省していますが、
仕事を辞める手段として無断欠勤を利用していたんですね。

こういうヤメ方は良くないのは分かっていたのですけれども、
色々と考えるところがあったのか、学生の頃にやってしまったんですね。

無断欠勤は民法415条の債務不履行

債務不履行というのは、民法で決められたもので、自分の側の義務を履行しなかった場合に相手方から責任を問われるというもの。

民法 415条
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

無断欠勤の場合は、労働者が債務者で、会社が債権者という関係になります。

会社の労務管理ならば、雇用契約を締結して働くと約束したにも関わらず出勤しなかった、契約で決めた時間に働かなかった、会社がちゃんと給料を払わなかった、こういった内容が債務不履行になるわけです。

無断欠勤は、雇用契約で決めた内容を履行しなかったものだから、債務不履行となります。
 
しかし、無断欠勤と判断する前に、病気や怪我で連絡できないだけかもしれません。何らかの事故で怪我をして連絡できないまま数日が経過し、無断欠勤となってしまった可能性。または、急病で連絡する余裕もないほどの状況に陥っているとか。

あまり起こり得ない状況ですけれども、やむを得ない事情で連絡できないとも考えられます。

連絡なしで出勤してこなかったら、いきなり債務不履行とは言わずに、まずは電話連絡するなり、SNSでメッセージを送るなりして、相手に事情を尋ねます。

連絡が取れずに、どうしようもなくなったら法的な対応をしなければいけませんけれども。

415条の債務不履行に該当するとなれば、損害賠償請求という話になるわけですが、現実にそれができるのかどうかは別の話。

無断欠勤した人を解雇できる?

退職するなら、

「来月いっぱいで辞めます」

などと伝えましょう。


対面でも電話でも構いませんが、
何らかの方法で退職する意思を伝えます。


仕事で何か嫌なことがあって、
ムカついて無断欠勤し、
もう仕事には行かない。

そういう辞め方もあるにはありますけれども、
後から面倒なことが起こる可能性がありますし、
オススメしません。


事業所としては、

「無断欠勤している人を解雇したい」

と考えるところでしょう。


使用者と労働者は雇用契約を締結しており、

使用者は仕事ができるように環境を整備しないといけませんし、
労働者は労働を提供する義務があります。

無断欠勤すると、労働を提供していないわけですから、
債務不履行責任が生じます。

労働を提供するという債務を履行していないため、
債務不履行なんですね。


ですから、

無断欠勤を理由に、
使用者が労働者との雇用契約を解除するのもアリです。


ただ、

無断欠勤といっても、
個々に事情が異なります。


事件や事故に巻き込まれた、
もしくは自らそれらを起こしたとすれば、

出勤したくてもできない、
連絡したくてもできない、

という状況なのかもしれません。

そういう場合は、
解雇するというわけにもいきませんからね。


しかし、

本人は元気でトラブルも無いが
無断で欠勤したとなれば、

「解雇するか」

という話も出てくるというもの。

 

「もう来ないんだろうから、解雇にしちゃえ」
そう思いたい気持ちは分かるのですが、
本人は退職すると口頭でも文書でも伝えてきていないため、
雇用契約を解除しにくいのです。


もし、就業規則に、

「正当な理由、連絡なしで欠勤が3日以上に及んだ場合、解雇します」

と書かれていたら、

無断欠勤が3日目になった段階で懲戒解雇となります。


「3日で足りるんですか?」
「1週間ぐらいは様子を見る必要があるのでは?」
「14日は必要では?」
「いや、解雇予告期間と同じ30日は必要なのでは?」

など色々な考えがあるでしょうが、
ここは会社ごとに就業規則で決めるところです。

無断欠勤した人に損害賠償を請求できる?

労務管理に限らずですが、何かトラブルが発生すると、損害賠償請求すると簡単に口に出して言う人もいますけれども、相手に賠償を請求するためには損害額を証明する必要があります。

身近な例だと、駐車場の入り口に「無断駐車された場合は1万円を申し受けます」という看板を取り付けている駐車場がありますが、あれ本当に1万円取れると思いますか。中には3万円と書いているところもありますね。無断駐車で相手から3万円取れたらラッキーですけれども、現実はそうはならないんですよ。

「書いているんだから請求できるだろう」と思う人もいるでしょうが、実際に1万円の損害が発生すれば請求できますが、無断駐車でその金額の損害は発生しないのでは。

場所によって駐車料金は違いますが、四輪車を1日駐車して料金が1,000円だとすれば、1日無断駐車された損害も1,000円です。無断で車を駐車した人から1万円取れるかと言うと、実際の損害額は1,000円ですから、1万円を請求することはできません。

実際の損害を賠償するのが損害賠償請求というもの。発生していないものは請求できません。それだと架空請求になってしまいますから。

慰謝料は別途請求できるものの、無断駐車で慰謝料というのは荒唐無稽です。精神的苦痛なんてありませんから。

さらに、無断で駐車されることによっていくらの損害が発生したかを所有者が証明しなければいけませんし、仮に証明できたとしても、駐車していた時間から計算した金額で、せいぜい1,000円くらいなのでは。もちろん、駐車料金が高いエリアならば、その相場に連動しますが。

損害額を証明して、法的な手続きもやって、1,000円程度しか回収できないとなれば、無断駐車した人に対してお金を請求するのは現実的ではないでしょう。

ですから、無断駐車されないように見張っておくとか、防犯カメラを付けるとか、さらには、ハッタリでもいいから「1万円請求する」という看板を付けておくのか。対策は様々です。無断駐車された場合は泣き寝入りするしかありませんので。


話を戻して、無断欠勤した人に対して損害賠償を請求できるのかについて考えてみましょう。

無断で欠勤されて、何か損害が発生して、その金額をちゃんと証明できるならば、損害賠償を請求できます。

その人がいなければできない仕事で、仕事が実現できなくて損害が発生した。その損害額も分かる。それならば相手に対して賠償を請求できます。

ただし、使用者は労働者を使うことによって利益を得ていますから、発生した損害の全てを労働者に請求できるのかという課題は残ります。雇用関係が成立していることが前提です。

無断欠勤する原因を会社が作ったとなれば、それは使用者の責任として考慮されますし、全責任が労働者に向かうとは限りません。

また、損害を証明するのは会社側ですから、日常業務とは別に、そういう作業をやっている余裕があるのかも考えないといけませんよね。僅かな金額のために日常業務を止めてやるほどのものか。


損害賠償を求めるとなると、会社から一方的に相手に電話をかけて相手に払えと請求できるものではないですから、弁護士を間に挟むわけです。無断欠勤する人が電話で伝えられてホイそれと金銭を払うとは思えませんし。

弁護士に依頼するとなると、その費用がかかりますから、弁護士費用を払ってでも回収する意味がある金額なのかどうか。「費用倒れ」という言葉もありますので。

例えば、損害額が10万円だったとして、それを弁護士に依頼して相手に損害賠償として請求したら、弁護士への費用の方が多くなってしまうか、費用を払って賠償された金額が手元に残ったとしても、その金額は僅かなものだったとか。

時間や労力を注いでも請求するほどの金額なのか。それに見合うのかを考えなければいけないところ。

対費用効果を見込めないならば他の方法で対処しないといけませんから。

内容証明郵便で雇用契約の解除を通知するか

www.post.japanpost.jp

契約を解除するとの通知を内容証明で送る。このような用途で利用するのでしょうが、無断欠勤した人に内容証明郵便を送るような丁寧な対応をする会社がどれほどあるのでしょう。

無断欠勤した人にそこまでやるのでしょうか。電話やメール、SNSのメッセージなどで連絡して、連絡がつかなかったら退職扱いにしちゃう。これが実務での対応ではないかと。

内容証明を作った経験がある方は多くないのでは。筆者は過去に1度作成して、郵便局で送った経験がありますが、なかなか手間のかかる作業でした。

どこの郵便局でも送れるものではなくて、地域の集配局でないと内容証明を取り扱っていないので、そこまで行って手続きします。また、内容証明と一般書留の料金がかかるので、普段の郵便物よりも料金がかかります。

そんなものを作ってまで相手に送るほど余裕がある職場なのか。無断欠勤している人に、わざわざ内容証明を作成して、丁寧に郵便で送る手間をかけるのか。日常業務があるのに、そんなことをする時間や人を用意できるのか。

現実は電話で連絡するぐらいでしょう。郵便を使うとしても手紙を封筒に入れて送ったり、自宅を訪問したり。これぐらいが実務的な対応では。

誰が、どんな内容の内容証明を作るのか。行政書士に依頼するのか、自社の社員に作ってもらうのか。いずれにせよ相応の時間と費用がかかります。となると、内容証明郵便を送るのは現実的な対応とは言えないでしょう。

無断欠勤した人にどうやって解雇の意思表示を伝える?

仮に、就業規則に基づいて、
無断欠勤が3日に及んだので、懲戒解雇したとしても、

「あなたを懲戒解雇した」
と相手に伝えないといけないのです。


会社としては、
就業規則に基づいて懲戒解雇すれば終わりなのでしょうが、
それを相手に伝えるまでは手続きは終わらないのです。


では、どうやって相手に懲戒解雇を伝えるか

ここが一番悩むところでしょうね。


本人に解雇を伝える手段としては、
せいぜい電話を何回かかける程度ではないでしょうか。

履歴書や緊急連絡網に書いてある
自宅電話や携帯電話に電話をかけて伝える。

本人が会社まで来れば伝えやすいでしょうが、
無断欠勤する人がすんなりと来社するとは思えません。

 

懲戒解雇したとの文書を内容証明で送る方法もあります。

内容証明 - 日本郵便

郵便局で、懲戒解雇の書面を提示して、
こういう文書をこの住所のこの人に届けます、
と証明するのが内容証明です。

通常の郵便料金に430円を加算すると送付できますから、
リーズナブルな手段です。

ただ、
相手がその住所にいなければ届けられません。


携帯電話の番号しか持っていない人も増えましたし、
電話番号を変えるのも容易です。

住所も、引っ越ししてしまえば、
もう会社はそれを知ることができません。


電話や郵便で伝えられればいいのですが、
それもできない場合は、先程の公示送達という手段を用います。

公示送達なら、
半ば強制的に懲戒解雇を相手に伝えることができますが、
現実にそのような手段まで用いるのかどうか。


相手が住んでいるところを調査して、
相手方に意思表示を伝えられないことを
証明しないといけないのが公示送達です。

電話や郵便に比べて手間のかかる手続きなんです。

業者に代行してもらうとなると、数万円の費用がかかります。


では、無断欠勤して来なくなった人にそこまでするのか。

 

もし、無断欠勤している人に支払うべき退職金がある場合は、
解雇した後になって、それを請求される可能性がありますから、
公示送達のために時間と費用がかかったとしても、
相手に懲戒解雇の意思表示を伝えたほうが良いでしょう。

 

懲戒解雇された場合は退職金を支給しない
という退職金規定がある会社もありますからね。

公示送達で懲戒解雇を伝えれば、
退職金は支給されなくなります。

例えば、
2,000万円の退職金がある人なら、
数万円の手数料を払って公示送達を申し立てても
退職金が不支給になることを考えれば、
高いものではありません。

無断欠勤を想定して労働基準法や民法は作られていない

雇用契約では、1週間に何日働くか、何曜日に出勤するのか、何時間働くのか、休みは週に何日とるのか、何曜日を休みにするのか。こういったことを契約の中で決めていますから、 無断で欠勤すると、契約で決めた内容を履行できません。ならば、無断欠勤で雇用契約を解除するのは対応として間違っていません。

その会社での仕事を辞めたくてあえて無断欠勤する人もいますからね。学生の頃の筆者のように。

契約で約束した通りの内容を実行してもらえないんだったら契約を解除する。例えば、3万円で時計を売ると言っていたのに、時計を売主が準備して来なかったら、買主は「この契約はなかったことにする」と言って帰ってしまうでしょう。これと同じです。 

無断欠勤したからといって、すぐに雇用契約を解除してしまうと、何らかの事故や病気によって出勤できなかった、もしくは連絡できなかったのかもしれませんから、何らかの事情があるのかもしれないという調査はしなければいけないでしょう。

本人や家族に連絡をして、親族、他には友人といった人達に連絡を取って、それでも連絡が取れなかったなら、雇用契約の内容を履行してもらえないので契約を解除する。契約内容を履行してもらえなかったなら、これは債務不履行ですから、それに対応するために契約を解除するんだ、という手順になるでしょう。

民法の債務不履行でもって雇用契約を解除する。これも根拠としては妥当なものです。雇用契約で約束した内容が履行されない。無断欠勤すると履行遅滞になりますから、それでもって債務不履行となり、契約を解除する、という順序になります。

ただし、無断欠勤により雇用契約を債務不履行で解除するとしても、何日間の猶予があればいいのかについては民法では決めていませんので、これは事業所ごとに独自に定める必要があります。

最も知りたいのはココなのかもしれませんけれども、民法で決めていないことならば、当事者間の契約、労務管理だったら雇用契約や就業規則で決めなければいけません。 民法は当事者間での取り決めが何もない時に使われる法律であって、言うなれば最低限の法律として位置づけられているものです。 

期間の定めのない雇用契約は、解約の申入れの日から2週間の猶予でもって終了すると民法627条では書かれています。また、労働基準法20条では解雇予告期間を30日間設けています。ならば、無断欠勤を始めてから2週間や30日も待たなければいけないかというと、これも微妙なところ。どちらの条文も無断欠勤する人を想定して作られたものではありませんから、そのままポンと当てはめて使うわけにはいかないのです 。

無断欠勤してる人に連絡を取って、本人に連絡を取れたかどうかのフィードバックを取るまでの期間はどれぐらい必要かと考えると、1週間もあれば十分なのではないでしょうか。連絡が取れればそれでいいとしても、1週間の猶予でもって連絡を取れなかったんだったら、無断欠勤してから1週間で債務不履行により雇用契約を解除する。こういうルールの決め方もあります。

客観的な基準がありませんから、「こういう対応するんだ」と任意に決めていかないといけないところ。本人と連絡を取るような手続きをしたかどうかは大事なところでしょうから、いつ誰に連絡を取ったのかという記録は残して、あれこれと連絡を取って、それで連絡が取れなかったら契約を解除する。 

労働基準監督署から解雇予告除外認定を受けるのも1つの方法です。無断欠勤して会社からあれこれと連絡を取ろうとしたにも関わらず、連絡が取れない、本人も出勤してこない、という事情を書面でまとめた上で、解雇予告除外認定をしてもらう。ただし、解雇予告除外認定を受けるということと、その解雇が有効かどうかは別の問題ですけれども。 

無断欠勤する人に対する対処法はいろいろありますし、どの対処法が正解かというと、いずれの選択肢も正解であって、この方法であれば何の問題も起こらない選択肢はありませんので、会社ごとに「ウチではこういう対応するんだ」と決めて、その通りに対応するのが妥当な解決ではないかと。 

実務的に割に合う無断欠勤への解決方法は?

どういう解決法が現実的なのか、考えないといけませんよね。損害賠償請求や内容証明郵便を用いるのは現実的でないとすると、どうするか。

そこで、就業規則に無断欠勤について対応を決めておく。これを根拠にして雇用契約を解除するならば説得力があります。何も決めていないと困ってバタバタします。

一例として、「連絡なく無断で欠勤した日が3日連続したときは、本人都合により雇用契約を解除する」と決めていたらどうか。

その3日間で相手に連絡を取って、その記録を残して、それでも状況が変わらないならば、無断欠勤が3日連続となったら雇用契約を解除します。何らかの事情で本人は出勤できないのかもしれないので、3日の猶予を設けて連絡できるようにしています。

本人都合にするか会社都合にするか悩むところですが、この点も就業規則で決めておくと判断しやすいのでは。

民法では無断欠勤を解決するのは難しくなりますから、就業規則で無断欠勤した場合の対処手順を決めておくと、ちゃんと根拠がある対応をしていると第三者は判断できます。

 

雇用契約は働く条件をキチンと決めておくものですし、言った、言ってない、決めた、決めてない、と後から蒸し返さないようにするために締結しているんですね。個人別に作るのが雇用契約書ですので、従業員個人との取り決めが雇用契約になります。

就業規則は会社での働く決まりごとを文書にしたもので、労務管理で問題が起こったときにどのように対処するのか、その基準や目安を決めておくために作っているんです。雇用契約と就業規則の違いは、就業規則は会社全体に適用されるもので、雇用契約は個人別に適用されるという点です。

だから雇用契約や就業規則は他人同士が同じ職場で働くときには必要なのです。民法は契約などで取り決めていないときのための最後の砦であって、一般法ですから、汎用性は高いものの労務管理に特化した法律ではありません。だから無断欠勤に対処するために就業規則で対処法を決めておくのですね。

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