働く条件を口約束で決めるな。

 

 

 

 

 

  • 何時から何時まで働くか。
  • 何曜日に出勤して、何曜日に休みにするか。
  • 週に何日、出勤するか。
  • 給与はいくらか。
  • 雇用保険や社会保険に加入するかどうか。

このようなことを決めるのが雇用契約です。


採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました。具体的には何を明示すればよいのでしょうか。(厚生労働省)
 

 

 


履歴書と面接だけで採用していた。


ずっと前、1990年代は、
ほんとルーズな時代でした。


人を採用するとなると、

「履歴書、持ってきて」
と言われ、持っていくと、

面接をするんですね。

 

履歴書を見ながら、
少々の質疑応答があり、

採用するとなれば、
「じゃあ、いつから入れる?」と。

働く条件について説明されることはなく、
もちろん雇用契約書なんてありませんでした。


勤務時間。
1週間に出勤する日数。
休みの日。
有給休暇。

こんな説明は無く、
労働条件が曖昧なまま採用され、
働き始めるんですね。


これはもう、

例えるならば、

【金額欄が空欄になっている小切手を
相手に渡すようなもの】


煮るなり焼くなり好きにしてくれ
と労働者が使用者に言っている。

そんな状態でしたね。

 

 

 

約束と違う働き方を求められる。


書面で働く条件を記録していないとなると、
後から色々と不都合なことが起こります。


例えば、

週3日勤務で約束したのに、
実際は週5日出勤になっているとか。

 

採用する段階で、

「週3日出勤で働きたいんですけど」
「いいよ。週3日でも」

とやり取りがされていたものの、

後日、働き始めると、

週4日や週5日で出勤するように
勤務シフトが組まれている。

「週3日という約束だったはずです」
「そこは。ほら、柔軟に対応してもらわないと」

こんな会話が交わされるんですね。

なんだか雲行きが怪しくなってきました。


そのまま渋々働いていると、

週3日の約束なんて忘れ去られて、
週4日、もしくは週5日で働くのが既成事実になっている。


履歴書と面接だけで、
働く条件を口約束すると
このようなことが起こります。


労働時間だけでなく、
給与でも同じです。

採用時は、
時給1,200円で約束したのに、

働き始めると
実際は1,000円になっているとか。

 


私も同じ経験があります。

大学生の頃でしたが、

採用時に、
時間給は1,150円と伝えられ、

納得して働き始めると、

最初の1ヶ月目は確かに1,150円だったんです。

けれども、

2ヶ月目以降は、時給1,000円に変えられていました。


「うわ。やられた」
と思いましたよ。

 

時給1,150円は口約束でしたし、
いつからいつまでと具体的な期間を
話し合っていなかった。

つまり、1ヶ月だけ1,150円にしてもOKですし、
しばらく続けて、ほとぼりが冷めたら1,000円にする
というのもOKな状況でした。

大学生でしたからね、当時は。

 

相手のことも信用していたので、
ずっと1,150円で続くと思っていたものの、
『ちゃぶ台返し』を食らったみたいな気分でした。


ですが、今となっては良い経験です。

労働条件を口約束で決めると、
後から困るんだ、と分かりましたからね。

 

採用時に契約書を作らない会社には入らない。
労働者側もこれぐらいの意識を持っていないといけないでしょう。

特に学生のみなさん、注意ですよ。

 

 

 


商売では契約書を作るのに、人を雇うときには作らない不思議。


業者同士のやり取りでは、

注文者がいて、受注者がいます。


注文者
「ネジを10万本。単価は4円。注文します。今月末までに用意してください」
受注者
「分かりました」

こんなやり取りがされるとしましょう。


この場合、

注文数
単価
納期

これらを書面に残しておくはずです。

注文者側、受注者側、双方で注文書なり見積書を作って、
決済され、納品されるまで書面を残しておく。

商売では当たり前ですよね。


もし、口約束で注文すれば、

「やっぱり、10万本も要らない。3万本に減らして」
「注文数は3万本だけど、単価は4円のままにして」

と注文者が無茶苦茶な要求をしてくる可能性があります。


ネジを作る受注者は災難です。

すでに10万本のネジを作って、
納品を準備しているかもしれません。

売上金が入ってくることを織り込んで、
買掛金の支払い予定を立てているかもしれません。

 

受注者は、こういう場合に備えて、
注文者が一方的に条件を変えてこないように、
売買契約の際に違約条項を入れておくのが通常です。


例えば、

注文後、注文者の都合で数量を減らした場合、
減らした数量に相当する注文額の80%を受注者に支払う。

というような条件を契約に付けておきます。

これがあれば、注文者は一方的に数量を変更してきませんよね。

 

商売ではキチンと契約書を作るものの、
人を雇うとなると、なぜか書面を作らずに済ませてしまう。

なぜでしょうかね。

「契約書が無くても大丈夫だろう」
「どういう契約書を作ったらいいのか分からない」
「フォーマットが無いから作れない」
「今までそういう書類を作ったことがない」

など、様々な理由があるのかと推測します。

 

雇用契約書とは?意味や記載事項、労働条件通知書との違いを解説

 

 

 

働く条件は書面に残して記録する。


書面を作らずに雇用契約を締結しているのがトラブルの原因です。

中には、契約書を作っていても、
後から覆してくる人がいるぐらいですからね。

口約束なんて、あって無いようなもの。


労働条件通知書のフォーマット(厚生労働省)

書面の雛形は用意されていますから、
まずはここから始めてはいかがでしょうか。


今までは採用時に書面を作っていなかったならば、
契約の更改も兼ねて、
書面を改めて作るといいでしょう。

 


あとは、採用時だけでなく、
途中で労働条件を変えるときも書面に残しておくべきです。

例えば、

週3日出勤を週5日に変更したいとき。
1日7時間勤務のところ、1日4時間勤務に減らしたい。

このような希望がある場合は、
使用者と労働者が合意の上、
契約を更改します。

ここでも、
口約束で出勤日数や勤務時間を変えるのはダメです。


部分的な変更ならば、
変更する部分だけ変えて、
後は前回の契約内容を写すだけです。

10分あれば終わる程度のものです。

たった10分の手間を惜しんで、

後から
「言った」「言わない」
「約束した」「してない」

と面倒なやり取りが起こり、

時間も費用も浪費しないようにしたいですね。

 

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山口正博 社会保険労務士事務所
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