あやめ社労士事務所 - 労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

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フリーランス(自営業者)が産休や育休を取ったら社会保険はどうなる?

自営業の保険

 

 


フリーランスというと自営業の人ですが、
会社員とは制度面での扱いが異なります。

 

産休中の社会保険料は、
ずっと前から問題となっていて、

会社員だと社会保険料が免除されるが、
自営業だと免除されないんです。

会社員と自営業者になぜこのような差があるのか

自営業だと、
産休中でも、育児中でも
休みながらでも仕事ができる(と思われている)。

それが自営業の良いところですが、
同時にそれが短所にもなっていて、
公的保険で冷遇されています。


自営業 = 「常に仕事ができる」
と扱われており、

「仕事をしている状態」

「休んでいる状態」
との

境目が曖昧なのです。

だから、ハッキリと休んでいる状態を判定しづらい。

判定しづらいから、

産休中でも
「仕事ができる状態だろう」
と考えられてしまい、

社会保険料は免除されない。

 

一方、会社員だと、
仕事と休みの境目が分かりやすい。

出勤と欠勤で勤怠データが分けられています。

ただ、会社員でも、
休んでいるときに何か他の仕事をしている
可能性はあるんですけどね。

自営業者が雇用保険に入れない理由

自営業の人は、
「失業状態が無い」
と考えられていて、
雇用保険に加入できません。


仕事をしているのか、
それとも、していないのか。

この境目が曖昧なため、
「失業しているかどうか」
を判断できないんです。


自ら失業した場合でも
失業給付を受けられるのが
雇用保険です。

 

本来、
保険というのは、
偶発的な事故で発生する損害を
補償してもらうもの

自分で事故を発生させて、
保険金を受け取ると、
それは「保険金詐欺」です。

しかし、
雇用保険は例外で、
自分の意志で失業しても
給付を受けられます。


色々な保険を販売している
民間の保険会社ですが、

自分で保険事故を起こせてしまうため、
雇用保険を販売していないんですね。

 

自営業だと、

365日、常に在職中だと言えますし、
同時に
365日、常に失業中とも言えます。

つまり、
本人次第で、失業しているかどうかを
コントロールできてしまう。

そうなると、
好きなように雇用保険から給付を受けられますし、
保険として成り立たないような状態になります。

 

ゆえに、
自営業者は雇用保険に入れないのです。

法人化すれば会社員の身分に

自営業での商売は個人扱いですが、
法人を設立して、法人経由で商売をすれば、

健康保険や社会保険に加入できます。

 

法人の代表者だと雇用保険には入れませんが、
社会保険に関しては、会社員と同じように
健康保険と厚生年金に加入できます。

年金での身分も、2号被保険者になりますし、
産休中や育休中に社会保険料が免除されます。


自営業だと個人の収入を基準に
社会保険料が決まります。

一方、

法人を経由すると、
法人におカネを残しておいて、
自分の収入を少なくすると、
社会保険料も減ります。


社会保険料は個人にかかるものであって、
法人にかかるものではないため、

個人に支払う給与や賞与を少なくすると、
社会保険料も少なくなります。

 

法人は病気や怪我をしませんし、
年も取りませんから、
社会保険料がかからないのですね。

 

「いや、社会保険料の半分は会社が負担しているのでは?」
と思う方もいらっしゃるでしょうが、

本来は個人が負担するものを
会社が半分負担するとされているのであって、

会社そのものに対して社会保険料がかかっているわけではないのです。


会社員とほぼ同じ扱いを受けたいならば、
自営業を法人に変えるのも1つの手です。

平成31年4月から、国民年金1号被保険者も産休中の社会保険料が免除

自営業者は、
国民年金では1号被保険者ですが、

平成31年度から、1号被保険者の人も、
産休中に社会保険料が免除されるようになる予定です。

 

国民年金に加入している人も産休時に保険料を免除。平成31年4月から。


平成28年の後半頃に決まった内容で、
随分前のことですから、忘れ去られているでしょうが、
予定では平成31年の4月から開始されます。

 

国民年金保険料の免除というと、保険料を払わなくて済むけれども、その免除された期間は保険料を払っていない、もしくは一部しか払っていない、という形でしか反映されないんじゃないか、と思われる方もいらっしゃるのでは。

国民年金保険料の免除制度にはいくつかあり、全額免除、3/4免除、半額免除、1/4免除、これら4つの免除制度があり、さらに学生納付特例制度のような納付猶予制度もあります。

 

国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度

 

納付猶予の場合は、国民年金保険料を払わないで済むのですけれども、払わなかった期間は保険料を支払っていない状態のままで、年金額には反映されません。そのため後から国民年金保険料を追納する必要があります。

他の4つの免除制度の場合は、免除された期間のまま放置したとしても、1/2から7/8まで年金額に反映されるようにはなっていますけれども、保険料を支払ったもの、つまり保険料の全額を支払ったものと扱われる免除制度は、これら4つの中にはありません。

一方で、産前産後期間中の国民年金保険料の免除制度は、免除された期間の国民年金保険料を全額支払ったものとみなされるので、他の4つの免除制度とは年金額に反映される割合が違います。

産前産後期間中の免除制度を利用すると、その期間は全額、年金額に反映されるのがこの制度の特徴です。保険料ゼロで満額支払ったと扱われるのですから、1ヶ月16,610円で4ヶ月間ならば、66,440円のお小遣いを貰ったようなものです。 

産前産後期間に対して国民年金保険料の免除を適用された場合、4ヶ月分の国民年金保険料が免除されます。その結果、4ヶ月の期間は保険料納付済期間として年金記録に残ります。

 

国民年金保険料の産前産後期間の免除制度

 

出産前だけでなく、出産後に手続きも可能ですから、出生日が確定してから国民年金保険料の免除手続きをするのもいいですね。

他の免除制度や猶予制度、学生納付特例制度が適用されていたとしても、出産する場合は、この産前産後期間中の国民年金保険料の免除制度を適用させることができます。他の免除制度や納付猶予制度に比べてこちらの方が有利ですから、重複した場合は、産前産後期間中の免除制度を申請して適用する方が加入者には得です。

申請手続きは1枚の申請書で済みますし、それを市町村の窓口に送れば手続きは完了です。 

他の免除との違いは、保険料が免除される点は同じですが、実際に国民年金保険料を払ったものと扱われるのがこの産前産後期間中の免除制度の特徴です。

雇用保険から支給される育児休業給付金

雇用保険の被保険者になっている人には、
育児で休業すると、

『育児休業給付金』
が支給されます。

支給額は在職時の6割ほど。


自営業だと、
雇用保険に加入していないため、
育児休業給付金はありません。


法人化しても、
法人の代表者だと雇用保険に入れませんから、

フリーランスの方は、
『育児休業給付金』
については諦めましょう。

健康保険からは産休中に出産手当金

雇用保険の育児休業給付金は
育児休業中に支給されますが、

健康保険の出産手当金は、
産前産後休業中に支給されるもの。

 

出産で会社を休んだとき(全国健康保険協会)


支給額は、産休前の収入に比べて7割弱ほど。

ちなみに、国民健康保険には無い給付です。

自営業者は国民健康保険に加入しますから、
この出産手当金はありません。


自営業を法人化して、
社会保険に加入すれば、
この出産手当金が支給されます。


なお、被扶養者だと、出産手当金は出ません。
被保険者用の給付であるため、
被扶養者は対象外なのです。

出産手当金は所得補償を目的とした給付で、
被扶養者には所得補償が必要無いため、
出産手当金が支給されないのです。

産休や育児なら自営業者でも期間を把握できる

産休期間は、
出産日の前42日、産後56日で、
出産日が決まれば産休期間も特定できます。

これは自営業者であれ会社員であれ同じです。

 

また、育休期間も、
子供の年齢を基準にすれば、
どこからどこまでが育休期間なのかを特定できます。

 

1年6ヶ月なり2年と育休の期間には限りがありますから、
自営業者であっても、育休で休む期間を把握できます。

 

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国民年金第1号被保険者の育児期間(産休中)の保険料免除

子が1歳までの父母を対象に令和8年(2026年)10月から保険料の免除制度が施行されます。

すでに産前産後期間の国民年金保険料は第1号被保険者も免除されるように制度が変わっています。しかし、育児期間中の国民年金保険料は免除の対象になっていませんでした。

令和8年10月1日から育児期間中(育休中)の国民年金保険料も免除されるようになります。免除された期間は納付済期間と同じ扱いを受けますので、他の免除制度とは違いがあります。免除された期間は年金額に全額反映されます。

対象となるのは、 1歳までの子を養育する国民年金第1号被保険者の父母(養父母も含む)。就業の有無や所得の状況などの要件を設けないため、仕事をしながらでも免除制度を利用できます。

産前産後期間中の保険料免除期間に続いて育児期間中の免除も利用する場合は、産前産後の免除期間が4ヶ月で、それに引き続く9ヶ月を育児期間免除の対象期間とします。子が1歳になるまでですので、産前産後の期間を含めると左記のようになります。

国民年金ではありませんが、国民健康保険料も産前産後の期間中に軽減されるように制度が変わっています。令和5年11月1日以降の出産予定または出産ならば、出産予定日または出産日が属する月の前月から、4か月間の所得割と均等割の国民健康保険料が減額されます。出産予定日の6か月前から申請が可能ですので、国民年金保険料の免除と一緒に早めに手続きしておくといいですね。

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