【高プロ】特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル労働制) に賛成? それとも反対?

 

 

 

 

2018年5月31日、
高度プロフェッショナル制度を含む法律案が
衆議院本会議で可決され通過。

このあとは、参議院で審議される予定です。


「高度プロフェッショナル制度」
「高度プロフェッショナル労働制」
と言われていますが、


正式な名称は、

『特定高度専門業務・成果型労働制』

です。

 

 


「高度」で「プロフェッショナル」な働き方とは?


高度プロフェッショナル制度が適用される人は、

高度でプロフェッショナルな働き方ができる人となるはずです。


具体的には、

  • 金融商品を設計する業務。
  • 金融商品をディーリングする業務。
  • アナリスト。
  • コンサルタント。
  • 研究開発の業務。

これらが高度でプロフェッショナルな業務とのこと。

 


従来のように、
時間と給与が連動する働き方が良いのかどうか。

仕事ができても。
勤続年数が長くても。
業務に習熟しても。

みんな同じ給与。

これでヤル気を出せと言われても、それは無理な話。

 

とはいえ、

時間と生産量が連動している仕事には、
そういう働き方の方が合っています

1時間で20個生産できる。
2時間なら40個。
3時間で60個。

このように時間と生産量が比例する業務には、
給与は労働時間に連動している方が合理的。


ブルーカラーや、ホワイトカラーでも単純労働型の
働き方をしている人は、
時間と給与が連動しているものです。


しかし、

ホワイトカラーのなかには、
クリエイターのような働き方をする人もいて、
そういう人に対して、

「何時間働いたからナンボ」

という基準では、仕事をうまく評価できない。

 

1時間で他の人の4時間分の仕事ができる人もいれば、
1時間で1時間分の仕事しかできない人もいます。

10時間働いても、さっぱりと成果が出ないときもあります。
1時間ぐらいでドンと成果が出るときもあります。

 

クリエイターというのは、そういうもの。

 

 

 


残業代ゼロ制度、過労死を助長する制度なのか?


労働時間に対する規制、
割増賃金時間外労働の上限
休日労働深夜労働

これらに関する制限を取り払って働いてもらうのが

特定高度専門業務・成果型労働制
別名、高度プロフェッショナル制度なのです。

 


割増賃金も込みで、
時間外労働に関する制約も無しで働いてもらうわけですから、
年収1,000万円程度では少ないのではないかと思います。

この程度の報酬で、
「高度プロフェッショナル労働者」と言えるのかどうか。

 

高度で、プロフェッショナルと言われる働き方をしているならば、
せめて年収で2,000万円ぐらいは受け取っていないと
割に合わないでしょう。


これでは

「人件費をケチって働いてもらうための制度」

と言われても仕方ない。

 

 

 

 

 

裁量労働制との違いは?


高度プロフェッショナル制度に似た制度として、
裁量労働制があります。


「裁量労働制と高度プロフェッショナル制度は
似ているんじゃないか?」

「いや、ほぼ同じものだろう」

と思う方もいらっしゃるはず。

 

裁量労働制には、

企画型・専門型の2種類があります。


企画業務型裁量労働制というのは、

企画、立案、調査及び分析に関する業務で、
業務の遂行方法を労働者の裁量に委ねる必要がある。

そういう仕事をしている人に適用できるのが
企画業務型裁量労働制です。


また、

専門業務型裁量労働制とは、

プロデューサーやコピーライター、
システムコンサルタント、
金融商品の開発など、

専門的なノウハウが要求され、

業務の遂行方法を本人の裁量に委ねないといけない
場合に適用される制度です。

 

1日8時間勤務
休憩は1時間
休日は週に2日

などと固定されているようでは、
それは裁量労働とは言わないのです。

 


特に、後者の専門業務型裁量労働制は、
高度プロフェッショナル制度に似ています。

「専門」という部分が「高度」に対応し、
「裁量労働」の部分が「プロフェッショナル」に対応しています。


裁量労働制は、

「業務の遂行方法や時間配分に関して、
使用者が労働者に対して具体的な指示
をしない」

のが特徴です。



「裁量労働制があるのだから、
高度プロフェッショナル制度は要らないのでは?」

そう考える人がいても不思議ではありません。

 

高度でプロフェッショナルな人こそ、
専門業務型裁量労働制で働くべきであって、

労働時間や休憩、休日について、
本人の判断で決めていいはずです。


では、高度プロフェッショナル制度には、
そのような裁量性があるのかどうか。

 

 

 


裁量性があるのかどうか。


労働時間、休憩、休日及び深夜労働に対する
規制を適用しないならば、

労働者本人がそれらをコントロールできるべきでしょう。

 

規制が適用されるから、
時間の使い方を使用者が細かく決められる。

しかし、

規制が適用されないならば、
使用者が時間の使い方を細かく決めるのではなく、
労働者が決める。


高度でプロフェッショナルな働き方をする人なのだから、

仕事の時間
休憩時間
休みの日

これらは本人がコントロールして決める。


しかし、

特定高度専門業務・成果型労働制では
そういった裁量性がありません。

法案にもそれは書かれていません。

 


1日の所定労働時間は8時間。
休憩は1時間。
休みは週に2日。

このように時間が固定された働き方をしていては、
脱時間給とは言えません。


高度でプロフェッショナルな労働者ならば、

仕事の時間
休憩時間
休みの日

を自分で決める裁量性があってしかるべきです。

 


長い時間働いても割増賃金が出ないならば、

1日8時間勤務に固定されず、

1日10時間でもいいし、
1日6時間もいい。

1日3時間で仕事を終えてもいい。

これは本人が決める。

長い時間働いたからといって
収入が増えるとは限りませんから、
何時間働くかは本人次第。


時間と賃金が連動していると、
時間あたりの生産量を最大化するために、
人をサボらせずに働かせようとします。

しかし、

労働時間と報酬の連動性が薄れるならば、
時間配分を労働者が決めても差し支えないでしょう。

 


休憩も、

1時間に限定されず、

2時間でも、3時間でも取れる。

自分が必要なだけ休憩を取れるのが
高度でプロフェッショナルな人のはず。


休憩しているのか、
居眠りをしているのか、
晩ごはんに何を食べようかと考えているのか、
次の休みにカレシとどこに行こうか悩んでいるのか、
仕事をしているのか、

これらの境目もはっきりしませんからね。

高度な働き方をしていますから、
時間給や日給、月給で働いている人には理解できないでしょう。

 


散歩をしながら、
構想や企画を練る人もいるでしょうね。

これを傍から見れば、
「おい、何をサボっているんだ」
と言いたくなるでしょうが、

本人は仕事をしているんですね。

 

スカイダイビングで空から落下すると、
いいアイデアが浮かぶ。

そんな人がいても面白い。


これこそ高度でプロフェッショナルな人の働き方です。

 

休憩中にボーッとカツ丼を食べているような人ではなく、
頭をずっと動かしながらカツ丼を食べているんでしょうね。

 

 

休みの日、これも高度でプロフェッショナルな人なら
固定されないはず。

週休2日なんてセコいこと言っていないで、
週休3日でも週休5日でもお好きにどうぞ。

もちろん、休み無しで働くのもアリですよ。

仕事が詰まっているときはギュッと働けばいいですし、
そうではないときは、週休5日でも大丈夫でしょう。

 

そりゃあ、高度プロフェッショナル労働者なんですから。

休む日は自分で決められます、よね?

 

割増賃金は払わないが、

1日8時間は働け。
休憩は1時間だけだ。
休みは週に2日しかやらん。

こんな就業条件では、
とても高度でプロフェッショナルな働き方なんてできません。


言うなれば、

「名ばかり高プロ」

です。

 

労働時間と成果の関連性が高くない業務なのですから、
時間の使い方は本人が好きに決めていいはずです。

 

高度プロフェッショナル制度を適用されると、
使用者による指揮命令権が弱まるのが自然です。

休みたいときに休む。
仕事をするときにする。
休憩したいときに休憩。

これが高度プロフェッショナルな働き方、のはず。


2018年の国会で法案が法律となった後、
上記のような働き方ができるのかどうか。

 


先ほど書いたような裁量性が認められているならば
私は高度プロフェッショナル制度に賛成です。

しかし、


労働時間や休憩、休日について、
本人に裁量が無いならば
そのような制度には反対します。

 

 

 

労務管理をカンタンにして、仕事に集中するには?

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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