職場では学生の人を「アルバイト」と呼び、
オネーサマ方(「オバサン」とは書かない)を「パートさん」などと呼ぶ。
そういう会社やお店がありますよね。
パートという名称に「さん付け」するのは昔から不思議だと感じてます。
「アルバイト = 学生」
「パートタイム = オネーサマ」
こういうイメージが定着しているフシがあります。
しかし、労務管理の実務では、両者は同じものとして扱われます。
どちらも「パートタイム労働者」と呼んでいます。
他に、短時間労働者、短時間勤務者、という名称もありますね。
学生もオネーサマも同じ
学生アルバイトであれ、パートタイムのオネーサンであれ、
法律的には同じものです。
パートは女性だけ。
アルバイトは学生だけ。
そういう分類は無いんです。
実務では、どちらも「パートタイム労働者」と
一括りにされています。
ただし、学生の扱いは少し特殊
法的には同じものであっても、
「学生」という立場は他の人と違いがあります。
まず、高校生の場合。
健康診断は学校で受けますから、職場で定期健康診断を受ける必要はありません。
「学校保健安全法」という法律があり、学校は生徒の健康診断を実施しないといけないと決められています。
小学生からその後の学校まで、毎年、年1回の健康診断がありましたね。
学校が任意で健康診断を実施しているものだと学生の頃は思っていたのですが、
法律で義務付けられていると知ったのは学校を卒業してからです。
職場では、年1回(人によっては年2回受けている人もいます)、定期健康診断がありますが、こちらも労働安全衛生法という法律で義務付けられているもの。
学生以外の人は職場で健康診断を受けて、学生は学校で健康診断を受けるので職場では受けなくてもいいんですね。
また、高校生は深夜勤務ができません。
※なお、高校生は18歳未満の年齢であると仮定します。
深夜というのは、22時から翌日5時までの時間帯。
夜遅くから朝早くの時間帯は、高校生は働けません。
「ウチは居酒屋だから、22時以降も働いてもらうよ」
なんてことはできないんです。
私が高校生の頃、居酒屋で働いていた経験がありますが、
高校生なのに深夜の0時30分まで働いていましたからね。
完全に法律違反です。100%アウト。
今は社労士ですけれども、
高校生の頃は労務管理のルールなんて知りません。
夜遅くまで働いても、
「居酒屋だから、こんなもんだろう」と
思っていました。
しかし、そういう働き方はダメなんですね。
業種に関わらず、高校生は夜22時まで。
また、もう外が明るいからとって、朝5時前から働くのもダメです。
会社によっては、21時45分に仕事を終わらせ、
22時までには会社の外に出るようにしているところもあります。
「職場の中にいる = 仕事をしている」と判断する人もいますから、
22時に終業ではなく、21時45分に終業して、
22時には会社の外に出ている状態にしているわけです。
ここまでやれば労務管理としてはバッチリです。
高校生は残業もできない
高校生は、法定労働時間を超える残業はできません。
ただし、残業といっても、
1日8時間を超える場合、
もしくは
1週40時間を超える場合です。
1日9時間勤務とか11時間勤務はダメですが、
4時間勤務のところを1時間延長するというのはOKです。
1日8時間を超えない範囲での残業ならば、高校生でも可能です。
また、高校生は休日労働もできません。
ただ、「休日」というのは法定休日のことで、
簡単に言うと、「週1日の休日」を意味します。
そのため、例えば、
週4日出勤の高校生が、
何らかの理由で休みを1日減らして、
週5日出勤になったとしても、
それは休日労働ではありません。
しかし、週7日出勤になって、
1週間に休みが1日も無ければ、
休日労働が1日入りますから、
これはダメなんですね。
高校生で1週間に1日も休みが無い働き方
をしている人はほとんどいないでしょうから、
休日労働についてはあまり気にする必要はないでしょう。
雇用保険、社会保険には学生は入らない
学生という身分なので、失業という状態にならず、
雇用保険には入りません。
- 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。
- 1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること。
雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか! (厚生労働省)
学生でも、31日以上雇用されるでしょうし、
週20時間以上は働くのですが、
学生は雇用保険から適用を除外されています。
ただし、社会人学生は学生の身分が主ではありませんから、
雇用保険に入っています。
パートタイマーで社会保険に入る条件が平成28年に緩和されましたが、
学生が週20時間以上勤務し、月給88,000円を超えても、
社会保険には入らないようになっています。
学生だと健康保険では被扶養者でしょうし、
年金は、大学生ならば1号被保険者になっているはずです。
18歳以上になれば他の人と同じ働き方ができる
18歳以上の大学生ならば、残業ができるようになりますし、
22時以降の深夜勤務も可能です。
18歳未満か、それとも18歳以上か。
ここが法律での分岐点になっています。
高校生であっても、18歳以上ならば、他の人と同じように働けます。
高校生だから深夜勤務ができないとか残業ができないというわけではなく、
18歳という年齢の境目がポイントです。
学生には少し他の人と違う制限がありますが、
それ以外の部分は学生アルバイトであれ、
パートのオネーサンであれ、
労務管理での対応は同じです。