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ブラック企業になる3つの原因。労働基準関係法令違反に係る公表事案、更新。

 

 

 

2018年2月16日に『労働基準関係法令違反に係る公表事案』が更新されました。

数ヶ月程度の間隔で更新されているリストで、
世間的には「ブラック企業リスト」
呼ばれています。

本来はブラック企業リストという名称ではなく、
正式には、
『労働基準関係法令違反に係る公表事案』
というもの。

 

長時間労働削減に向けた取組(厚生労働省)

 

俗称ではブラック企業リストなどと言われていますが、
「1つでも法令に違反すればブラック企業になる」とすれば、
公表されていない事案はもっとあるでしょう。

是正指導の段階ですぐに掲載しているわけではなく、
送検されるような違反度合いの高いものが掲載されています。


是正勧告書を受け取ったら、直せばいい。

「やってしまった、、、」と考えるのではなく、
不備を指摘してくれたわけですから、
それをきっかけに直していけば、それでいいのです。

 

 

 

ブラック企業になる3つの原因。


たくさんの公表事案が掲載されていますが、
違反内容は大きく3つに分けられます。

 

  1. 安全衛生に関する違反。
  2. 賃金未払い。
  3. 労使協定で決めた残業時間の上限をオーバー

問題箇所は、この3つがほとんどです。


では、公表事案の中からピックアップしてみましょう。


安全や衛生に関連する違反の例:

 
トラクター・ショベルの運転を無資格の労働者に行わせたもの

免許などが必要な重機を、簡単なOJT、つまり職場の人が操作方法を教えて、
重機を運転していたのでしょうね。

 

ボイラーの取扱いの作業を無資格の労働者に行わせたもの

これも重機の扱いと同じです。免許や資格が必要なところ、
職場の人が作業方法を教えて、それで済ませていたと思われます。

 

ドラム缶のガス溶断作業を行わせるに当たり、法令で定める資格を有しない労働者に作業を行わせたもの


作業に慣れたベテラン社員が、「こうやればいいんやで」と教えて作業をしていた。そんな光景を想像できます。

作業そのものは、できる人が教えれば、他の人もできるようになるのでしょうが、免許や資格が無いと、やはりダメです。

車を上手に運転できるからといって、免許を取らずに公道を車に乗って走るのはダメですからね。これと一緒です。

 


換気装置を設けることなく練炭を燃焼させた構造物内に労働者を立ち入らせて作業を行わせたもの


火が燃えると、一酸化炭素が溜まってきますから、それを換気して外に出さないといけません。

 


材料送給機械の運転を停止することなく労働者に作業を行わせたもの


機械を止めてから作業しないと危ないのに、作業が遅くならないように
運転させたまま作業をした。

 

 

古紙の圧縮梱包機の掃除を行わせるに当たり、当該機械の運転を停止させなかったもの


機械をメンテナンスする時は運転を停止してからするものですが、手間がかかるのか、時間がもったいないのか、運転を停止させずに掃除したのでしょう。

エレベーターやエスカレーターのメンテナンスでも、作業中に動かないように運転をチャンと止めているもの。

動く機械に手を加えるときは、面倒でも運転を止めてからやらないと労働安全衛生法に違反します。

 


高さ2.6mの屋根上で、安全帯を使用させることなく労働者に板金作業を行わせたもの


高いところで作業するときは、体に取り付けるロープを付ける、他には手すりや柵を設置しておく必要があります。

@高さ5.2mの橋桁の上で、作業床を設けることなく労働者に補修作業を行わせたもの
これも、高い場所で作業するときは何らかの安全対策が必要です。高所での作業は、作業者が落下するという前提で対策しないといけないのですね。

 

架空電線に近接する場所で感電防止措置を講じることなく労働者に作業を行わせたもの

感電しないようにカバーを付けるとか、送電を停止して作業する必要がありますね。

 

 

最大積載量が11.9トンの貨物自動車に荷を積み込む作業において、労働者に保護帽を着用させなかったもの


ヘルメットを被らずに作業をしていたのでしょう。

 

 
車両系荷役運搬機械(フォークリフト)を主たる用途以外の用途に使用したもの


パレットに乗った荷物を持ち上げるのがフォークリフトですが、用途外の使い方というと、
人がフォーク部分に乗ってエレベーターのように使っていたのか、パレットを使わずに荷物を持ち上げていたのでしょうか。


ダンプトラックによる作業を行わせるに当たり、誘導者を配置して、ダンプトラックを誘導させていなかったもの


建設現場では、トラックが現場に出入りするため、安全のためのガードマンがいます。トラックが現場に入ったり、現場から出たりするときは、周りに聞こえる大きな声で車両を誘導しています。

工事現場でそういう光景を見た方も多いはず。「オーライ!、オーライ!」と大声で誘導し、周りの歩行者や自転車にもうるさいぐらい聞こえる掛け声。

大型トラックは車高が高く、歩行者や自転車が死角で見えないこともあります。そうなると、巻き込み事故が起こったりするわけです。

誘導員を配置していないと、労働安全衛生法違反になるんですね。

 

 

 

4日以上の休業を要する労働災害が発生したのに、遅滞なく労働者死傷病報告を提出しなかったもの


労災事故が発生すると、怪我をした人は病院に行きますが、会社側は「労働者死傷病報告」という報告書を作る必要があります。


労働者死傷病報告の適正な提出をお願いします。(伊那労働基準監督署 長野労働局)

 

労災保険の手続きはもちろん必要ですが、それとは別に労働者死傷病報告も必要です。

記入用の書類は労働基準監督署にありますし、提出先も労働基準監督署です。

労災事故は毎月のように起こるものではなく、数年に1回、職場によっては数十年に1回ぐらいしか起こらないため、労働者死傷病報告を出すのを忘れやすいようです。

「労災の手続きが済んだら、全部オッケー」というわけでは無いんですね。

「労災で4日以上休むことになったら、労働者死傷病報告を出す」
これを忘れないようにしたいところ。

 

 

給与に関連する違反の例:

 

労働者5名に、1か月間の定期賃金合計約72万円を支払わなかったもの
労働者10名に、1か月間の定期賃金合計約98万円を支払わなかったもの

 

毎月支払う給与を、何らかの理由で支給しなかった事例です。

これもちょくちょくありますね。

残業代である割増賃金の未払いもここに含まれます。

 

 

残業に関する違反の例:

労働者11名に、36協定の延長時間を超える違法な時間外労働を行わせたもの
労働者3名に、36協定の延長時間を超える違法な時間外・休日労働を行わせたもの
労働者2名に、36協定を締結しないまま違法な時間外労働を行わせたもの
労働者4名に対して、36協定の締結・届出を行うことなく、違法な時間外労働を行わせたもの


1日8時間を超えて働けば違法。
1週間で40時間を超えて働けば違法。

これが原則ですが、労使協定である36(サブロク)協定を締結すると、法律で決まった制限時間を超えて仕事ができるようになります。

時間外・休日労働に関する協定届 (36協定) (東京労働局)


36協定では、何時間まで残業できるかを労使間で決めているのですが、そこで決めた時間をオーバーしていたというものです。

例えば、1日あたり2時間まで。1ヶ月あたり40時間まで。
このように決めた場合、法定労働時間を超えられるのは、
1日あたりでは2時間まで。1ヶ月あたりでは40時間までです。

法定労働時間は1日8時間なので、36協定で許された2時間を加えて、
最大で1日10時間まで勤務できるというわけです。

 

なお、36協定の対象となるのは、1日8時間を超えた時間、または、
1週40時間を超えた時間です。

そのため、1日6時間勤務のところを、2時間残業して、
合計で8時間になったとしても、これは法定労働時間の範囲内ですから、
36協定の効果は必要ないのです。

残業という点では同じですけれども、法定労働時間を超えない場合は、
"法的には"残業ではありません。

 

割増賃金である残業代が出るのは、法定労働時間を超えた時間の仕事に対してです。

6時間勤務を8時間まで延ばしても、法律では割増賃金は付きません。
8時間勤務を10時間勤務に延ばせば、2時間分の割増賃金が付きます。


協定書を作って、労働基準監督署に出して、その後は「残業代を払えば自由に残業できるぞ」と誤解されているフシがあるように思えます。

残業代である割増賃金を支払うのは確かに大事ですが、残業する時間には上限があります。

残業代を払いつつ、36協定で決めた上限時間を超えない
この2点に注意して残業をする必要があります。

 

  1. 安全衛生に関する違反。
  2. 賃金未払い。
  3. 労使協定で決めた残業時間の上限をオーバー

労務管理で注意する点は、この3つです。

 

 

残業時間・残業代の計算間違いを防ぐには?

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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