会社が倒産したら給与を払ってもらえる?

 

 

 

 

 

ずっと商売が上手くいけば会社もずっと営業できますが、
そうはならずに潰れてしまう会社もあります。


勤め先の会社が倒産してしまうと、

「給与はチャンと払ってもらえるのか?」

と心配になるもの。

 


会社のことよりも、まずは自分の給与。

働いている人の感覚としては正常です。

自分の給与よりも会社を優先するとすれば、
その人は経営者か変な人です。


給与が支払われないと、生活費の支払いが滞りますし、
住宅ローンや車のローンを支払っている人もいるでしょう。

 

会社にとって資金繰りは大事ですが、
それは社員にとっても同様です。

 

 


給与を回収する手段は2つ。


会社が倒産したときに給与を回収する方法は、主に2つ。


1つは、
民法の先取特権を主張して回収していく方法。

もう1つは、
未払賃金立替払制度を利用する方法。

 

1つ目の「民法の先取特権」とは、

<他の支払いよりも先に給与を支払ってもらえる>

というものです。


債権の弁済を先に受けられるのが先取特権。


債権というのは、

ザックリ言うと「お金を払ってください」

と言える権利みたいなもの。


給与債権だと、

「私に給与を支払ってください」

と会社に言える権利というわけ。


この場合、

社員が「債権者」で、
会社が「債務者」

という関係です。

 

お金を払ってくださいと言う権利ならば他にも色々あります。

  • 商品を販売した代金。
  • サービスを提供した代金。
  • 注文された品物を納品した後の代金。
  • 購入した物を渡してくださいという権利。

こういうものも「債権」の一種です。

 


売掛金、いわゆる「付け払い」も債権です。

先に商品やサービスを提供しておき、1ヶ月後に代金を払ってもらう。

ここでも、
「商品代金を払ってもらうという債権」
が生じています。


給与債権(給与を受け取る権利)は、
<他の債権よりも優先的に支払ってもらえる債権>
として民法(308条)で決まっています。

 

第三百八条
 雇用関係の先取特権は、給料その他債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について存在する。


倒産した会社と取引していた会社が
「ウチから購入した商品の代金、800万円、払ってくれ」
と言ってきても、

未払いの給与がある場合は、給与から先に支払いを受けられます。


ただし、給与債権には先取特権があるものの、
倒産した会社にお金が残っていないと回収できません

お金がなくなったために会社は倒産するのであって、
倒産したということは、給与を支払うための現金も
おそらく無い可能性が高いんです。

お金さえ回っていれば、赤字でも会社は潰れません。
しかし、お金が回らなくなると黒字でも会社は潰れます。

 

晴れ着をレンタル・販売していた会社「はれのひ」が
2018年1月26日に破産しましたが、
この会社も<現金が払底して潰れた>ため、
従業員に支払うお金は残っていません。


「じゃあ、給与は諦めないといけないの?」と
思うところですが、

次は2つ目の「未払賃金立替払制度」があります。

 

 


立て替え払いは8割まで。


政府が用意している未払賃金立替払制度ですが、
立て替え払いされた場合であっても、
金額は全額ではなく8割までです。

 

未払賃金立替払制度の概要と実績 (厚生労働省)

 

  1. 退職した日から6ヶ月前までの未払賃金(毎月の給与)。
  2. さらに、退職した後、労働者健康安全機構に立て替え払いを請求した日の前日までの未払賃金(この場合は退職後なので退職金が対象)。

この2つが立て替え払いの対象になります。


立て替え払いしてもらえるのは、

「毎月の給与」「退職手当(退職金)」です。

ボーナス(賞与)は対象外ですのでご注意。

 

「はれのひ」は法律上の破産となりましたので、
未払賃金立替払制度の対象になります。

「給与が未払いになって、この会社はもうダメかも」と
判断して退職した場合も対象になるので、

破産から半年前までに退職した人も対象ですから、
「もう払ってもらえないかもな」
と諦めずに動いてみてはいかがでしょうか。

 


破産管財人に破産の事実を証明してもらい、
労働基準監督署で認定を受けると、
未払賃金が立て替えで支払われます。

詳しい手続きは労働基準監督署で聞くことができます。


給与を遅配したり未払いにする会社からはすぐに離れる方が賢明でしょうね。

先取特権や未払賃金立替払制度を使っても
全て回収できるとは限りませんし、時間もかかります。

一方、会社側からすると、
給与を遅配したり未払いにすると、
社員が一気に辞める可能性があるということ。


お金のことはキッチリしておかないと危ないものです。

 

 

給与計算を簡単かつ正確にするには?

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com
お問い合わせ

© 社会保険労務士 山口正博事務所