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長すぎじゃない? 試用期間の長さ、どれぐらいに設定する?

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試用期間とは?

試用期間とは、本採用する前に,実際に雇用したうえで、その適性や能力を確認するために設ける一定の期間。これが辞書的な意味での試用期間です。

試用期間を設定することそのものは良いとしても、その期間は会社ごとにバラバラです。

入社から1ヶ月間のところがあれば、入社から3ヶ月や6ヶ月なんてところもあります。

この期間には目安はなく、法律でも決まっていません。そのため、会社ごとに任意で設定されているのが実情です。

試用期間中は給与も安くなっていて、働く人には嫌なものです。

 

 


長すぎじゃない? その試用期間。

仮に、6ヶ月もの試用期間を設定しているとして、その仕事がその人にあっているかどうか、6ヶ月もかけないと判断できないのかと思えてしまいます。

3ヶ月も6ヶ月も試用期間を設定して、一体何を見て、何を判断しようとしているのか。形を変えた新人イジメではないかと。

長くとも1ヶ月もあれば、その人がその職場で働けるかどうか(向き不向き)は分かりますし、中には数日なり数時間で判断してしまう人もいるぐらいです。「30分働いてもらえれば、その人がここでの仕事に合うかどうかは分かるから、合わなければその時点で本人に伝える」飲食店の店長にはこういう人もいます。

何ヶ月も引っ張って、「やっぱり採用は見送ります」と残酷な扱いをする会社よりは、30分でスパッと判断してくれる方が優しいと思います。

 

 

 

試用期間の長さは14日までに。

一案として、試用期間を設定するならば、その期間は14日までにするのが良いでしょう。

なぜ14日なのかというと、その期間があれば適性があるかどうかは十分に分かりますし、雇用契約を解除するときも14日以内ならば解雇予告の手続きが不要です(労働基準法21条)。

さらに、14日以内に雇用契約を解除したとしても、働いている人への影響は小さいですから、新しい仕事を探すのが容易です。

「そんな短期間で判断してしまうのは冷たいんじゃないか」と思うかもしれませんが、長々と何ヶ月も試用状態で引っ張って、結局は本採用されない方が働く人には負担です。


試用期間は、労働力を安く買い叩くための期間ではなくて、適性があるかどうかを判断するための期間です。合うか合わないか。何回か出勤して仕事をしてもらえれば分かることです。

「まぁ、大丈夫だろう」という人もいれば、「こりゃあ、アカンな」という人もいるし。辞めさせてあげるならば早いほうがいいでしょう。本人にも時間があるし、他の仕事を探す時間を奪うことになるので、採用しないならば早く伝える方が親切です。

試用期間の長さには具体的な基準がなく、「過度に長期にならないように」と注意を促す程度でしかありません。

働く人にとって試用期間が短いほど負担が軽いですから、採用するかどうかの判断も早い方が良いのです。

 

なお、採用から15日以降になると、解雇予告の手続きが必要になります。もし、採用から15日経った時点で「本採用はしません」となると、1ヶ月の解雇予告期間を設ける(採用しないと伝えた後、1ヶ月間、雇用を継続する)か、1ヶ月分の解雇予告手当て(1ヶ月分の給与)を支払う必要があります。

「試用期間中だから、そういう手続きはしないよ」とはいかなくなります。

 

 

 


試用期間中の雇用保険や社会保険は?

雇用保険への加入手続きは、「採用された月の翌月10日」までですから、月の前半に採用された場合は14日間の時間的猶予があります。しかし、月末近くに採用されると、翌月10日まで14日を切る場合があり、その場合は試用期間中であっても雇用保険に加入する手続きが必要になります。

社会保険への加入手続きは、「採用日から5日以内」ですから、試用期間を14日に設定していても加入手続きが必要になります。

「試用期間だから雇用保険や社会保険に入れなくていいだろう」というのは間違いですので、注意してください。

 

 


試用期間中は残業代は出る?

 もちろん、試用期間であっても残業代は出ます。

試用期間中には残業代(法定時間外労働に対する割増賃金)が付かないという勝手ルールは通用しません。通常通りに計算して、割増賃金も支払います。

なお、深夜労働に対する割増賃金や休日労働に対する割増賃金も同様です。試用期間中であっても割増賃金の扱いは通常雇用の場合と同じです。

 

 

14日? 1ヶ月? 3ヶ月?

採用されると、試用期間が設定される会社は多くて、学生であれバートのおばちゃんであれ、フルタイムの社員であれ、採用時には試用の期間が設定されている傾向が多い。

ただ、この試用期間は、長さが会社ごとにバラバラで、法律で決まりがない。そのため、試用期間が短いところもあれば、長いところもあります。

試用期間について(厚生労働省)

上記のサイトのデータは古いですが、3ヶ月以下の期間を設定している企業が86.5%で、多くの企業では3ヶ月が試用期間の上限になっていると推測できます。

ただ、中には3ヶ月を超えて試用期間を設定している企業もあって、「そんなに長い時間を使わないと人材の適性を判断できない会社があるのかな?」と不思議に思うところですが、13.5%の会社はずいぶんと長い試用期間を設けているようです。

試用期間は短かったり長かったりしますが、この長さはどれぐらいが適切なのでしょうか。

法律では基準がありませんので、企業ごとの自主制にまかせているのが現実ですが、あまりに長い試用期間は試用期間の趣旨に合わないので、ほどほどの長さまでに限度を設定すべきとも思えます。

試用期間は最大1ヶ月間、と切ってしまうのも1つの対処法ですが、曖昧にされているのが実情です。

適性があるかどうかを判断するための期間が試用期間ですよね。人材を採用する側になった人ならば分かるかと思いますが、適性を判断するにはそんなに時間はかからないはず。

仕事に向いているかどうかは、早ければ数十分、遅くても1ヶ月もあれば分かるのではないかと思います。

以前、テレビで見たと記憶していますが、飲食店で、採用した人が仕事に向いているかどうか、30分ぐらいで店長が判断していました。

30分というのはさすがに荒っぽい感じがしますが、人を長い間採用していると適性があるかどうか分かるのでしょうね。

30分じゃなくても、1ヶ月もあれば、適性の有無は判断できそうですが、実際は2ヶ月や3ヶ月の試用期間を設定している会社もあるでしょうし、中には3ヶ月を超える期間を設定している企業もあります。

仮に3ヶ月が試用期間だとして、それほどの長期間にわたって何を見ているのでしょう。3ヶ月もかけなければ、人を採用するかどうかが分からないとなれば、採用する側の能力や資質に問題があるのではないかと思えます。


「じゃあ、試用期間の長さはどれぐらいが妥当なのか」ここが知りたいポイントですよね。

 

 

 

最大で3ヶ月までにすべき(いや、これでも長いか)

労働基準法21条を参考にすれば、採用から14日目までは解雇予告無しで解雇が可能です。

14日を超えると、通常の社員さんと同じように解雇予告の手続きが必要になります。

だから、試用期間の長さの理想は、採用から14日に設定すべきと言えます。


「そりゃ、さすがに短すぎるんじゃないの?」と思う方もいらっしゃいますが、採用する気がないならば早めに本人に伝えたほうが本人もラクです。

もし、2ヶ月、3ヶ月と仕事を続けて、「本採用は見送らせていただきます」なんて言われたら、本人は困りますよね。長く働けば働くほど、「このまま続けられるだろう」と期待するはずですから、身動きが取りにくくなります。

まして、4ヶ月や6ヶ月、1年という試用期間が設定され、その結果、本採用されなかったら、あなたはどう思うでしょうか。半年や1年も働いていると、続けて仕事ができるだろうと思うのは自然なことで、そんな段階で「本採用はできません」と言われたら、


転職活動しながら働くわけじゃないし、副業や兼業をしながら働く人も多くないし、会社以外で仕事をしてはいけないというルールが就業規則で決められていたりする。

そんな環境で、長い試用期間が設定され、本採用されなかったら、本人はどうしようもないですからね。

ゆえに、試用期間はなるべく短いほうが良いと考えるわけです。


会社によっては、会社の裁量で試用期間を延長する規定を就業規則に盛り込んで、合理的な理由もなく試用期間を延長するところもあるかもしれません。

中には、試用期間が6ヶ月や1年に延びるようなルールを設けているところもあるようで、これはやりすぎです。

試用期間を延長できる規定を就業規則に盛り込むように提案をする専門家もいるのですが、法律で制限されていないからといっても、やっていいことといけないことがありますから、過度に試用期間を延長するような仕組みを提案しない倫理観が必要です。


雇用関連の助成金の中に、「トライアル雇用奨励金」というものがあって、この助成金を満額で受給するには3ヶ月の試用期間が必要です。

月額4万円で、3ヶ月で最大12万円ですので、僅かな金額の助成金ですが、この助成金の条件に合わせて、3ヶ月の試用期間を設定している企業は多いはずです。

厚生労働省 試用期間について

上記サイトでも、3ヶ月程度に期間を設定している企業が最も多くなっていますから、おそらくトライアル雇用奨励金の条件とすりあわせて試用期間の長さを設定していると推測できます。


もし、試用期間の長さをどうするかで悩んでいるならば、3ヶ月を上限に設定するのが妥当ですね。

もちろん、1ヶ月や2ヶ月で試用期間が終了しても、上記の奨励金は試用期間に応じた範囲で受給できますから、3ヶ月に固執する必要はありません。


3ヶ月もあれば、十分に適性は判断できるでしょうし、それ以上の期間を設定するのは助成金の条件から考えても合理的ではないし、最初から人材を採用する気がないか、本当に人材の適性を判断する能力がない企業なのかもしれません。


使用期間は最大で3ヶ月まで。この水準で企業は自主規制しておくべきだと私は思います。

専門家も、3ヶ月を超えて試用期間を延長するルールを導入するような提案はしないような倫理観が必要ですね。


 

 

 

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山口正博 社会保険労務士事務所
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