正月休みから年中無休へ。そして正月休みへ先祖返り。

大戸屋「大みそかと元日休みます」 変わる飲食業界
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1712/18/news113.html

 


我慢比べと消耗戦。


店を閉めても開けてもコストはほとんど変わらないからという理由で、お客さんが少なくても店を開ける。そして年中無休が当たり前。

年末年始はお店が閉まるから、買い物をしておかなきゃいけない。1980年代、90年代はそういう環境でしたね。12月の29日ぐらいからお店が閉まり、翌月5日頃まで店が開かない。約1週間から10日ほど街が何だか静かになる。「あぁ、お正月だな」と感じる時期でした。

2017年の今では、いつ行ってもお店が開いていて、定休日も無い。コンビニのような店が増えました。いつでも開いているから、今日は行かなくてもいいか。そういう気持ちになって、お店に行く動機が薄れる感覚があります。

良い品物やサービスがリーズナブルに売られていて、消費者としては確かに便利です。業者同士が競争した結果、良いサービスや商品が普及するのは嬉しいのですけれども、そういう商売で利益を出すのは至難の業。

あっちが営業するなら、ウチも営業する。あっちが安くするならば、ウチも安くする。そういう消耗戦がアチラコチラで繰り広げられていて、消費者の立場からすると、ちょっと心配になるぐらい。

 

 

お客さんが来ない時間は店を閉める。


飲食店は1日に2回忙しくなります。それは、昼と夜のラッシュタイムのとき。ランチタイムにドドッとお客さんがやってきて、午後2時ぐらいになるとお店はガラガラになる。その後、夕方の5時からお店を開けて、7時にはまたお客さんがワッとやって来る。

午後の2時まで営業して、夜の営業が始まる5時までは店を閉める。そういうお店もあります。一方で、2時から5時までのアイドルタイムに店を閉めずに営業するところもある。

では、どちらがいいのか。

経営者の視点では、費用を収益が上回るならば営業するし、逆ならば閉める。判断する基準は単純です。しかし、お店によっては、「こりゃあ費用の方が多いだろうから赤字なんじゃないか?」と思えるような状況でも店を開けているところもあります。飲食チェーン店はそういうお店が多いですね。お客さんがほとんど来ない時間帯であっても、強引に営業している感じ。「1人でも来るならば店は開けるんだ」という執念のようなものを感じますが、商売としては果たして上手い判断なのかどうか。


私が学生だった頃、昼過ぎから夕方までを休憩時間にしているお店がありました。約3時間ほど時間がありますから、従業員の人は昼食のあと昼寝をしているようでしたが、実際は3時間も休憩しているわけではなく、夕方5時に開店するために4時頃から仕込み作業をしていました。休憩は実質2時間程度だったはず。このお店は個人経営の飲食店でしたが、アイドルタイムに店を閉めるという点ではチェーン店よりも合理的なように思えました。

お客さんが少ない時間、日、曜日を休みにする。単純なことですが、年中無休のチェーン店はこのような休みを設けない傾向があります。


例えば、オフィス街の飲食店では、平日にお客さんがたくさん来るが、土日祝日は少ない。だから、平日だけ営業して、それ以外の日は店を閉めておく。

一方、郊外の飲食店は、平日はそれほどお客さんは来ないけれども、週末や祝日、大型連休になるとお客さんが行列を作る。この場合は、土日祝日などお客さんが多い日だけフルタイムで営業し、平日には定休日を作る、営業時間を短縮する、アイドルタイムには店を閉める、という対応をするわけです。

どんな日であっても、時間であっても、曜日であっても、お客さんが一定して入ってくる。そういうお店は少ないのですから、お客さんの数に合わせて営業体制も変えていくのが自然です。けれども、飲食チェーン店はそういうことをやらない店が多いんです。

 

 


クリスマス、大晦日、三が日。好き好んで働きたい人は少ない。


年末年始などのイベント時期に、あえて働きたい人は多くはないでしょう。クリスマスは休みにして他の日に出勤したい。大晦日と三が日を避けて他の日に働きたい。そう思っている人は多いはず。

周りの人がクリスマス気分を満喫しているのに自分はお皿を洗っている。大晦日で紅白歌合戦が放送されている時間に自分はピザを配達している。他の人が初詣に行っているときに自分はサラダを盛り付けている。嫌なもんですよ。こういう時期に仕事をするのは。

このような時期に営業するかどうかもお客さん次第です。お客さんがたくさん来るならば、休みにせずに営業するでしょうし、お客さんがほとんど来ないならば休みにする。

クリスマスに忙しくなる飲食店というと、洋風のレストラン(イタリアンやフレンチのお店。ホテルのレストランも含む)、フライドチキンを販売するお店を思い浮かべます。

カップルのお客さんがワンサカとやってくるイタリアンレストラン。こういう場面、容易に想像できます。カップルが楽しそうに会話して食事しているところで仕事をするわけですから、ちょっとした罰ゲームですよ。他には、クリスマスにフライドチキンを食べたくなる人が多いようで、ケンタッキーフライドチキンのお店も混雑しますね。

私はローストビーフの方がクリスマスっぽいと感じますので、こちらの方が好きです。鳥の丸焼きもオーブンレンジで作りやすい料理でクリスマス感があります。


年末にお客さんが多くなる商売ならば、店を休みにするわけにはいきませんけれども、定食屋、ラーメン屋、天ぷら屋など、普段と客数は変わらない、もしくは少なくなる商売ならば、店を休みにするのも1つの方法です。

年末年始に休業する携帯電話ショップも増えつつあります。

ドコモショップの年末年始休業について
https://www.nttdocomo.co.jp/info/notice/page/171201_00_m.html

携帯ショップ「正月休業」 ソフトバンク2600店で
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23253730Y7A101C1TJ1000/

正月に携帯電話ショップが閉まっていても、お客さんにとってはさほど困りません。用事があるならば正月を避ければ良いですし、普段は年中無休、もしくは定休日も月1回ぐらいでお店は開いています。


強引に営業するとなると、出勤した代わりに有給休暇を設けたり、特別に割増賃金を支払ったりと費用がかかります。お客さんが少ないのに、営業費用は増える。何のために店を開けるのか分からなくなります。

「年末年始に出勤する人が集まらない」と嘆く前にやるべきこと。

年中無休、薄利多売で我慢比べをせずに、お客さんの流れに合わせて営業する。そういうお店が増えると良いですね。しかし、こうなると何だか先祖返りのように感じてしまいます。

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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