雇用保険というと、通称では「失業保険」と言われており、失業したときに給付が出るというイメージが強い。
確かに、失業時に給付が出るのが失業保険なのだが、失業しなくても受けられる給付もある。その1つが教育訓練給付制度。
在職しながら指定の講座を受講し、終了すると、その費用の一部(20%から60%)が補助される。
教育訓練給付制度には2種類あり、一般教育訓練と専門実践教育訓練、この2つがある。一般教育訓練の場合は、対象講座の難易度がさほど高くないものが対象で、費用の補助も20%(上限が10万円)までとなっている。
雇用保険に加入して1年以上経過(本来は3年以上が条件だが2017年時点では特例で初回は1年で利用可能)すると、教育訓練給付制度を利用できるようになる。
ちなみに、教育訓練給付制度を利用できるかどうかは、雇用保険に加入している期間で判定されるので、フルタイム勤務の人でもパートタイム勤務の人でも扱いに違いはない。そのため、少ない雇用保険料で加入している人にはお得な仕組みになっているというわけ。
仮に、毎月2,000円の雇用保険料を支払っている場合、1年だと合計で24,000円。そこで、教育訓練給付制度を利用して、15万円の講座費用を支払い、20%を給付金で回収すれば30,000円となり、1年分の雇用保険料を回収できる。ただし、残りの13万円は自己負担になるので、「雇用保険料を回収できてお得」と感じるか、「13万円が自腹になるからお得とは感じない」と考えるかは、その人次第。どの点に着目するかで評価は変わる。
一方、一般タイプの教育訓練給付制度とは違って、専門実践教育訓練の場合は、2年の加入期間が必要。こちらも特例で、初回は、雇用保険への加入期間が2年でOKとなるが、本来は10年の加入期間が必要。
専門実践教育訓練の場合は、費用の補助率がアップする。一般教育訓練給付制度だと20%だが、専門実践教育訓練だと40%となる。さらに、専門実践教育訓練を修了した後、資格を取得し、雇用保険の被保険者になる(新たに雇われる)、もしくは被保険者になっている場合(在職しながら専門資格を取得した)は、さらに20%の給付が上乗せされ、支給率は合計で60%となる。
平成29年10月1日付けで、新たに176講座が専門実践教育訓練講座として指定され、累計で2,221講座が給付率の高い専門実践教育訓練講座として扱われることになる。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000173641.html
専門実践教育訓練の指定講座を公表しました |報道発表資料|厚生労働省
毎月、少ないながらも支払っている雇用保険料ですが、教育訓練給付制度のようなメニューを利用して、支払ってきた保険料を回収するのも1つの手だ。
ただし、費用の全額が補助されるものではないので、補助されない範囲、最大で80%、最低で40%は自己負担になるので、この点は忘れないようにしたいところ。
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_education.html#kyouiku
教育訓練給付