今さら聞けない「36協定」のこと。
残業するには36協定が必要であると知っている労働者は6割とのことです。
6割の人が知っていると聞くと、「そりゃあ凄い」と私は思うのですが、知っているといっても程度の違いがあります。
- 36協定という名称だけを知っている。
- 残業するためには36協定が必要だと知っている。
- 36協定が労使協定だと知っている。
- 残業の上限時間を決めるのが36協定だと知っている。
- 1年毎に更新する労使協定だと知っている。
- 協定を締結したからといって、無制限に残業できるわけではないと知っている。
理解の程度は人によって違います。
確かに残業するには36協定を締結しないといけませんが、1日8時間を超えない範囲ならば、法的には残業ではありません。例えば、5時間勤務のところを、何らかの理由で1時間延長したとすれば、勤務時間は6時間になりますが、この場合は残業は発生していないと扱われます。
「えっ? 5時間を超えた1時間は残業じゃないの?」と思うかもしれませんが、法的には残業じゃないんです。1日8時間を超えたものを残業と扱いますので、合計で6時間の勤務であっても8時間を超えていないので残業にはならないんですね。ただ、働いた本人の感覚としては「今日は1時間、残業した」という気持ちにはなりますけれども。
よくある勘違いが、36協定を締結すれば残業は無制限に可能になるというもの。確かに、割増賃金である残業代をチャンと支払っているんだから、好きにやっていいだろうという気持ちも分かります。
しかし、36協定では、1日あたりの残業時間の上限、1ヶ月、1年あたりの残業時間の上限を決めます。例えば、1日の残業上限は3時間。1ヶ月あたりでは45時間。1年では360時間。このように時間数に上限を設定して労使協定を締結します。
この協定で決めた上限時間をオーバーしてしまい、労働基準監督署から指導を受ける企業は多々あります。知っていてオーバーしたのか、それとも知らずにオーバーしたのかは事案ごとに違いますが、決めた上限時間数が社内で共有されていないのも原因の1つではないかと思います。
同じ休暇でも、いつ取るかで嬉しさが違う。
花火大会の日なのに仕事。何だか残念な気分になります。しかし、こういうイベントが開催される日に有給休暇で仕事を休めれば、これは嬉しいもの。
特に理由はないけれども休暇で休み。これはこれで悪くないでしょうが、イベントに合わせて休暇を取れるようにすると、働く側の印象は良くなります。
先ほどのような花火大会の日。他には、子供の運動会を見に行く日。もう8月なので終わりましたが、京都の祇園祭、7月中旬の宵山に行く日。他には、各地の夏祭りが開催される日もあります。 このようなイベントに合わせて有給休暇を利用できると嬉しく感じるもの。
最近だと、7月29日にドラゴンクエストの新作、シリーズ11が発売されましたが、それに合わせて、休暇を取って会社を休む人もいるようです。まさにドラクエ休暇ですね。
ゲームの話題作が発売される時期に合わせて休暇を取れるというのもユニークで面白いと思います。「たかがゲームごときで仕事を休むなんて」と反応しちゃうマジメな人には分からないところですが、人の気持ちを考えるのが労務管理の核心部分です。
給与を計算したり、労働保険や社会保険の手続きをしたり、そういうのも確かに大事ですが、 いかに心地よく、楽しく、気分良く働いてもらうか。まさに人間の心理をいかに取り扱うのかが真骨頂なのです。
今日は台風だから、早く終わってくれるか?
台風が来ると、電車が止まり、お店に来るお客さんが少なくなり、「今日はもう店じまいしちゃうか」なんて気持ちにもなりますよね。
閑古鳥を鳴かせていても儲かりませんから、閉店時間なり営業時間を短縮するのは判断として合理的です。
しかし、契約で約束した勤務時間だけ働けないとなると、働く側としては困ります。例えば、とあるコンビニで働く高校生がいて、夕方の17時から夜の21時まで勤務シフトが組まれている。
そこに台風がやってきて、雨がザーザー、風がビュービュー。これではお店に来るお客さんも少ない。そこで、店長から「今日は台風だから、19時で終わってくれるか?」と言われる。店の外を見れば、確かに雨風が凄いことになっている。
お客さんは少ないし、高校生スタッフを早退させるのも分かります。けれども、19時で仕事を終えてしまっては給与が少なくなりますし、契約では21時まで働くと決めています。高校生の気持ちとしては「何だかな?」という感じ。
ホテルの宿泊予約をキャンセルすれば、時期によってはキャンセル料がかかります。また、何かを注文して、途中でキャンセルすれば違約金を支払うような契約もあります。これらと同じように、労務管理でもキャンセル料や違約金に相当するものがあるんですね。