労働時間に対する世間の評価が厳しくなってきている。
10年前ぐらい前は、2017年現在のように、残業や労働時間に対して厳しい雰囲気は無かった。15年前、20年前と昔になるほど労務管理に対する人の意識はルーズになっていく。
残業時間に上限を設けろ。残業代をキチンと払え。未払い残業代を取り返せ。サービス残業を許すな。
つまりは、働く時間をキチンと管理しろというのが世間からの要求なわけだ。
確かに、払うべき残業代を払わないのは、飲み食いした代金を支払わずに飲食店から逃げるようなものだし、未払いになっているものはキッチリと請求していいし、タダ働きする必要もない。
仕事には2種類あって、1つは「時間と報酬が連動している仕事」。もう1つは、「時間と報酬が連動していない仕事」。乱暴な言い方をすれば、全ての仕事がこの2つのうちどちらかに当てはまる。
時間と報酬が連動している仕事は、時給、日給、月給など、労働時間に応じて収入が増えていく。5時間働く場合よりも、10時間働いた方が収入は2倍になる。労働時間を2倍にしたのだから、収入も2倍になる。両者は単純に比例している。
フルタイム勤務というと、1日8時間、1週40時間で固定された働き方を意味するのだが、これも時間と報酬が比例した働き方と言える。
一方、時間と報酬が連動しない仕事は、視聴率、集客数、販売数など、時間以外の数字を基準にして報酬が決まる。いわゆる成果報酬型の仕事だ。スポーツ選手、タレント、クリエイター、芸能関連などの仕事が当てはまる。
私の知る限り、時間に連動する仕事よりも、時間に連動しない仕事の方が高収入になる傾向がある。時給や日給、月給で自分の収入が決まっていない人がそういう仕事をしているのだが、1時間働いても100円しか貰えないかもしれないし、1時間しか働いていないのに100万円も貰える場合もある。
時間に連動した仕事は、時間によって収入が守られている反面、時間によって収入が制限されてる。一方、時間に連動しない仕事は、自らの収入がゼロになるリスクはあるものの、収入の上限は青天井になる。
労働時間に関する規制なり法律を厳格に守るということは、言い換えると、自分の収入に対して厳格に制限を課すことになるのではないか。
法律に違反するような労務管理は論外だけれども、労働時間で仕事をガチガチに固めると、その副作用として働く人の収入が減っていくのではないかと私は思う。
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