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社会保障協定 海外で働く人の社会保険料を節約する仕組み。

二重加入

 

日本と海外で二重に社会保険料を払う?

社会保険があるのは日本だけでなく、他の国でも似たような制度があります。

日本の会社に在籍している人が海外に派遣されて働くと、日本の年金と海外の年金に二重に加入する場合があり、負担が大きくなる。

日本だけで仕事をしていると、外国の年金制度との調整について考える機会はあまりないと思いますが、今後はもっと海外で仕事をする人が増えていくでしょうから、国と国を跨ぐ際の社会保険について考える機会も増えるかもしれません。

2つの国で年金制度に二重に加入することを防ぐために、「社会保障協定」という条約があります。

社会保障協定とは、一定年数を超えない派遣期間の場合は日本の年金だけを適用する、もしくは、日本での年金の加入期間と他の国での年金の加入期間を通算するための仕組みです。

複数の国で二重に社会保険に加入しても、片方の保険料が掛け捨てになることがあり、加入者にとって負担です。その点に対処するため、社会保障協定を締結し、国家間で制度を調整しているわけです。

社会保障協定はあまり注目されていない話題ですが、海外で勤務する人にとっては重要です。

厚生労働省のウェブサイトには掲載されているのですけれども、テレビのニュースや新聞ではあまり登場しない話題なので、知らない人も多いのではないでしょうか。

「海外で仕事をする予定はないから関係ないよ」と思っている方も、ちょっとした豆知識として知っておくと良いでしょう。



どこの国が社会保障協定の対象なの?

どこの国でも社会保障協定の効果が及ぶというわけではなく、協定を締結した国との間で年金制度の調整ができます。

2013年12月の時点では、17カ国と社会保障協定が締結されていて、これらの国と日本との間では年金制度の調整が行われます。対象国は、先ほどのリンク先で確認できます。

「たった17カ国だけ?」と思うかもしれませんが、最初に締結された協定がドイツとのもので、平成12年となっており、社会保障協定という仕組みそのものがまだ新しいので、締結国が少ないのだろうと思います。

2013年だと、日・ハンガリー社会保障協定が署名されています。
日・ハンガリー社会保障協定の署名

以外にも、中国とはまだ協定が締結されておらず、交渉中となっていて、中国で働く日本人は多そうですから、中国と日本の間での年金制度の調整は早く実現すると助かる人も多いのではないかと思います。

日本と他の国との間で年金制度の調整をするのが社会保障協定なのだと知っておけば、もし海外勤務になった時に検索できるでしょうから、「そういう仕組みがあるんだな」というぐらいでも覚えておくと良いかもしれません。

 

インドも社会保障協定の対象国に

日・インド社会保障協定の発効について(厚生労働省)

インドで仕事をする人の社会保険料負担を軽減するための協定が今年、2016年の10月1日から発効します。

日本から海外に行って、現地で仕事をするとなると、その現地で社会保険の被保険者資格を取得し、保険料を支払うようになります。しかし、滞在期間が短いと、年金の受給要件を満たせず、支払った保険料が払い損になるのが問題となります。

日本でも、決まった期間まで年金に加入し、保険料を支払っていないと、年金が支給されないような仕組みになっていますが、海外も同様です。

日本で社会保険に加入し、海外でも社会保険に加入するとなると、保険料も二重に支払うことになりますし、しかも年金の受給要件を満たせず払い損になるので、企業にも加入者本人にも負担となります。

そこで、『社会保障協定』という仕組みでもって、社会保険への二重加入を回避し、費用負担を減らすわけです。

海外で働かれている皆様へ(社会保障協定)

今回はインドとの協定ですが、インドが対象国に含まれるまで15の国との協定が締結されていて、主にアメリカとヨーロッパ、あとは韓国が対象になっています。

アジア向けの締結国が少ないのが気になりますが、日本から海外に行って仕事をするとなると、主にアジア地域が多いでしょうから、韓国に次いでインドが入ったのはありがたいところ。

さらに、中国、台湾、インドネシア、タイ、ベトナムなど、アジアにはまだ日本と社会保障協定を締結していない国が多々残っていますから、これらの国とも締結されていけば、さらに社会保険料の負担を軽くできるでしょうね。

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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