働いている人が7人、14人ぐらいのお店や会社だと馴染みがないだろうが、一定規模以上の会社になると、産業医という人が選任されている。
病院にいる医師とはちょっと違っていて、会社ごとに選ばれている医師で、一般的な意味での「かかりつけ医」とは位置付けが違うのですが、まぁ安全衛生に関する部分を担う人です。
この産業医ですが、条件を満たせば、外部からだけでなく、事業場内からも選べます。そのため、法人の代表者が産業医になっているケースもあるようです。
法人の代表者が産業医というと、何だかよく分からないかもしれませんが、例えば、医療法人、要するに病院ですね。この医療法人の代表者、例えば理事長とか院長といった経営サイドにいる人が産業医になるような場合です。
理事長や院長も医師ですから、産業医になる条件は満たしています。だから、産業医になっても何も問題はなさそうですが、これがちょっとマズい部分があります。
産業医は、事業場で働く人、つまり労働者の安全や衛生に関する部分をサポートするのが仕事です。残業時間が長い人がいたら、残業は減るように何らかの措置を講ずるとか。あとは、ストレスチェックのフィードバックをしていくなど。労働者サイドで動かないと行けない立場なのですね。
ということは、労働者サイドで動く人が経営サイドの人だったらどうなるか。理事長が産業医だったら。院長が産業医だったら。労働者の立場で産業医の職務を遂行できるかというと、ちょっと怪しくなりますよね。一種の利益相反になりますからマズい。
そのため、法人の代表者は産業医になってはいけないというわけです。
法人の代表者が産業医になれるような職場というと、医療機関が主ですから、他の業種ではさほど気にすることもない変更点です。
(参考)
産業医の選任の改善について
産業医を選任していますか? 代表者が産業医を兼務していませんか?
産業医について ~その役割を知ってもらうために~