休日無しで有給休暇だけをスケジュールに入れる。
在職中に使い切れず、残った有給休暇を退職時に全部使う。退職の手続きを進める際に、このように処理している会社もあるかと思います。
例えば、2月の時点で31日の有給休暇が残っていた場合。3月は31日までありますので、2月の後半に退職して、3月は有給休暇だけを消化したい。この場合、3月は有給休暇を使うことになりますから、その期間は在籍中となります。
もし、3月1日から31日まで、全ての日を有給休暇にしたらどうなるか。ここで疑問が生じるのですが、それは休日はどうなるのかという点。
労働基準法35条(以下、35条)では、毎週1日の休日が必要だと決めていますが、3月の全ての日を有給休暇にしてしまったら、35条の休日が入り込む余地がなくなります。
31日分の有給休暇を3月で全部消化すれば、休日がなくなり、35条に違反してしまうのではないか。気になりますよね。
もちろん、35条の休日をスケジュールに入れ込みながら有給休暇を消化することも可能です。ただ、そのようにすると、休暇を消化する時期が4月まで入り込みますから、退職する時期が後にズレてしまいます。ちなみに、社会保険に加入していれば、社会保険料も1ヶ月分多くなりますね。
有給休暇だけを使っているため、出勤はしていない状況で、35条の休日をどのように扱うか。35条が想定していない状況ですので、悩むところですね。
年次有給休暇を使って休日が消滅しても大丈夫?
3月を全て有給休暇に変えてしまった方が、退職時期が早くなりますから、時間の経済です。
一方、35条を考慮して、休日を入れながら有給休暇を消化すると、35条には抵触しないものの、退職時期が遅くなります。
どちらの方法を選択するか。考えどころです。
ここで考えたのは、労働基準法は労働者を保護するための法律であるという点。
休日があっても無くても、事実上は2月に退職しており、3月は有給休暇を使うための期間ですから、3月は出勤しませんよね。
ここであえて休日をスケジュールに入れ込んで、有給休暇の消化を遅らせる理由は無いでしょう。休日を入れないからといって、労働者の保護に欠けるところは無い。むしろ、休日を3月に入れてしまうと、労働者側は退職時期が先延ばしになり都合が悪い。
よって、すでに退職する意思を会社側に伝え、有給休暇だけを消化している状況ならば、休日を勤務スケジュールに入れなくても、35条に違反するとは言えない。
このような理屈を展開しますね。私ならば。
35条の休日は仕事の疲れを解消するためのものです。休暇を消化するために疲れるというのはおかしな理屈ですから、35条でもって労働者を保護する必要が無い。ここが判断の基準です。「保護すべき法益が無い」と表現してもいいでしょうね。
無理に休日を3月に入れ込んだとしたら、35条には抵触しないものの、当事者には何の利点もありません。有給休暇の消化が遅くなり、退職時期が遅くなり、時間を失います。
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