来春卒業する学生の就職活動が1日、正式にスタートした。今年も学生にとって就職しやすい売り手市場で、企業側は早く良い人材を確保しようと動く。競争が激化する中、実態と異なる「好待遇」で誘う「ブラック求人」もまぎれており、学生は注意が必要だ。
(中略)特に「固定残業代」をめぐる相談が増加。例えば「月額20万円」の場合、基本給15万円と営業手当5万円が払われたが、時間に見あった残業代が支払われない。ほかにも、週休2日なのに休みがほとんどない。社会保険完備なのに加入できない。そもそも仕事内容が違う――といったケースがある。
注意と言われても、どうやって注意していいのか分からないのが学生の本心でしょうね。表向きに提示された雇用条件が妥当なものなのかどうか。それを学生が判断するのは簡単ではないでしょうし、学生でなくても判断に迷うケースはあるでしょう。
月給の中に残業代を含めて表記されていたとしても、月給は月給で支払いがあり、残業をした場合は別途で割増賃金が付くんだろうと学生は考えるでしょう。月給の内訳を開示せずに、単に月給28万円とか月給31万円と表記されると、対処しようがありません。
未だに固定残業代というものがあるようですが、残業代を固定するのは無理です。
仮に、月に5万円の固定残業代を支払っている場合、月間の残業代が5万円以下ならば、固定残業代で割増賃金をカバーできるため、キチンと残業代を支払っていることにはなります。
しかし、月間の残業代が5万円を超えて、例えば5万8千円になったら、不足分の8千円は追加で支払う必要があります。ここで、「残業代は固定だから月に5万円までしか払わないよ」とムクれると、残業代が未払いになります。
残業代を固定しても、不足分は後で精算して支払う必要があるため、固定残業代は手間が増えるだけで利点はありません。法定時間外労働の時間数を毎月計算して割増賃金を支払えば、追加払いを計算する必要はなく、作業は1回で済みます。
残業代や休日、社会保険でモメたくないとなると、学生はより大きく、より有名な企業を選択し、自らの選択に対する不確実な要素を少なくしようとします。その結果、規模が大きくない、知名度も高く無い企業は人材を集めにくくなる。
目にしている求人情報が正しいものなのかどうか。それを判断するのが簡単ではないとなると、知名度が高い大企業を学生が選ぶのは合理的な選択と言えるでしょう。