労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

労働時間に対するインターバル規制が無かった労働基準法。

無規制

 

 

「勤務間インターバル」
という言葉、

聞いたり見たりした方は
どれぐらいいらっしゃるでしょうか。


勤務間インターバルというと、

難しい印象を抱くでしょうが、

中身は単純です。


仕事が終わって、次の日の仕事を始めるまで、
この両者の間にどれぐらいの時間的間隔を空けるか。

これがその中身です。

 

 

仕事が終わったら、次の仕事が始まるまでインターバルを取る。

 西日本高速で男性過労死 退勤8分後に出勤も

夜間工事の監督業務にも従事し、14年11月4日は午前7時半に出勤し、昼と夕の休憩を挟んで翌5日午前4時59分まで勤務。その後、午前5時7分に再び出勤した記録がある。同月は午前5、6時の退勤が4日あり、うち3日は次の出勤までの間隔が8分、26分、2時間18分だった。

始業から終業まで。この時間が1回の勤務となり、残業時間も1回あたりの勤務ごとに計算されるのが一般的です。

終業した後、次の業務を開始した時点で、勤務時間はゼロからカウントされます。そこから8時間を超えれば、割増賃金が必要な残業となるわけです。つまり、終業した時点で勤務時間のカウントは終わり、次の始業からまたカウントが始まります。

終業すれば勤務時間をゼロにリセットできるとなると、「じゃあ、一旦は終業して、その直後にまた始業とすれば、残業扱いにならないんじゃないか」と考える悪い人が出てきます。

上記の事例でも、4時59分に終業し、その8分後、5時7分に始業となっています。他の日にも、6時7分に終業後、8時25分から始業。5時22分に終業し、7時4分に始業している日があります。

終業時間から次の始業時間まで何時間空ければOKなのか。この点については過去にも何度か書いています。

次の勤務まで何時間空けたらOKなの?

次の勤務まで何時間空けたら良いか。その答えが出た。

第189回 国会に提出されている労働基準法改正案は2つある。

1つの勤務から次の勤務までの時間的間隔をどれほど要求するか。この点について労働基準法は対応しておらず、企業ごとや業界ごとの自主規制で対応してきました。例えば、タクシー運転手の場合は、夜間に勤務すると翌日は休みになるようにしているところがあり、2つの勤務が接近しないように時間を空けています。

第189回国会から提出されている法案で、第190回国会でも継続して審議されている中に、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法の一部改正があります。

労働基準法等の一部を改正する法律案(衆議院)
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g18902006.htm

この中に、

「事業主は、その雇用する労働者の健康の保持及び仕事と生活の調和が図られるよう、終業から次の始業までの間に少なくとも十一時間の休息のための時間を確保するように努めなければならない」

と書かれており、2つの勤務の間の時間的間隔は11時間以上必要になると分かります。

これは、いわゆるインターバル規制というもので、終わりから次の始まりまでの間隔を制限するものです。


もし、5時に終業したならば、最短でも、その11時間後、16時から次の勤務が開始されるようにスケジュールを組む必要があります。

上記の内容はまだ法案の段階であって、実際に施行されたものではないのですが、第186回国会から提出され続けている内容ですので、約2年ほど審議が続いています。

終業して、次の始業までは11時間以上空ける。これが今後の基準となっていくでしょう。「一旦終業して、その直後にまた始業とすれば、勤務時間がリセットされて残業扱いにならないんじゃないか」という悪知恵はもう通用しなくなります。

 

 

仕事が終わって次の仕事が始まるまでのインターバル時間を設けて、助成金が最大で50万円。

「勤務間インターバル」という言葉を目にしたり耳にした方もいらっしゃるでしょう。言葉だけを見聞きすると、難しい専門用語のように思えますけれども、中身はシンプルです。

一例として、木曜日と金曜日、この2日間に続けて出勤する人について考えてみましょう。

木曜日:9:00 - 20:00(休憩が1時間。勤務時間は10時間)
金曜日:7:00 - 15:00(休憩が1時間。勤務時間は7時間)

上記のように勤務した場合、インターバル時間は何時間になるか。


木曜日の20時に仕事が終わり、翌日である金曜日は7時から仕事を始めています。この場合、20時から翌日7時までがインターバル時間になります。この例だと、インターバル時間は11時間ありますね。

なぜこのようなインターバルが必要なのかというと、例えば、夜遅くまで残業(23時とか)して、翌日早朝から出勤(朝の6時から仕事とか)するとなると、休むための時間が短くなります。そういう働き方を回避するために、勤務間インターバルを設定するのです。

例えば、タクシー会社では、夜勤明けは休みになるところがあり、これも一種のインターバルです。他にも、夜間に道路工事をしている現場を見るときがありますが、あのような夜勤をしたあとは翌日が休みになるものです。

このインターバル時間を設定することを「勤務間インターバル」と言います。勤務を終えた後、次の勤務までに一定時間以上の休息時間を設けると、職場意識改善助成金という助成金を受給できます。

職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース) |厚生労働省

※2019年度の受付は終了しています。


先ほどの例では、インターバル時間は11時間でしたが、助成金を受給するには、9時間以上のインターバル時間が必要です。ただし、今後の法改正で、インターバルタイムは11時間以上に設定される見込みですので、後から二度手間になるのを回避するため、最初から11時間以上に設定することをオススメします。

この助成金は、新規で勤務間インターバルを導入する場合はもちろん、すでに勤務間インターバルを導入している企業でさらに適用範囲を拡大する場合も対象になります。


仕事が終わってから、次の仕事が始まるまで11時間以上開けるだけですから、取り組みとしては容易な方です。



ただし、助成金はポンと一括で支給されるものではなく、勤務間インターバルを導入するために取り組んだ際に発生した費用の3/4を補助するものです。そのため、勤務時間を正確に記録するためのタイムカードを導入するとか、勤務間インターバルのルールを盛り込んだ就業規則を作成するとか、勤務時間外に職場に滞留している社員がいないかをチェックするためにリモートカメラを設置するなどの経費が発生しているのが条件となります。

過去の勤怠データを見て、すでに十分なインターバル時間がある職場ならば、すぐに勤務間インターバル制度を導入できますので、そういう企業にとっては受給が容易な助成金です。

 

 

勤務間インターバルは寝る時間を作るための仕組み。

夜遅くまで仕事をして、
翌日は朝早くから仕事が始まるような場面を想定してみましょう。

夜の22時まで仕事をして、
翌日は朝6時から仕事を始めるとしたら。

22時から翌日の6時まで、
この時間は8時間です。

 

8時間で、

家に帰り、
ご飯を食べて、
お風呂に入り、
歯を磨いて、
寝る。

朝起きたら、
身支度をして、

朝の6時までに職場に行く。


これを全部8時間以内で済ませるのですから、
無理がありますよね。

 

寝るだけでも8時間ぐらいは必要ですから、
それ以外のことに時間を使えば、
寝る時間は4時間なり5時間ぐらいしかありません。


こういう状況は体に良くないですから、
仕事が終わって、次の仕事まで、
一定の時間的間隔を空ける。

それが「勤務間インターバル」なのです。

 

 

助成金を利用して、勤務間インターバルを導入できる。

勤務間インターバルを導入すると、
受給できる助成金があります。


時間外労働等改善助成金(勤務間インターバル導入コース) - 厚生労働省
※2020年度の申請は10月15日に終了しています。

中小企業が対象で、

9時間以上11時間未満
もしくは、
11時間以上

の休息時間(仕事が終わって、次の日の仕事が始まるまでの時間のこと)を設けて、
勤務間インターバルを導入すると、

最大で50万円の助成金を受給できます。


1 労務管理担当者に対する研修
2 労働者に対する研修、周知・啓発
3 外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)によるコンサルティング
4 就業規則・労使協定等の作成・変更
5 人材確保に向けた取組
6 労務管理用ソフトウェアの導入・更新
7 労務管理用機器の導入・更新
8 デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
9 テレワーク用通信機器の導入・更新 
10 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新


この中から1つ以上の項目に取り組んで、
要した費用の一部が助成金として支給されます。


ポンとお金が支給されるわけではなく、
何らかの費用を支出して、
その費用の一部を助成するのが助成金です。

 

 

勤務間インターバルは難しくない。

仕事が終わってから、次の仕事まで、決まった時間を空ける。

やることはこれだけです。


休息時間には、

9時間以上11時間未満
もしくは、
11時間以上

の2つがありますが、

11時間以上に設定しておくことをオススメします。


現状では9時間以上でもOKとなっていますが、
いずれは11時間以上で統一されるでしょうから、
最初から11時間に設定しておくと良いでしょう。


勤務時間に関する部分ですから、

1.就業規則を作成するなり変更する。
2.変更した内容を従業員に説明する。
3.労働時間を記録する装置(タイムカードなど)を導入する。

 

これらの取り組みをして、
助成金を利用し、
勤務間インターバルを導入するといいですね。

山口正博 社会保険労務士事務所
大阪府大東市灰塚6-3-24
E-mail : mail@ymsro.com
業務のご依頼に関するお問い合わせ

© 社会保険労務士 山口正博事務所