大企業が「ホワイト認定」申請に二の足を踏む理由〈週刊新潮〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150901-00010000-shincho-bus_all
大学4年生の多くは、就職活動の真っただ中である。炎天下にリクルートスーツを着る彼らの望みは“内定”に他ならないが、同時に将来の職場が“ブラックだったら”という不安も抱いているはず。一方、採用側の企業は学生たちの評価に気を揉んでいるものの、“ホワイト企業”認定の申請に二の足を踏んでいるのはなぜか。
(中略)
厚労省が6月に新設したのは「安全衛生優良企業公表制度」。規定のチェック項目を8割クリアして書類を申請後、厚労省の審査を経て“ホワイト企業”と認定される。加えて、その証である「優良企業認定マーク」を3年間自由に使用できるという。
ホワイト企業の定義がハッキリとしない状況で、どうやってホワイト認定するのか。ホワイト企業を認定する制度ができたとは知らなかったので調べてみると、何のことはない、安全と衛生に関する公表制度です。
安全衛生優良企業公表制度
http://anzeninfo.mhlw.go.jp/shindan/shindan_top.html
この制度を指してホワイト企業かどうかを認定する制度だと指摘していますが、それは違います。
キチンと読めば分かりますが、 安全衛生優良企業公表制度は、安全と衛生に関する部分で優れている企業かどうかを判断して公表する仕組みです。あくまで安全と衛生の分野に限られます。
優良企業として2つの会社が紹介されています。
職場のあんぜんサイト:安全衛生優良企業公表制度:優良企業の紹介
http://anzeninfo.mhlw.go.jp/shindan/shindan_klist.html
企業名をクリックするとPDFが開いて内容を見れますが、熱中症を予防するための取り組みや安全のための看板設置などがその内容です。
見れば分かりますが、どこの会社でもやっていそうなことであって、「えっ? この程度の取り組みでホワイト企業になれるの?」と思ってしまいそうな内容です。
そもそも、安全衛生優良企業公表制度は、ホワイト企業がどうかを判定するための制度ではなく、安全と衛生に関して優れているかどうかを判定するための制度です。ゆえに、ここで公表されたからといって、その企業がホワイト企業であるとは言えません。
安全で衛生的な企業であればホワイト企業かというと、そうではありませんよね。安全で衛生的だけれどもサービス残業がある。安全で衛生的だけれども休憩が無い。安全で衛生的だけれども有給休暇を取得できない。安全で衛生的だけれども上司が勤務時間中にオシリを触ってくる。安全で衛生的だけれども「妊婦は要らない」と言われた。
どうです? 安全で衛生的であればホワイト企業なのかというと、そうは言えませんよね。
もちろん、キチンとした会社は衛生的で安全なのでしょうが、そのような会社にとってそれは必要な条件ではあるものの、それだけで十分というわけではないでしょう。
上記のウェブサイトでは、ホワイト認定申請に二の足を踏むと書かれていますが、あえて申請して公表してもらうほどの内容ではないので申請していないだけだと思います。