クリーニング代は本人負担?
仕事をする時の服装は、業種や担当する業務の内容によって様々です。
オフィスワークが主体の人はスーツを着用しているでしょうし、ケータイショップのスタッフさんもスーツの人が多いです。他にも、飲食店だと、Tシャツやエプロン、帽子をかぶるところもありますね。さらに、何らかの作業を行う仕事ならば、作業着や長靴、安全靴やヘルメットを着用するはず。
中には私服で仕事ができる職場もありますが、多くの企業では仕事専用の制服や帽子、靴などを指定しています。
ちなみに、私は制服を着て仕事をする方が好きです。なぜならば、自分の服が汚れなくて済むし、どの服を着ようかと考える必要がないからです。
服を着ていれば汚れてきますから、洗濯する必要があります。エプロンに付いたソース、作業着に付いた油汚れ、白衣についたケチャップなど、汚れてくると洗濯してキレイにする必要がありますが、ユニフォームの洗濯となると労務管理での問題が生じます。
自分の私服は自分で洗濯する。これは何も異論はないはずです。しかし、仕事で着るユニフォームとると、自分で洗濯するか、それとも会社経由でクリーニングに出すかで判断が分かれます。
では、仕事で着るユニフォームは会社がクリーニングすべきでしょうか。それとも、自分で自宅に持ち帰って洗濯し、アイロンを掛けて着るべきか。
どちらでしょうか。
法律で決めることではなく、社内ルールで決める。
結論から先に言うと、どちらの判断も正解です。
会社が使用済みのユニフォームをまとめてクリーニングに出すものいいし、自分で着たものは自分で洗濯するようにしてもいい。
私は学生の頃、飲食店で働いていた経験がありますが、お店で着たエプロン、前掛け、コック服はすべてランドリーボックス(丈夫な布で出来た洗濯物入れ)に放り込んで、まとめてクリーニングに出すところもありました。
しかし、一方で、他の飲食店では、自分が着たシャツ、エプロン、白衣、帽子、これらは自分で持ち帰って洗濯するようになっていて、お店でクリーニングに出すという形にはなっていなかったですね。
クリーニングするところもあれば、自分で洗うところもある。これは会社によってバラバラです。
本人が洗濯するのか。それとも、会社経由で洗濯するのか。クリーニングの費用は社員が負担するのか、会社が負担するのか。負担するとすれば、全額負担か、それとも一部負担か。これらは法律で決めることではないので、会社ごとに内規のようなもので決めるしかありません。
ユニフォームの洗濯をどうするかなんて、些細なことだと思えるかもしれません。しかし、会社がクリーニングに出してくれれば洗濯する手間が省けるし、制服のクリーニング代を給与から天引きする会社もありますから、ナンダカンダとモメる部分です。
他にも、「コック服はクリーニングに出すけれども、エプロンは自分で洗ってくれ」などと制服の種類で分けている会社もあるのではないでしょうか。
客観的な答えはありませんが、仕事で使う服をどうするのかについては、会社ごとに境界線を自主的に設定して対処するのが妥当でしょうね。
自分で洗うかクリーニングに出すか
私服で仕事をする職場がある一方で、専用のユニフォームに着替えて仕事をするところもありますね。
例えば、飲食店だと、エプロンやコック服、靴や長靴も用意されているところがあります。コンビニ、ガソリンスタンド、銀行、商社など、それぞれの仕事着があって、それを着て仕事をしていますね。
ユニフォームも着ていれば汚れてきますから洗います。その場合、自分で洗うのか、それとも会社経由でクリーニングに出すのか。この点で違いがあります。
私の経験だと、クリーニングに出すところがあれば、自分で洗うところもありました。
ユニフォームは会社の備品のようなものですから、この点から考えると、会社で洗うべきなんじゃないかとも思えます。しかし、着ているのは自分なのですから、自分の服と同じように洗うべきなんじゃないか。そう考えることもできます。
タダで人を利用してはいけない
クリーニングに出せば、費用がかかります。月に2回、1着で500円かかるとすると、1人あたり毎月1,000円のクリーニング代が必要です。
もし、従業員が20人いれば、毎月2万円です。
これを毎月繰り返すとなると、1年で24万円です。積もればなかなかの金額になりますよね。
仮に、着ているユニフォームを自分で洗ってもらえば、このクリーニング費用はゼロです。
私の経験だと、会社経由でクリーニングすると自分のものが無くなるんです。自分のサイズに合ったコック服で、まだキレイな服だったのに、クリーニングされた後は他のコック服と混ざってしまい、他の人が着てしまう。これが厄介なんですよ。
「あれー、こんなに汚れてなかったのにな〜」と、クリーニングする前は白かったのに、クリーニングした後は何だかすごく黄ばんでる。他の古いコック服と入れ替わっているのですから、そりゃぁ当然です。
ランドリーボックス(クリーニングして欲しいものを入れるところ)に入れると、どこに行ったのか分からなくなるので、もう自分で洗濯していましたね。洗濯機に入れて一緒に洗うだけですから、さほどの手間ではなかったですけれども。
ユニフォームだけでなく、ダスター(雑巾のようなもの)を持ち帰って洗うように求める会社もあります。作業テーブルを拭く際に使うフキンですけれども、これを会社で洗わずに従業員に持って帰らせて洗わせるんですね。
洗うと言っても、1人あたり3枚か4枚ぐらいですから、タオルを洗濯機に入れて洗うのと同じです。洗濯物が少し増えても洗濯は1回で終わりますから、費用は大したことないんです。
ただ、これも仕事のうちであって、やってもやらなくてもいいものではないはず。だったら、何らかの報酬は必要です。
仕事だけに限りませんが、タダで人に何かをさせてはいけない。そういうことをすると、後からツケを払うことになります。
人に何かを聞いたり、教えてもらったり、何かを貰ったりするけれども、自分は相手に何も与えない。少数ですが、そういう人がいます。これは、いわゆる「taker(テイカー)」という人たちのこと。
取るだけ取ったら後は知らん。そういう人をtakerと言います。自分の利益を優先して、他社の利益を考えない。そういう人は村八分にされるものです。
会社でも、従業員の人に洗濯をしてもらったら、会社としては得をするのですから、得した分を従業員に還元しないといけない。
ユニフォームやダスターを自分で洗濯してくれる人には、手当を出すとか、買い物券をプレゼントするなど、何らかの見返りが必要です。
ユニフォームを自分で洗濯してくれれば、月に1,000円を節約できる。ならば、毎月300円の洗濯手当を出す。もしくは、自分が働くお店で使える買い物券やお食事券を300円分プレゼントする。
自分で洗濯すればご褒美が貰えるとなれば、これはもう積極的に洗濯したくなる。
大きなニンジンじゃなくて、ほんの些細なニンジンを用意するだけで人の気持ちは変わります。
何をすれば人は感情的に快適だと感じるのか。まさに労務心理学と言うべきものですね。