労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます。

興味もないのにSNSで上司から共有を要求される。強要された「いいね!」。

 

偽いいね

 

職場のfacebookは、ウザイ。

SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)という言葉は以前に比べて随分と定着してきた感じがあって、テレビのニュースや新聞でも登場するようになってきています。

2006年ごろは、mixiは知っているけど、SNSは知らないという人がいたぐらいです。mixiはmixiであって、SNSというものとは別物と思われていたのかもしれません。mixiに関する話をしているときに、SNSという言葉を使って、「SNSって何ですか」と言われたことがあります。別の例で表現すれば、みかんは知っているけど、果物は知らないと言っているようなものですね。

実際は、mixiはSNSの1つですから、両者は別物というわけではありません。SNSというカテゴリーのなかに、mixiは入っています。

2013年の時点では、ソーシャルネットワークサービスは活況を呈していて、mixi以外にも有名なサービスがいくつもあります。よく知られているのは、twitter、facebook、LINEの3つでしょうか。

いずれのサービスも、自分の情報を発信したり、他の人の情報を共有したり受け取ったりできるのが特徴です。

メールだとコミュニケーションがキャッチボールになってしまい、時間がかかりがちです。メールを送っても、半日、1日と経ってから返信が来たりするものですから、簡単な連絡だともっと早くレスポンスが欲しいと感じます。

一方、LINEで連絡すれば、相手が読んだかどうかが分かりますし、メールよりも返信しやすいUIになっているため、メールよりもLINEで連絡する方が多いのも分かります。

メッセージでやり取りするだけでなく、ビデオを撮影して相手に送ることもできますし、ネット経由での通話も可能で通話料を節約する効果もあります。

そのようなソーシャルネットワークサービスの利点や便利さが認知されて、個人だけでなく企業もこれを利用しているところがあります。業務連絡をLINEで。現場の映像をLINEのビデオで送る。職場での電話連絡はLINEを使う。仕事でも活用できる機能ですから、プライベートだけに限定して使うだけでは物足りなく感じてしまいます。

facebookで、会社名やサービス名などでアカウントを作り、セール情報や製品に関する情報を伝えたり、アンケートなどを実施することもできるようです。

外部との接触のためのソーシャルサービスを使うようになると、今度は社内でも使ってみようかという動きが出てきます。

社内での手段連絡は、直接会って伝える、ケータイやPHSを使う、メールを送る、この3つが代表的です。

その3つに加えて、さらにFacebookやLINEを加えて、連絡手段を増やす会社があります。

facebookは業務報告に向いているし、LINEは個別の連絡がメールよりも簡単だと思われているようで、社内での連絡手段や情報共有の手段として、この2つが組み込まれているようです。

SNSを社内で使うようになると、それを使うことを強要する雰囲気が出てくるのではないかと思います。

「facebookをウチでも使うことになったから、みんな、チャンと活用するように」とか、「職場全員にfacebookアカウントを取得させる」とか、「これからはメールじゃなくて、連絡はLINEでします」とか。半ば強制的にSNSを業務で使うことを求められる。

「あえてそんなものを使わなくても、業務は滞りなくできているのに、、、」なんて思う人もいそうですよね。

新しい道具が登場すると、受け入れる人もいれば、反対する人もいます。最初は使っていたけれども、除々に使わなくなっていったとか。最初は反対していて使うこともなかったけど、ちょっと試しに使ってみて良さそうな感じだったので、今では毎日使っていますとか。反応は色々あると思います。

使い方次第で、便利になることもあれば、以前よりも不便になることもある。それが道具の特徴です。

職場単位でfacebookやtwitter、LINEを使い出すと、いわゆる「ソーハラ」が発生することがあります。ソーハラ、ソーシャルハラスメントの略称ですが、セクハラやパワハラのように、本人が不快に感じるような状況が生じるのです。

典型的なのは、上司から友人申請されるとか、上司が自分のアカウントをフォローするとか、いわば上司からストーキングされるような状況です。

他には、会社のアカウントで投稿した内容に対して、個人のアカウントからリツイートやいいねのようなアクションを従業員にさせることで、いわゆる「サクラ」のような演出をすることもあるのでは。他人よりも身内を巻き込む方が簡単ですから。

今までは、個人的に使うにとどめていて、親しい友人とか、親戚とか、そういう内輪でSNSを使っていたのに、他人である職場の人達がその輪の中にドカドカっと入ってくるのですから、良い感じに思わない人もいるでしょうね。

気軽に投稿した内容が、職場の人にチェックされて、何だか気持ち悪い。そんな気分になる人もいるのではないでしょうか。他にも、職場の人とつながっていない新しいアカウントを作り直した方がいても不思議ではありませんね。

ましてや、上司に監視されているアカウントで、日常的なことなんて投稿しにくいでしょう。職場の人は、他人ですからね。

全く面識がなくて、どこの誰かも分からない。そんな不特定の人が自分の投稿内容を見ているならば、気にしても仕方ないと思えるのですけれども、中途半端に知っている他人が自分のアカウントをチェックしているとなれば、あまりいい気分はしない。

もちろん、人の感じ方は様々ですから、職場の人に見られても構わないと思う人もいるでしょうが、すべての人がそうとは限らないので、一括りに判断はしにくいところです。

強引ではなく自然にSNS使っている限りでは、職場でSNSも悪いものとは思いませんが、強制力を発揮させた時にタチが悪くなります。

例えば、facebookで、上司がアップした投稿内容を読んで、いいね!ボタンを押さないと、「何でいいね!ボタンを押さないんだ。読んでないのか?」などと言われ、いいとも思わないような投稿なのに、いいね!ボタンを押して、既読状態であると伝えないといけなくなる。

既読機能として「いいね!」ボタンを使わせているのです。内容の良し悪しに関係なく、読んだかどうかを伝えるためにボタンをタップさせる。そういう使い方もあるかと思いますが、本来の使い方とは違います。

LINEにもありますよね、既読の機能が。ボタンをタップする必要がないのが良いところなのですけれども、LINEの場合は既読にしたら返信するというような暗黙のルールがあって、それにウンザリしている人もいるとか。わざわざ返信するほどの内容じゃないと思っていても、相手はレスポンスを欲していることがあります。

 

 

強要されてSNSを使うと、ユーザーが離れる。

「いいね!」ボタン以外にも、上司の投稿は必ずチェックしてコメントをせよ、などという職場もあるのではないでしょうか。「いいね!」ボタンもコメントも返信も、本人の判断でするものであって、それを強要されると、メンドクサイ、何かヤダなどと感じるものです。

作為的なコミュニケーションはぎこちないし、楽しくもない。全てが自発的である必要はないけれども、ある程度は自発性がないとコミュニケーションは続かないのではないかと思います。

こまめにSNSでの投稿内容をチェックするように求められると、休日まで仕事の情報をチェックしないといけなくなり、無賃労働が発生する原因になるかもしれない。

「SNSをチェックする=業務」と判断されかねず、賃金の支払いなどでモメる状況も発生してくるのではないでしょうか。

職場にSNSが入り込んで不快だと感じるのは、「距離感が狂うから」ではないかと思います。

 

 

SNSの距離感。メールの距離感。

道具ありきで何かを変えようとする。これは失敗しやすい。

例えば、SNSを使えばコミュニケーションが活発になると考え、SNSを職場に持ち込む。その結果、職場のコミュニケーションは促進されるかというと、思ったような結果にはならないのではないでしょうか。

もともと活発な職場でなければ、SNSを使っても活発にはならない。これが現実だと思います。

考えてみて下さい。

人見知りする人がスマホを持っても、人付き合いが上手になるわけじゃない。
走るのが苦手な人が高級なランニングシューズを履いても、走れるようになるわけじゃない。
料理をしない人が良い包丁を手に入れたからといって、料理が上手になるわけじゃない。

これらが良い例です。

SNSで職場の何かが変わると思っていると、期待はずれになります。道具ありきで人は変わりにくいもので、それを持ち込んだからといって、急に人が活発にコミュニケーションするようにはならないのではないかと。

もともと風通しの良い職場ならば、SNSがなくても十分にコミュニケーションは活発なはずです。

使うのはタダですから、論より証拠で、実際にSNSを職場で使ってみれば分かるはず。いかに使われないかが分かるでしょう。

利用を強要されたSNSはツマラナイものです。この手のものは、自主的に内輪の友達同士でマッタリと使うのが楽しい。全くの他人とコミュニケーションしたい人はそれほど多くはないのではないでしょうか。

何の面識もない人からの友人申請は受け付けない、そんな人もいるでしょう。

職場は「公」で、SNSは「私」。そんな分け方をしている人もいるはず。私的なテリトリーに公的な関係は入り込んでほしくない。そう思いながら、twitterやfacebook、LINEを使う人もいるでしょうから、業務でこれらを使うのは必ずしもカンタンではなさそうです。

どうしても業務で使うというならば、業務用のアカウントを別に設けて、個人用のアカウントと分けるのもいいですね。業務用は仕事専用として使っていけば、個人アカウントへの影響を軽減できるんじゃないでしょうか。もちろん、業務用アカウントと個人アカウントは関連させてはいけませんよ(アカウント間でフォローするなど)。繋がりから個人アカウントに到達されますからね。

組織内で情報共有や連絡をするならば、メーリングリストがベストだと私は思います。メールアドレスをひとまとめにしたグループを作って、1つのメールアドレスに送信するとグループ内の全員に送られるのがメーリングリストです。

2020年現在だと、共有ドキュメントを使ってグループ内で連絡を取り合うこともあるでしょうし、LINEでグループを使って連絡する方法もあります。そのため、もはやメーリングリストという言葉自体を知らない方もいるかもしれません。

近すぎず、遠過ぎない関係を構築できる。これがメールの良さでもあります。10年ぐらい前(もっと前かもしれない)でしょうか、「メル友」なんていう言葉も流行りましたね。メールの程よい距離感が使う人の価値観に馴染んだのかもしれません。

SNSはメンドクサイし、関係が近すぎるように感じる。友人同士や親子、そんな間柄ならばSNSもいいけれども、職場の関係でSNSはちょっと馴れ馴れしすぎるんじゃないか。そう思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

メールならば、LINEのようにレスポンスを強要されないので、自分のペースで使える。もちろん、【要返信】とメールの件名に書かれていたならば、返信は必要なのかもしれませんが、メールの基本は一方通行です。送りっぱなし、受け取りっぱなし。これが許されるのがメールのいいところ。

mixi疲れ。
Facebook疲れ。
Twitter疲れ。
LINE疲れ。
SNS疲れ。

など、ナントカ疲れという言葉が雑誌や新聞、テレビニュースで登場しますけれども、メール疲れはありませんよね。メル友の時代にはメール疲れという概念もあったのかもしれませんが、2013年の時点ではメールに疲れる人は少ないのではないかと思います。

コメントやメッセージが来たら、即座に「レスポンスしなきゃ」と考え、スマホで返信作業をする。もう病気と言っていいぐらいの状態の人もいるのではないでしょうか。いわゆる、スマホ依存症の人ですね。

すぐに返信しないと、仲間はずれにされちゃう。一方、連絡相手も返信を期待している。そんな人たちもいるようで、使い方次第では、スマホは便利なんだか不便なんだか分からなくなりますね。

仲のいい人ならばSNSもいいけど、やっぱり他人とはメールがいい。距離感に違いがあるところが良い。そう考える方もいらっしゃるでしょうし、1つの道具としてメールはしばらく残っていくのでしょう。

また、メールは、一通ごとに完結していないといけないので、LINEのように、「おはよう」、「うん、おはよう」、「今、何してる」、「寝てた」みたいに、細切れで通信しない。伝えることをまとめてスパっと伝えられるところも良いです。

ただ、メールには既読機能がないのが欠点といえば欠点です。HTMLメールを使えば、開封されたかどうかを把握できるのですけれども、メルマガでもない個人間のメールをHTML化することもなく、わざわざ既読や開封状況を把握することもしないでしょう。

ちゃんと届いたのかなぁ。ちゃんと読んでくれたかなぁ。メールだとこんなことを考えないといけない。メールを送った後、電話をかける人までいるぐらいですから。一方、LINEには既読機能がありますから、「おっ! ちゃんと見てくれたな」と分かります。

SNSを仕事に持ち込むとなれば、労務管理でもソーシャルハラスメント対策をやらないといけなくなる。

対策方法としては、ソーハラの事例を集めて、社員へ告知する。こういう場合はハラスメントですよと伝える。

例えば、上司が部下のアカウントをフォローするとか、自分のアカウントへのフォローや友人申請を強要するとか、いいね!ボタンやコメント、メッセージなどでレスポンスを強要するとか。事例は他にもあるかと思います。

どういう場合に、ハラスメントだと判定するのか。具体的な事例を示して対処するのが良いと思います。

その後、ある程度、内容が固まってきたら、就業規則に落とし込んだり、ソーシャルメディアポリシーを作成して、ソーシャルハラスメントが発生した場合、懲戒処分にすると記載する。

時代が変わると、労務管理も変わりますね。

 

 

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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