出勤を2回に分割すると、時間外労働になっていることを失念する
1日に8時間を超えて仕事をすると、時間外の労働となり、残業になります。この点についてはご存じの方も多いかと思います。
おそらく、ほとんどの方が1日の出勤回数は1回で、朝から出勤して昼に終わるとか、朝から出勤して夕方に終わる、夕方から出勤して夜に終わるというように、1回の始業と1回の終業で終えているはず。
ところが、人によっては、朝に出勤して、夜にもう1回出勤する人もいらっしゃるのではないでしょうか。もちろん、朝と夜の組み合わせだけでなくてもよく、昼と夜という組み合わせもありますし、昼と深夜という組み合わせもあり得る。
私が大学時代に経験したことですが、1日に2回出勤するような働き方をしていた時期があります。日曜日や祝日は学校が休みですから、平日のように夕方から夜までの時間帯で勤務する必要はないので、朝から出勤することも可能なわけです。
そのお店は飲食店で、大学1年の11月から大学3年の10月までの約2年間働いていました。確か、平日は、18時から22時30分までの勤務で、日曜日と祝日は朝の出勤もありました。
平日の勤務は18時から22時30分までですから、時間数は4時間30分です。この点は特に問題はありません。
一方、日曜日と祝日の場合は、ちょっと変則的で、1日に出勤が2回あった。
日曜日を例に挙げると、11時から開店する飲食店だったので、10時から開店作業をしていた。そのため、朝の始業時間は10時で、そこから14時までの勤務。それが終わってから賄いの昼食があり、休憩時間はなかった。ちなみに、就業後に昼食を食べているので、食事の時間は休憩時間ではない。
昼食を食べ終わって、14時25分ごろにお店から出て、家に帰る。
その後、夕方の17時から2回目の出勤が始まり、そこから22時30分まで勤務する。夜の場合は、食事の時間が勤務時間の中にあったので、20分程度が休憩時間に相当していたはず。
勤務時間の計算をすると、10:00-14:00、終わってから賄い昼食。休憩時間は無しなので、勤務時間は4時間。さらに、夕方からの勤務は、17:00-22:30であり、20分の食事休憩が間に入っていると考えるので、勤務時間は5時間10分となる。
合計すると、1日での勤務時間は、4時間+5時間10分 = 9時間10分なので、1時間10分の時間外勤務です。
では、ここで問題です。
上記のように勤務した場合、時間外勤務の割増賃金は支給すべきか。それとも、割増賃金は必要ないか。
なお、上記の例では日曜日に勤務しているので、休日割増賃金が必要であるかのように思えますが、今回は休日割増賃金は考慮せずに考えます。
出勤ごとに8時間ではなく、1日通算で8時間以上だと法定時間外労働
1日の勤務を2つに分割すると、4時間の勤務と5時間10分の勤務ですから、バラバラに取り扱う場合とセットにして取り扱う場合に分かれる。
もし、バラバラに取り扱った場合には、4時間の勤務だと8時間を超えていないので残業にならないし、5時間10分の勤務だとこちらも8時間を超えていないので残業は発生していない。
一方、勤務回数は2回だけれども、1日の中で2回勤務しているのだから、2つの勤務時間を通算すると考えるならば、4時間+5時間10分なので、勤務時間は9時間10分となり、残業時間は1時間10分となる。
では、どちらの処理が正しいのか。
正しいのは、後者です。
1日で2回勤務していても、それは1日の枠内での勤務なので、勤務時間はバラバラにせず、セットで取り扱います。
学生の頃は、上記のように1日に2回勤務して9時間10分の勤務時間に達していても、割増賃金はなかった。本当は割増賃金が必要だったんですね。
ただ、あのころは労働基準法についてあまり知らなかったし、変な感じもしなかった。とは言うものの、大学時代に社会保険労務士の試験に合格したのだから、気づいてもおかしくなかったのだけれども、ボーっとしていたのかもしれない。
じゃあ、時間外労働の仕組みを知っていれば割増賃金を請求したかというと、微妙です。お昼と夜の賄いは無料でしたし、お客さんが多くて忙しい日には大入り袋をくれることがあったし(大入りといっても中身は大入りではなかった)、さらには、夏休みや年末年始に大阪に帰省するとき(大学が東京にあったので)には寸志もくれましたので、残業代という細かいオカネを請求する気持ちにはならなかったと思います。
1日に勤務回数が2回以上になるときは、勤務時間を通算して、残業代の未払いにならないようにちょっとだけ注意が必要です。
残業代、つまり時間外労働の割増賃金を計算するときは、基本給だけで計算するものではなく、色々な手当を含めた上で残業代を計算しなければいけないので、給与計算で最も間違いやすいところです。
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