あやめ社労士事務所 - 労務管理のツボをギュッと押す方法を考えます

会社で起こる労務管理に関する悩みやトラブルを解決する方法を考えます

1分でも仕事。労働時間の管理は"1分単位"か"5分単位"か"15分単位"か。

1分でも仕事

 

1分単位よりも5分単位や15分単位の時間管理の方がトク?

勤務時間を管理する方法は色々とあり、最もメジャーなのはタイムカードで時間を記録する方法かと思います。

打刻機を設置して、カードストッカーに1ヶ月分の勤務時間を記録できるカードを入れておく。出勤時には、各自で始業時と終業時にカードを打刻機に入れる。そうすると、昔のトースターのように、一度カードが打刻機の中に入って、時間が印字された後にカードが出てくる。

多くの会社では上記のようにタイムカードで時間を管理していると思います。

他にも、出勤簿で管理しているところやノートに記入しているところ、カードをスキャンして勤務時間を記録する会社もありますね。

時間を管理する方法は色々とあり、さらに、勤務時間の端数をどう処理するかという点でも会社ごとに違いがあります。

最近では、30分単位で時間を管理する会社は少なくなっているとおもいますが、15分単位で勤務時間を管理している会社はまだあるのではないでしょうか(15分単位だと、未払い賃金が発生しますので、1分単位で労働時間を計上するのは必須になりました)。他にも、10分単位で管理したり、5分単位で管理しているところもあるかもしれませんね。

最も厳密なのは、1分単位での管理ですが、まだそこまで達していない企業もあるはず。

ずっと前から不思議なことだったのですが、会社はなぜか切りの良い数字で勤務時間を管理したがるのですね。

10年ぐらい前だと、30分単位で勤務時間を管理している環境で私も働いていたことがありますので、10分とか14分の時間を切り捨てられた経験はあります。なぜ10分とか14分の「はみ出し時間」が発生するのか、なぜ給与に反映されないのか。なぜ働いているのに賃金が付かないのか。不思議な気持ちでしたね。

さらに、大学生の頃は、15分単位で時間を管理している飲食店で働いていました。そこのお店はノートに各自で始業時間と終業時間を記録する方法を採用していて、タイムカードは使っていない環境でした。ただ、タイムカードを使っていないからといって、時間の管理が杜撰というわけではなく、キチンとした職場でした。

しかし、キチンとしたお店がある一方で、そうではないお店もありました。

同じ飲食店でしたが、21:30分で終業のところ、21:35とか21:39になるように仕事をさせる環境だった。キッチリちょうどの時間に終わらない職場で、いつも「はみ出しサービス残業」のようなものが発生していた。

とはいえ、たかが5分ですし、たかが9分です。賃金に換算しても誤差と考えて差し支えない程度です。ただ、納得はしにくい。お金の問題というよりも、はみ出し時間を利用して無賃労働させられている感じがイヤでした。数分であっても、その時間は仕事をしているわけですから。

仕事をするのがイヤなわけではなく、仕事をするならば全てキチンと報酬の計算に含めたほうが、会社も社員もお互いにスッキリします。

1分で勤務時間を計算する方がスッキリするといっても、まだ5分や15分の単位で時間を管理するところはゼロにはなっていないはず。端数時間を切り捨てるのは、賃金未払いになり法律に違反しますので、どの職場でも1分単位で労働時間を計上しないといけなくなりました。

おそらく、1分単位で管理するよりも5分や15分の単位で時間を管理したほうが経費を節約できると思ってそうしているのかもしれません。

では、1分単位で管理する方がいいのか、それとも、5分や15分の単位で時間を管理したほうがいいのか。

選択肢は2つに分かれます。




100円を拾いながら1,000円をポケットから落とす。

1分管理が良いかどうかは客観的に決められることではなく、判断する人の価値観によって結論が変わります。

フルタイムの人とは違い、パートタイマーの人は時間と賃金が結びついているので、端数時間の取り扱いによっては賃金が変わります。とはいえ、1回の出勤あたりでは、ほとんど誤差程度のものですが、積もり積もれば結構なものになるはず。

例えば、出勤日ごとに3分ずつはみ出し時間が発生すると仮定し、時間給800円と仮定する。さらに、月に21日勤務するとする。

計算すると、21日×3分=63分です。つまり、1ヶ月で約800円分の無賃労働があるわけですね。12ヶ月だと、12ヶ月×800円ですから、9,600円です。

「たかが3分程度なんだから、いいじゃないか」と思う人もいるかもしれないけれども、積算するとそれなりの金額になる。9,600円あれば、それなりに美味しいものを食べられます。


なぜ、5分管理や15分管理がダメで、1分管理が望ましいのか。

「キチンと労務管理できるから」と答えれば模範解答になりますけれども、理由としては説得力に欠けます。

私が理由を考えれば、「端数時間の取り扱いを社員さんに説明できないから」となりしょうか。

例えば、5分単位で時間を管理していると、終業時刻が20:32とか20:34になったとき、2分や4分のはみ出し時間はどうなるのかをキチンと説明できるでしょうか。

「2分や4分ぐらいいいじゃないか」と説明するのでしょうか。「それは会社へのサービスだよ」と説明するのでしょうか。「細かいことを言うんじゃないよ」と強引に言い伏せるのでしょうか。

自分が社員として働く立場になれば、おそらく納得しにくいのではないでしょうか。

もちろん、5分単位で管理していても、20:30とか20:35のようにキチンと5分で計上できる時間で終業していれば特に問題はないのです(記録と勤務実態が合致しているため)。けれども、どうしても数分の誤差は発生するはず。その誤差が発生した時が厄介です。

15分単位での管理でも同じです。20:30で終わるべきところを、20:37とか20:42で終業すると、7分や12分の端数時間が発生し、この時間をどう処理するのかを説明しないといけない。賃金に反映しないのか。それとも、反映するのか。反映するとしても、すべて反映するのか。5分や10分の単位でのみ反映するのか。

考えだすと面倒臭いですよね。

ここまで読んで、5分や15分の単位で時間を管理した方がいいと思えるでしょうか。

15分単位で管理すれば、1分から14分はどうするのかが問題になる。5分単位で管理すれば、1分から4分はどうなるのかが問題になる。1分単位で処理しない限り、ずっとこの問題は続きます。

1分単位ならば、疑問が発生する余地はない。秒単位で時間を管理する人はさすがにいないだろうから、端数の時間をどうするかでゴタゴタすることもない。

始業打刻をした時から仕事を開始し、終業打刻をするまでが仕事。すべて1分で管理すれば、上記のようなバッファー時間の取り扱いでもめることもなくなる。セコイ無賃労働をさせることはなく、従業員も納得です。

もし、端数時間の間に仕事をしたときに個別に許可する仕組みを設けて、賃金の計算に計上する端数時間と計上しない端数時間を分けているならば、この許可の手続きも不要になる。

また、10分や15分で管理していると、余った時間をどうでもいい作業で潰す可能性もあります。

例えば、20:30が終業時刻だったとして、20:24に仕事が終わってしまったとき、残りの6分をヘンな形で時間を潰してしまう。意味なく掃除してみるとか。意味なく整理整頓するとか。お店の中を意味もなくウロウロして20:30になるまで時間を稼ぐとか。さらには、タイムカードの打刻機の前でジッと待っている人までいますよね。

5分や10分で労働時間を区切ってしまうと、事業所に不利益ですし、従業員も余計な時間つぶしをしなければならず、お互いに良いことがありません。

1分で時間を管理すると、「無駄に残業する人がでてくるんじゃないの?」と思うかもしれない。

しかし、5分管理でも15分管理でも、無駄な残業をする人はいるでしょう。1分管理になったからといって無駄な残業をするわけではないはずです。

上記のように、切りの良い時間になるまで時間を潰す人がいるので、むしろ1分単位のほうが無駄な残業は減るのではないでしょうか。

1分単位で時間を計算すれば、仕事が終わったその時点まで計算に含まれますので、あえて時間を潰す必要はない。

また、時間の管理を厳密にすると、小休止や喫煙タイムにも制限がかかる可能性がある。

今までならば、ちょっと飲み物を飲みながら小休止(公式の休憩時間ではないけれども、準休憩時間のようなもの)しても問題なかったけれども、これからは休憩時間以外は休憩してはいけないように変わるかもしれない。さすがに水分補給は許されるでしょうが。

さらに、喫煙者の場合、休憩時間以外にちょっと一服という感じで喫煙している人もいて、この人達にも制約が課されるかもしれない。1回の喫煙で5分程度、仕事から離脱するとすると、その時間にも給与が出ますからね。休憩時間以外には喫煙してはいけませんというルール変わる可能性がある。私は喫煙しないタイプなので、これは歓迎ですけれども。

5分や15分の単位で時間を管理するのは、例えるならば、100円を節約して、1,000円を失うようなものです。節約したもの以上に失うものが多い。そんな管理方法なのではないかと思います。

中途半端な時間管理はコストを節約しているように思えるけれども、損な方法なのですね。

 

 

仕事時間を管理する際には、「30分未満の切捨てはダメ」となっていますが、

では15分未満なら切り捨ててよいのかというと、そうでもないのです。

 

過去には、15分単位で時間管理することが認められてはいましたが、あくまで便宜的なものでした。15分単位で計算し、10分を切り捨てても良いかと言われれば、良いとは言えません。


分単位で、タイムカード等を使って管理しているわけですから、細かく時間を管理することはできないということはないでしょう。ですので、給与も1分単位で支払うのが妥当です。

 

「そのような処理では事務が複雑になる」、という意見もあるかもしれません。


しかし、意外と、細かいことで社員さんの働くモチベーションというものは低下するものです。

例えば、「5分前出勤、5分後退勤」などとしてしまうと、トータルで10分の未払い時間が発生しますね(細かいことですが)。

1日の出勤で10分のタダ働きがあるとすると、月に20日出勤すれば200分。会社にとっては利益になるのでしょうが、働く従業員は受け入れがたい時間です。

私も経験がありますが、5分前に出勤させて、終業時には明らかに終わらない作業を任せられる。その結果、5分から10分オーバーで仕事が終わる。さらに、はみ出した時間分の賃金は払わない。これを意図的に行っている企業もありますので、注意が必要です。

 


1分単位の管理には利点もあります。

当然ですが、1分単位で賃金を支払っていれば、別に5分前に出勤しても、5分遅れで退勤しても構わないでしょう。キッチリと計算に含まれますからね。


ちなみに、15分単位で時間管理していると、15分というキリのいい時間までわざわざ時間を延ばす人が出てきますので、会社にとっては有難くありません。

「あっ! 15分まであと5分ある。ウロウロして時間を潰そう」と人は考えるんです(私も学生時代はそうでした)。時間を潰せば、その分だけ給与が増えるのですから、そのように行動するのが賢い。

しかし、会社にとっては費用がかかりますし、従業員の時間も失われます。

キッチリした方が会社にも従業員にもトクということです。

 

 

10分前出勤、10分オーバー勤務。

10分前に出勤して、着替えや手洗い、朝礼の準備をする会社がありますね。

そのために、想定よりも出勤時間を30分ぐらい早めないといけない人もいるようです。


余裕をもって出勤することは確かに大事ですが、早く出勤したにもかかわらず、その部分が評価されないことがあるんですね。


9時始業だが8時50分に出勤した。

けれども、タイムカードでは、9時出勤になっている、、、。

 

「10分は何処にいったんだ?」と疑問に思いますよね。

  

 

15分単位で管理するから不満が出る。

今では、30分単位であれ15分単位であれ、大雑把な時間管理はダメとなっているのですが、15分単位での時間管理は過去には許されていました。

ここで注意することは、あくまで「許容されていた」ということです。

本来は、15分単位での時間管理は違法です。

 

例えば、19時まで勤務の人に、19時10分ぐらいまで働いてもらって、19時15分直前にタイムカードを打刻させる(19時13分とか)ことをしても、19時までの勤務とされる。


つまり、13分程度の勤務時間を踏み倒すことが行われるんですね。わずかな時間ですが、「無賃労働(サービス労働)」ですよね。


こういうセコい時間管理をすると、不満が出るのです。


「10分前に出勤させているのに、この時間は無給なのか」と。

「10分オーバーで働いているのに、この時間は無給なのか」と。


嫌ですよね?こんな時間管理。

 
やっと最近では、1分単位での時間管理が浸透してきました。
(なぜ、今までやってこなかったのかが不思議です)


今後、時間管理は、「時間裁量型の勤務(フレックスタイム制やホワイトカラーエグゼンプションなど)」か「厳密な1分管理の勤務」のどちらかに収束していくでしょうね。

どちらの働き方も魅力的です。

 
「時間管理しないならしない、時間管理するならする」

この2つに分岐した働き方が定着していくはずです。

 

 

ジャストタイムで労働時間をタイムカードに打刻するのは意外と難しい。

仕事をした時間は何らかの手段で記録されます。タイムカードを利用して始業時間と終業時間を記録するのが最も一般的ですが、他にも出勤簿に記録したり、ノートに記録したり、コンピューターで記録する方法もあります。

記録する時間は、始業時点の時間と終業時点の時間、主にこの2つです。会社によっては、休憩時間や勤務を中断した時間も記録するところもあるかもしれませんが、どこの会社でも始業時刻と終業時刻は記録するかと思います。

実際にタイムカードで勤務時間を管理していると、始業時間ピッタリに始業打刻する人は思いのほか少ないのではないでしょうか。また、終業時間ピッタリに終業打刻する人もまた少ないのではないでしょうか。

始業時間前の始業打刻。終業時間後の終業打刻。これらが発生すると、賃金が未払いの労働時間が発生します。

例えば、10:00が始業時刻だとして、打刻されたタイムカードの記録を見ると、10:00ピッタリではなく、9:54とか9:57というように、始業時刻よりも前に始業打刻がされている。こんな会社、多いのではないでしょうか。

また、16:30が終業時刻だとすると、タイムカードでは、16:33とか16:39というように、予定された終業時刻よりも後ズレして記録されている。このようなこと、意外と良くあるのではないでしょうか。


理想を言えば、10:00が始業時刻ならば、勤務記録も10:00始業にしたいところです。また、16:30が終業時刻ならば、タイムカードでの記録も16:30にしたいところ。

しかし、実際には理想通りにはならないもの。


始業時間の記録は予定しているよりも早くなるし、終業時間の記録は予定しているよりも遅くなる。これは不思議なことではないのです。


実際にタイムカードで時間を記録する場面を想像してみて下さい。

タイムカードのストッカーにズラズラっとカードが収めされている。相川さん、遠藤さん、加藤さん、手塚さん、自分以外の社員さんのカードがストッカーに入っていて、そこに自分のカードも収まっている。そこから、自分のカードを取り出し、ストッカーの隣に据え置いている記録用の機械に自分のカードを挿入する。これで勤務時間の打刻は完了です。

勤務時間の記録は、ごく簡単な手続きですが、始業時間や終業時間にピッタリ合わせて行うと、不都合が生じます。

「時間ピッタリに時間を記録するだけなのに、何が不都合なんだ?」と思うかもしれません。

10:00に仕事を開始する人が自分だけならば、おそらく時間ピッタリに打刻するのはさほど難しくない。しかし、10:00に仕事を開始する人が14人いたらどうでしょうか。

始業時間を記録するために、14人が一斉にタイムカード機を操作する。そんな状況を想像してみて下さい。

1つの会社にタイムカード機はおそらく1台だけしかなく、その1台を全員で利用しているところが多いのではないでしょうか。そうだとすると、1度に打刻できる人は1人で、14人いるとなると、打刻も14回必要になる。

1人あたり打刻に必要な時間が約3秒だと仮定すると、必要な時間は 14人 × 3秒 = 42秒 です。


10:00丁度に始業時間を打刻するには、10:00:00から10:00:59までの間に全員が始業打刻を完了しなければいけない。

「59秒の時間があるので、必要な時間は42秒だから、問題無いだろう」そう思うかもしれない。

確かに、想定通りに始業打刻が完了出来れば問題ないでしょう。


しかし、何らかの理由で、打刻時間が遅れたらどうするか。例えば、9:59にタイムカードを格納しているストッカーが倒れて、カードが床に散乱してしまって、打刻の手続きが遅延してしまったら。その結果、始業時間の記録が10:02になってしまったら。

時間ピッタリに打刻しようとして、想定外のコトが起こり、予定していた始業時間よりも遅れて打刻してしまったら、これは遅刻になってしまいますよね。

もちろん、想定外のコトなど頻繁に起こるものではありませんから、あえてそのようなことを想定して行動する必要はありません。ただ、始業時間と始業打刻の時間を合わせようとすると、遅刻になってしまう可能性が高まります。

ゆえに、始業打刻は始業時間よりもちょっと前に行う人が多いのです。ギリギリで打刻しようとして始業時間をオーバーしてしまうと遅刻になるので、遅刻にならないように始業時間前に打刻するのですね。


ただ、始業時間よりも前に打刻してしまうと、その時点から勤務が開始されたと判断され、始業時間前の時間まで勤務時間に計上しないといけなくなります。

就業規則や雇用契約書では、10:00が始業と決めているのに、実際は9:54とか9:56が始業時間になってしまい、約束した範囲を超えて仕事が生じてしまう。ここが会社にとって困るところです。

契約に基づかない労働が発生しているし、さらに賃金も発生している。とはいえ、わずか数分のことですから、それほどの重大事ではありませんが、気になる部分ではあります。

社員さんの立場では、「遅刻にならないように余裕を持って始業打刻したい」と思うでしょうし、また、終業時点でも、「予定よりも早く打刻すると早退になってしまうので、終業時間を少し超えたところで終業打刻したい」と思うでしょう。

一方、会社の立場では、「契約している時間の範囲で仕事をして欲しい」、「予定よりも早く始業打刻したり、予定よりも遅く終業打刻して発生した"はみ出し時間"は勤務時間として計上しないようにしたい」と思うでしょうね。

この両者をどうやって調整するか。これが問題となります。

労働時間に賃金を結びつけるよう法律は求めていますから、1分の労働時間であっても賃金を払う必要があります。給与は時間給だけだと、1時間あたりの給与が固定されてしまい、頑張って仕事をしても、手抜きをして仕事をしても同じ給与になってしまい、労働時間をベースにした労務管理の限界が見えてきます。

労働時間に対する賃金は必要ですが、時間ではなく仕事に対して報酬を付けていくという形で賃金形態を変えていかないと、サボったもの勝ちの職場になってしまい、商売上、望ましくない結果を招きます。

 

 

 

打刻のための「余裕時間」が必要。

時間に余裕を持って打刻する。契約した時間ピッタリに打刻する。この2つの要求を同時に満たすにはどうすればよいか。

今回の問題に対する解決策は3つあります。

1,何もしない。
2,1分単位で全て勤務時間として計上する。
3,勤務時間として計上する時間とそうでない時間を分ける。


1の場合、始業時間前、終業時間後に数分の時間が発生しても、契約していない時間だから、勤務時間には計上しない。ただ、終業時間後の時間は残業にする可能性はあります。

何もしないのも1つの方法ですが、タイムカードには始業時間前の時間、終業時間後の時間が記録されているので、第三者から「この数分間、実際は仕事をしていたんじゃないか?」と疑念を持たれる可能性があります。勤務時間だったのか、それとも勤務していない時間だったのか、タイムカードの記録だけでは分かりませんからね。


2の場合は、契約外のいわゆる「はみ出し時間」が生じても、すべて勤務時間として計上し、給与もキチンと支払う。

この選択肢は、もっとも安全で簡単です。ただ、契約に基づかない時間まで勤務時間にしていますし、実際は仕事をしていない時間まで勤務時間として計上してしまう可能性もあります。


3の場合は、実際に仕事をしていれば勤務時間として扱い、仕事をしていない時間であれば勤務時間にはしない。

10:00が始業と決めているところ、実際は9:54とか9:56が始業の打刻時間になってしまった場合。9:54や9:56から仕事を開始していれば、その時点から勤務時間にする。しかし、始業打刻の時間は早かったものの、実際に仕事を始めたのは10:00からだったならば、10:00から勤務時間を計上する。

9:54や9:56から仕事を開始したならば、そのことを届け出て、はみ出した時間を勤務時間として計上する。

9:54や9:56に始業の打刻はしたものの、10:00までは仕事を開始しなかったならば、届出は不要にする。


3番の方法ならば、届出を利用して、勤務時間に計上されない打刻のための余裕時間を設けることができます。

始業時刻から5分前まで(例えば、9:55から10:00まで)、また、終業時刻から5分後まで(例えば、16:30から16:35まで)を打刻のための余裕時間として設定し、その時間内に打刻するようにすれば、遅刻や早退になるかもしれないとハラハラしながら時間ピッタリに打刻する必要はなくなります。

例えば、10:00が始業時間で、9:57に始業打刻したならば、3分の時間差が生じます。この時間に仕事をしたのか、それともしなかったのか。

日付、勤務した時間、名前などを簡単な書面にして、届け出る。そうすれば、3分間に何があったのか、後からでも分かります。


届出の手続きを介在させることで、打刻の手続きのために時間に余裕を作りつつ、契約時間外の勤務を発生させないようにする。

これが妥当な解決策ではないかと私は思います。

もし、届出の手続きは面倒で続かないだろうと思うならば、全ての時間を勤務時間にしてしまうのも良いでしょう。


ただし、選択肢2の方法には注意する点があります。

実際に発生した労働時間を踏み倒すための手段としてこの方法を使ってはいけません。わずか数分のことですが、始業時間前であれ、終業時間後であれ、実際に仕事を始めていた、もしくはしていたならば、それは労働時間です。

サービス労働させるためではなく、不明朗な時間を無くすのが目的ですので、正しく運用して下さい。







 

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