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休日に仕事をしたら割増賃金は必ず出る。マルかバツか。

 

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「休日」をチャンと定義する。

「休日とは何ですか?」と聞かれれば、「仕事が休みの日だろう」とか、「学校がない日だよ」とか、「ハッピーな1日だぜ(!?)」など、答えは色々かと思います。


仕事が休みである日に、何らかの理由で出勤して仕事をすると、その日は休日に仕事をしたわけだから、休日労働だと考える人も多いのではないでしょうか。

「休みの日に仕事をする=休日労働」こう考えている人は少なくないはずです。

確かに、休日に働くのだから休日労働でよさそうです。しかし、「休日労働」という言葉は労働基準法にもあって、休日に労働した場合は割増賃金を支給するルールがあります。


では、1週間の出勤日数が5日であり、休みの日数は2日としたとき、休みである2日間に出勤すれば必ず休日労働になるのでしょうか。

具体的には、土曜日と日曜日が休みであるとしたら、土曜日もしくは日曜日どちらかの日に仕事をすれば、それは休日労働になるのでしょうか。土曜日に出勤したら休日労働でしょうか。日曜日に出勤したら休日労働でしょうか。土曜日と日曜日のどちらにも出勤したら両日とも休日労働なのでしょうか。

休みに日に仕事をすれば休日労働だという立場で考えれば、上記の3パターンはいずれも休日労働になります。

では、労働基準法では上記の3パターンはいずれも休日労働になるでしょうか。それとも、休日労働になる場合とならない場合に別れるのでしょうか。

問題のポイントは、「休日の定義の違い」にあります。





休みの日が全て休日というわけではない。

「休日に仕事をしたら割増賃金は必ず出る。◯ か か」と聞かれれば、私は と答えます。

ここで、「ええっ!? なんで? 休日に働いたら休日労働でしょう?? 」と考えた方もいらっしゃるかもしれませんね。

なぜ なのかというと、「労働基準法での休日」と「一般的に理解されている休日」には違いがあるからです。同じ休日のように思えますが、両者は違うのです。

「休みの日に仕事をしたら休日労働だ」と言うときの休日は、一般的な意味での休日です。一方、労働基準法では、「法定休日に働いたら休日労働」と考えます。

「休みであれば全て休日」と考える立場と「法定休日が休日」と考える立場の違いです。ちなみに、法定休日は1週間に1日です(労働基準法35条)。


土曜日と日曜日が休みの場合だと、このどちらかが法定休日になります。

もし、日曜日が法定休日ならば、日曜日に出勤すると休日労働です。しかし、土曜日に出勤しても、これは労働基準法上は休日労働ではないのですね。

また、土曜日が法定休日だとするならば、土曜日に出勤すれば休日労働で、日曜日は休日労働ではなく平日と同じ扱いになります。

ただし、会社独自のルールで、休日労働の対象を法定休日に限定せず、休日に出勤すればすべて休日労働として扱い、割増賃金も支給しているところもありますから、全ての企業で上記のように処理しているわけではありません。

また、法定休日の曜日を固定している場合と固定していない場合でも取り扱いが変わります。「法定休日は日曜日とする」というような決まりが就業規則などに無い場合は、法定休日の曜日が定まっていない企業だと思います。ちなみに、法定休日の曜日は固定する必要はなく、毎週日曜日というように決めても良いし、決めなくてもいい。

曜日を決めた場合は、上記のように休日労働になる場合とならない場合を分けることができます。

じゃあ、法定休日の曜日が固定していなかったらどうなるか。

土曜日と日曜日の2日間が休みの例を使うと、土曜日に出勤して日曜日に休んだ場合、日曜日に出勤して土曜日に休んだ場合、この2つの場合は休日労働ではありません。なぜならば、1週間で1日の休日があれば法定休日を取得できていると考えるからです。

土曜日に出勤すれば日曜日が法定休日になり、日曜日に出勤すれば土曜日が法定休日になる。法定休日の曜日を固定しなければ、土曜日か日曜日のどちらか休みになった方が自動的に法定休日として扱われるわけです。

なお、土曜日と日曜日の両方とも出勤した場合は、割増賃金を伴う休日労働は1日です。休みの日は2日ありますけれども、法定休日は1週間に1日だけですから、休日労働も1日なのです。

もちろん、土曜日に出勤しても、日曜日に出勤しても、すべて休日労働として扱うことも可能ですから、上記のように分けて扱わなくても差し支えありません。法律的に厳密に処理すると、上記のようになります。


では、パートタイマーの場合はどうなるのか。週5日勤務や週6日勤務のフルタイム社員と違って、パートタイム社員は週3日や4日で勤務する人がいますので、週2日休みの人とはちょっと扱いが違うように思えます。

パートタイム社員の場合も、法定休日は週に1日ですから、1週間に1日の休日が確保されていれば、それ以外の日に出勤しても、それは平日と同じ扱いになる。

週4日勤務のパートタイム社員だと、週に3日は休みのはず。この3日の休みのうち1日だけ出勤しても、それは法的には休日労働ではありません。また、3日の休みのうち2日出勤しても、その2日は法的には休日労働ではありません。ただし、3日の休みすべてで出勤すれば、3日のうち1日は法定休日に労働しているので、その1日については休日割増賃金が必要になる。

なお、上記の例は、法定休日の曜日を固定せず、週1日の法定休日だけが休日労働の対象になるという前提で考えたものです。もし、「休みの日に出勤すれば全て休日労働」という立場で考えた場合は、どの休みの日に出勤しても休日労働と考えることが可能です。


法律通りに取り扱うか、それとも、休みの日の仕事は全て休日労働として扱うか。この2つの立場の違いですね。どちらの取り扱いも法律上は正しいですので、どちらを選択するかは企業の判断次第です。


 

「日曜日は法定休日だ」と反射的に判断しない

「日曜日は法定休日だから、その日に出勤したら休日出勤になる」と思い込んでいる人は少なくないのではないでしょうか。


確かに、ほとんどの会社では、日曜日が休みですよね。

今ならば、週休2日で休日が設定されている会社も多いです。


しかし、日曜日が休みだからといって、日曜日に出勤すれば休日出勤になるかと言うと、必ずしもそうではありません。

つまり、日曜日が休日であったとしても、その日が法定休日かどうかは別途で判断しないといけないわけです。


それゆえ、「日曜日=法定休日」だから「日曜日に働けば割増賃金が必要」、という思い込みをしてしまうと、間違うこともあるのです。

 

 


法定休日の曜日は決まっていない

法律では、「1週間に1日の休日」という休日ルールがありますよね(変形休日制度は考慮しない)。

ここで気にかけるべきなのは、「1週間に休日が1日」と決めているだけであって、「日曜日」という指定はしていないということです。

つまり、日曜日以外に法定休日を設定しても構わないんですね。


ちなみに、ほとんどの会社の就業規則では、「法定休日は日曜日とします」という規則が書かれているはずです。

他にも、「法定休日は週1日とします」という決め方もあるのですが、おそらく慣例的に、「法定休日は日曜日とします」と決めているのでしょうね。


ほとんどの人の中に、「日曜日が休みである」という意識がありますので、「日曜日=法定休日」と理解してしまうのは、十分に有り得るのかと思います。


しかし、法定休日の曜日を固定する必要まではないんですね。

 

小売業や飲食業で働いている人ならば分かるかと思いますが、特定の日に休日を固定しない働き方をしている方も多いでしょう。


今週は水曜日と金曜日が休み、来週は月曜日と土曜日が休み、というように週ごとに休日が変わるのではないでしょうか。

このように、実際に休日の曜日を固定せずに働く人もいるわけです。

 

休日に働けば、休日割増賃金が付く、休日手当が付く、と考えるのではなく、その休日は割増賃金や手当の対象になる日なのかどうか、この点を確認する必要があります。

 

山口正博 社会保険労務士事務所
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