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残業になるかどうかの境目 「契約外勤務=時間外勤務」か「契約外勤務≠時間外勤務」か

残業

 

契約時間以外に勤務すると時間外勤務になるの?

週5日勤務で7:00から12:00まで仕事をしているパートタイマーの人が、ある日に6:30から12:00の勤務に変更したとしたら、時間外勤務は発生するでしょうか。始業時間を30分早めると、どうなるか。

通常の勤務スケジュールでは、7:00から12:00ですから、5時間勤務です(15分休憩などが入る場合は、その時間を控除して考えてください)。ところが、何らかの事情で、ある日に6:30から12:00の勤務に変更することになった。この場合、勤務時間は5時間30分になりますよね。ちなみに、雇用契約で決めている時間は、7:00から12:00と想定します。

では、契約で7:00から12:00の勤務と決めているところを、6:30から12:00に変更したら、6:30から7:00までの30分はどのように扱うのでしょうか。

契約では7:00から12:00の間で勤務する約束なのだから、30分は時間外の勤務で割増手当を用意する必要があると考えるのか。それとも、7:00-12:00のシフトから6:30-12:00シフトに変更したとしても、1日8時間の法定労働時間枠を超えていないので、30分は時間外勤務にならないと考えるのか。

どちらでしょうか。


「法定労働時間」と「契約労働時間」の違い

結論を先に言えば、正しいのは後者です。1日8時間の法定労働時間枠を超えていないので、6:30から7:00までの30分は法的な時間外勤務にはならないのですね。

労務管理で時間外勤務を考えるのは、1日8時間を超えるか、1週40時間(例外44時間)を超えて仕事をした時です。変形労働時間制度を採用していると、1日8時間もしくは1週40時間を超えても時間外勤務にならない場合もありますが、そのような例外を除き、時間外勤務を考えるときは「1日8時間と1週40時間」の枠を使います。

先程の事例の場合、1日5時間勤務のところ、何らかの事情で1日5時間30分の勤務に変わったのですから、1日8時間の枠は超えていません。よって、7:00-12:00のシフトから6:30-12:00シフトに変更したとしても、6:30-7:00までの30分は時間外勤務にならないのです。

理解のポイントは、契約時間外が時間外勤務なのか、それとも、法定時間外が時間外勤務なのかという点です。

1日8時間と1週40時間の枠を超えれば時間外勤務であるという点はほとんどの方がご存知のところだと思いますが、契約時間を超えても時間外勤務なのだと考えている人もいらっしゃいます。

「7:00から12:00の勤務で雇用契約を締結したのだから、この時間レンジを外れる勤務は時間外勤務と考えるんだ」と思っている人がいる。この人は、契約労働時間と法定労働時間をゴチャ混ぜにしています。おそらく、法定労働時間と契約労働時間はほぼ同じものだと思っているのが混乱の原因なのかもしれない。

キチンと両者を分けると、法定労働時間は、「1日8時間と1週40時間(例外44時間)」で固定されています。1日6時間に変わったり、1週41時間に変わったりしません。一方、契約労働時間は、企業と社員間の雇用契約によって決まります。そのため、人によって契約労働時間は異なります。1日8時間の人もいるし、1日5時間30分の人もいるし、1日3時間の人もいます。

つまり、法定労働時間は法的に1つに決まっている。他方、契約労働時間は個別に決まるのです。

よって、法定労働時間のレンジを超えれば、必ず時間外勤務になる(変形労働時間制度を除く)。しかし、契約労働時間のレンジを外れても、必ずしも時間外勤務になるわけではない。

ただ、企業によっては、「契約時間外=時間外勤務」として扱っているところもあるかもしれない。法定労働時間の枠にかかわらず、就業規則や雇用契約で決めた時間を超えれば時間外勤務として扱うことは可能であり、企業ごとに任意で決めることが可能です。

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契約時間と所定労働時間の違い

契約で決めた働く時間と実際に働く時に作っている勤務シフトで決めた勤務時間が違うことがあります。

例えば、契約では10時から16時までの6時間と決めていても、実際の勤務シフトでは10時から14時になったり、11時から16時になることもあれば、12時から15時になることも。

このように契約した時間数と違う時間で働いてることもありますよね。

では、こんな状態でいいのかどうか。

契約書の書き方として、実際に働く時間帯をそのまま雇用契約書に書く。これは労働時間を決める最も厳密な方法です。しかし、現実には時間帯がズレることもありますから、少し「揺れ」の部分があって欲しいところ。

他の方法として、最大限働ける労働時間数を契約で決めて、その中で何時間働く、という決め方もあります。例えば、契約で決める労働時間数を朝の9時から夕方の18時までにしておいて、勤務時間数は1日あたり6時間とします。9時から18時まで、休憩時間が1時間入るとすると、実際の勤務時間は8時間ですけれども、1日あたり6時間が契約で決めた時間なので、9時から16時までという働き方も可能ですし(1時間休憩が入る)、他には11時から18時まで1時間休憩が入って6時間勤務、という働き方もできます。

働く時間帯が日によってズレるならば、勤務時間帯を動かせるような契約内容にしておくといいですね。

さらに、日によって時間帯ではなく勤務時間数が変わるならば、1日あたりの勤務時間を6時間と固定するのではなく、1日あたり最低4時間から最大で6時間と幅を設けて契約しておきます。火曜日は4時間勤務だったけれども、金曜日は6時間勤務になる、このように日によって勤務時間を変えることができます。

週5日勤務だとすると、毎日4時間勤務だった場合は週20時間の労働時間になります。また、最大時間である6時間で週5日働いたとすると、週30時間の労働時間になりますから、この人の契約の場合、週20時間から週30時間の間で時間数を着地させていくような働き方になります。

契約書で勤務時間や勤務時間帯、働く曜日をガッチリと固定することもできますし、ある程度の幅を持たせた状態で契約することもできます。

固定して契約すると、契約した時間数に満たなければ使用者都合による休業になります。かといって幅を広く取りすぎた契約だと働く側が納得せずに、合意を得られずに契約できない可能性もありますから、どの程度の幅を雇用契約に設けるかは会社ごとに違います。

その職場にあった契約の仕方で工夫していく余地がありますよね。

所定労働時間は就業規則で1つに決めているようなイメージもありますけれども、実際は個々の雇用契約によって所定労働時間は決まってきますから、個々に所定労働時間は異なるものです。

雇用契約で決めた時間数がその人の所定労働時間になると考えてください。

もちろん、全員一律の所定労働時間を決めるならば、就業規則で決めてしまっていいのでしょうけれども、全員が同じ時間働くわけではないですし、1日8時間の人がいれば、1日7時間で終わる人もいるでしょうし、さらに契約で個人毎に勤務時間が違うのでしょうから、全員が同じ所定労働時間とは限りません。
 

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所定労働時間と法定労働時間の違い

所定労働時間と法定労働時間の違いは、会社で決めた労働時間なのか、法律で決めた労働時間なのか、という点にあります。

雇用契約や就業規則で決めている働く時間は所定労働時間です。一方で、法定労働時間は時間数が決まっていて、1日あたり8時間まで1週間あたりだと40時間まで、と時間数が決まっています。

所定労働時間は会社ごとに違い、フルタイムで働く社員だからといって全ての会社で1日8時間かというとそうでもないんですね。

1日の所定労働時間が8時間のところもありますけれども、7時間30分や7時間のところもあるでしょう。法定労働時間である1日8時間に所定労働時間を揃えて、所定労働時間を8時間にしているところがありますけれども、所定労働時間を1日8時間にする必要はなく変えても構わないのです。

1日8時間の労働時間が必要なのかというと、8時間みっちり働いてるのかというと実際はそうでもないので、人間の集中力はそう長く続くものではありませんから、ぶっ続けで3時間で仕事ができるほど優れてはいません。一度に集中できるのはせいぜい45分くらいですから、こまめに休憩を入れて調整しています。

45分仕事をして、その後に10分の休憩が入る。現実にはそんなに頻繁に休憩時間はありませんよね。

小学校、中学校の授業時間は1コマあたり45分で、その後に休憩時間が10分入って次の授業になる、というように授業の時間割が組まれてますけれども、1コマあたり45分というのは人間の集中力から考えれば理にかなっています。

45分ごとに10分の休憩を入れて、これを繰り返すのは人間の集中力からすれば望ましいです。

社会人の人達は45分ごとに休憩するなんてことはないでしょうから、ぶっ続けで2時間なり3時間、そういう仕事の仕方をしています。

人間の集中力を考えれば、本来はもっと小刻みに休憩時間を入れていかなきゃいけないはずですが、そうなっていないのですね。

お昼休みに1時間の休憩を取ると、それ以外の時間に休憩時間はない。

休憩時間という体裁にはしていないけれども、小休止という名目で何か飲み物を飲んだりして休憩を入れている。休憩時間ではない小休止があって、そこで集中力を回復させているのかと想像します。

休憩時間じゃないのに休憩をしていると、労働時間に給与が連動する働き方だと、小休止の時間にも給与が出ていて、時間単位で給料がついているパートタイムの方だとトラブルが起こりやすい場面です。

労働時間に連動しない形で報酬が支払われている方だったら、本人の裁量で休憩してもいいのでしょうけども、時間に連動して給与が決まる人だと好き勝手に休憩ができないのが欠点です。

昼休憩だけでなく、1時間に10分の休憩時間を入れて、労働時間から外しつつ、集中力を維持できる環境を作るのも良いのではないでしょうか。小休止という曖昧なものはトラブルを招くので。

 

残業の時間はどこからどこまで?

予定していた時間を過ぎて仕事をしたら残業。こう考える方もいらっしゃるでしょう。

例えば、10時から16時まで勤務シフトで出勤すると予定していたところ、何らかの事情で17時まで仕事を延長すると、残業は1時間です。

仕事を終える予定が16時だから、それを17時まで延長したとなれば、1時間残業したと考えるのが普通です。

問題になるのは残業代ですが、16時から17時までの1時間が残業ですから、この1時間に対して給与が出ます。

この給与が残業代になるだろうと考えるところですけれども、「残業代」と表現したとき、その中身が何を意味するのかは人によって違いがあります。

時間外労働の割増賃金のことを残業代と表現する人がいる一方で、1時間にあたる通常の賃金が支払われることでそれを残業代と表現する人もいます。

1時間あたりの賃金が2,000円だとして、1時間の残業で1時間分の残業代を2,000円と考える。一方、2,000円に対する割増賃金、仮に割増率を25%だとすると、2,000円と25%の割増分500円ですから、この上に乗った割増部分の500円が残業代と表現する人もいます。

10時から17時までの勤務シフトになったとすると、途中で1時間の休憩が入ったと考えると、実際に働いた時間は6時間。

法定労働時間は1日8時間ですから、6時間だと法定労働時間を超えていないので、割増賃金は付かないはずです。会社によっては所定労働時間を超えた場合にも何らかの手当や割増が付くところもあるのかもしれませんが、今回はそのような想定は無しとします。

となると、残業代のことを割増賃金だと定義している人からすると、残業代は出ていない、と判断するでしょう。ただし、残業代は出ていないと表現しても、それはあくまで割増賃金がついていないという意味であって、超過した1時間分の通常の賃金、基本賃金と表現してもいいかもしれませんが、それは当然支給されます。

一方、割増賃金がついていなくても、1時間相当の賃金が支払われれば、それは残業代だと考える人もいます。先ほどの例だと、基本部分の1時間2,000円の賃金が支払われていれば、それが残業代だと扱われます。 

所定労働時間を超えた段階で残業と表現するのか。
法定労働時間を超えた段階で残業と表現するのか。

ここは人によって違いがあります。 

「残業」という言葉を使うときは、人によって解釈が異なることがあるというのは知っておきたいところです。

 

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