所定労働時間の長い日に有給休暇を取る方が得、短い方が損?
有給休暇を取得するときは、何月何日と指定して休暇日を設定しますよね。来週の金曜日とか来週の水曜日という指定の仕方もありますが、日にちを特定する点は共通です。
ただ、休暇を取得する際に指定する日を任意で選択できるために、ちょっとした問題が起こります。
例えば、土日の勤務時間が8時間で、平日の勤務時間が5時間という条件で仕事をしているパートタイム社員さんがいるとします。休日は週2日でシフト制で割り当てます。
上記の条件で、平日に有給休暇を取得した場合と土日に有給休暇を取得した場合で処理の違いを考えてみましょう。
日曜日もしくは土曜日に休暇を取得したら、その休暇日の賃金は8時間分と考えていいでしょうか。それとも、違う処理を行うのでしょうか。
月曜日から金曜日のいずれかで休暇を取得したら、その休暇日の賃金は5時間分と考えていいでしょうか。それとも、違う処理を行うのでしょうか。
また、平日ではなく、あえて土日に休暇を取得するようにパートタイム社員さんが申請したらどうでしょうか。
有給休暇当日の給与計算をどうする?
あえて勤務時間の短い日に有給休暇を取得することを避け、勤務時間の長い日を休暇に変えて、より多い賃金を得ようとする意図で土日に有給休暇を申請する人が少なからずいるかと思います。
休暇を取得した日の賃金を「実際に勤務した」と仮定して計算していると、上記のような申請をする人がでてきます。
確かに、実際に勤務したと仮定して計算すれば、事務処理が簡単ですから会社にとって都合がいいわけです。しかし、上記のような休暇申請をされるという欠点もあります。
この問題を解決するには、労働基準法39条6項(以下、39条6項)が手がかりになります。39条6項では、「有給休暇の期間については、、、、、平均賃金又は所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払わなければならない」と書かれていますので、実際に勤務したと仮定して計算する選択肢以外に、平均賃金(労働基準法12条)を利用するという選択肢もあるわけです。
ならば、平均賃金を使って休暇日の賃金を計算すれば、意図的に勤務時間が長い日に有給休暇を申請されても差し支えないわけです。ただ、実際に勤務したと仮定して処理するよりも手間がかかりますので、事務処理は若干ながら面倒になります。
もし、休暇中の賃金をどのように計算するかを決めていなければ、通常通り勤務したとして処理することが多いかもしれませんが、平均賃金を使うという選択肢もあるということは知っておいて欲しいです。